TOP PAGE

!!!This is Unpublished Hearsay!!!
Powered by Ichi-taro 2005
2005年の特許的独り言
For My Information
====================================
個人的な記録のために作成しているもので、正確性は保証外です。
 
※ ※ ※ ご注意 ※ ※ ※
「webmaster」や「toyosu」@toyosu.comを名乗ってウィルスに感染した添付メールを送りつける悪質ないたずらが多発したため、メールアドレスを変更しました。
====================================
・未完成なので、過去の情報も含めて随時内容を変更しています。内容の正確さは保証できませんので、一切の責任はご容赦下さい。
・日付は記入した日でなく、基本的には事案の発生した日(主に現地時間)です。
・更新箇所は、表題に「(update)」と付記してありますので、ブラウザの検索機能で検索して下さい。通常はCTRL+Fで検索できます。
・ハイパーリンク付き目次は一太郎で自動作成しておりますが、毎回作り直してはいないので参考程度にご利用下さい。目次に戻るには、Alt+←、またはネスケならCtrl+Home(IEならHomeキーのみ)で最初の行にジャンプできます。
 
更新:2006/08/02 月刊アスキーが遂に休刊になりました(ビジネス誌として3ヶ月後にリニューアルするらしいですが)。この頃買ってなかったけど、久しぶりに買ってみました。老舗が次々と暖簾を下ろしていく、これも時代の流れでしょうか。
 

過去のひとりごとへのリンク
 
2004年のひとりごと 2004年のたわごと
 
2003年のひとりごと 2003年のたわごと
 
2002年のひとりごと 2002年のたわごと
 
2001年のひとりごと 2001年のたわごと
 
2000年4月〜のひとりごと 2000年4月以降のたわごと (file under repair)
2000年1月〜3月のひとりごと 2000年1月〜3月のたわごと
 
1999年10月〜12月のひとりごと 1999年10月〜12月のたわごと
1999年7月〜9月のひとりごと 1999年7月〜9月のたわごと
1999年前半のひとりごと 1999年1月〜6月のたわごと
1998年のひとりごと 1998年のたわごと
IPニュース 2002年の最新ニュース

目次 Table of Contents
2005/11/25
1.米特許庁:仮出願に関する規則改正(u
2005/02/12
1.米特許庁:委任状及び譲渡証に関する規
2005/10/22
1.MPEP8版3訂登場(update)
2005/10/01
1.インターネット出願開始予定
2005/09/09
1.CAFC判決:レメルソン特許はやはり
2005/07/12
1.CAFC大法廷判決:辞書はクレーム解
2005/07/01
1.パトリス値上げ
2005/06/13
1.米最高裁判決:試験研究目的による特許
2005/06/01
1.EPO審決:親亀こけたら子亀も・・・
2005/04/01
1.実案改正
2005/02/28
1.先行技術調査の支援制度終了予定
2005/02/01
1.一太郎訴訟にみる問題点の裏側
2005/02/11
1.韓国の優先権証明の翻訳不要に

 
2005/12/27
 
1.課題を解決するための手段はクレームのコピーでいいのか(update)
 サポート要件違反の審査基準が改正されてから、形式的にクレームを【課題を解決するための手段】の欄にコピーさえしておけば、サポート要件を具備したものと扱う運用から、クレームの内容と明細書の内容を吟味して、クレームした態様が正しく明細書で裏付けられているかどうかを確認する実体的な判断を伴うようになった。また、クレームのサポートがされていないことを理由に、実施例相当に限定解釈した裁判例も登場している。
 これを受けて、単にクレームを引き写す書き方から、より統合した形に手段の記載を改めることが提唱されている。要は、実施例よりも上位概念で書かれたクレームの実施態様が、明細書中にちゃんと書かれているかどうか、が今後一層重要になる。
 言い換えると実施例を一つ、丁寧に書いておけばいいとの考えでは拙い。かといって、実施例が複数あれば安心という訳でもなく、一の実施例をそのままコピーして複数の実施例を仕上げるといった書き方でも拙い。クレームの広がりに対応した複数の実施態様を考慮した書き方を念頭に置く必要がある。
 これまでの日本の実務では、クレームの引き写しが手段にあればサポート要件違反にならないとのことで、この拒絶理由は実務上存在しないに等しい状況であった。今や、きっちり書いておかないとこの拒絶が発せられる(現に、最近よく見かける)。今後の明細書作成においては一層強く意識する必要がある。また、過去に成立している特許は、自社特許、他社特許を含めてこの点から見直す必要がある。これまで、36条要件違反での無効主張は、かなり弱い印象であったが、特に特許に風当たりの厳しい昨今の現状(実際上アンチパテントと呼んでも間違いで無かろう)から、サポート要件違反での無効主張はわりかし有効かも。
 一方、この機会に併せて米国出願明細書の書き方も再検討したい。例えば米国出願に際して、日本式のクレームまるごとコピーの【課題を解決するための手段】を、一々英語に訳すやり方では、冗長になるし翻訳代も嵩むし、米国ではそこまで必要ないし、そもそも発明自体が従属項の限定を含むものと解釈される虞がある(特にbe動詞で断定的に書くと拙い。例.a device according to a first aspect of the present invention is[comprises] ... , second aspect of the present invention is[comprises] ...)で批判されてきた。米国式の明細書では、大抵独立クレーム1個分(方法も装置も一緒くたにして)がある程度。じゃあ、いきなり米国式にしたらいいのか、というと、日本の実務では、これまでのクレーム全部コピーでなくなることに抵抗を持つ審査官も存在するだろうし、各クレーム毎に明細書に書かれていることを、全文を読んでチェックするよう強いることになり、審査官の負担大(=心証を悪くする)との図式から、余り得策でないようにも思える。そこで、(1)とりあえず、クレーム全部を手段にコピーするやり方は継続する。(2)その上で、手段の欄を参照しなくても、各クレームの記載を実質的にサポートするよう、実施形態を明細書中、好ましくは実施例の前に実施の態様として記載しておく。(3)米国出願時には、手段の記載を整理し、独立クレームのみ残し、他は削除する=明細書中には、一層詳しいサポートが残っているので、記載要件(written description requirement米特許法112条第1パラグラフ)は具備される。
 
情報元および関連情報:
・東京地裁H17.12.27 平成15年(ワ)23079号
ura2003.html2.サポート要件に関する審査基準が改訂
 
 
2005/12/20
 
1.韓国特許公報を英語で読める?
 Green and White (翻訳ソフトのページ)より。
 英語の特許公報は何とかなるとしても、英語以外の公報を引用されるとかなりきつい。ドイツ語、フランス語などの1バイト語ならば、翻訳ソフトで英語(日本語でなく)に翻訳すれば、ある程度の大意は掴める。中国語なら、感じの雰囲気で何となく読めるかも。一番困るのはハングル語で、さっぱり判らない。
 そこで、ハングル語から日本語への翻訳ソフトの出番となるが、なかなか手が出ない。ウェブ上でハングル語から日本語に翻訳してくれるサービスが幾つかあり、こちらの方が手軽かなとおもっていた。そんなウェブサービスに、韓英特許翻訳サービスが登場。ETRIが開発、公開中。ただし、インターフェースがハングル語なので、詳しい使用法が判らない(^_^;)一応、「X-PAT KE」をクリックすれば、何とか使えそうだが、どなたかハングル語に詳しい方、マニュアル作ってくださいm(__)m
 
情報元および関連情報:
・「ETRI、韓·英特許文書自動翻訳システムを開発」おはよう大徳(2005年12月20日)
http://www.hellodd.com/japan/news/news_view.asp?t=dd_jp_news&menu=&mark=1140
・特許文書自動翻訳サービス
http://www.xpat.or.kr/
・Green and White (翻訳ソフトのページ)
http://homepage2.nifty.com/oto3/
 
 
2005/12/09
 
1.特許庁審決の検索
 LexisNexisの日本版、LexisNexis JPで特許庁審決の全文検索が可能に。有料データベース(無償トライアル可能)であるが、商標の類否判断検討や意見書作成の参考として使える。今ではIPDLから意見書の閲覧も可能になったし、特許なら併せて使えば便利かも(商標等はIPDLの閲覧対象外)。ついでに意見書の検索が可能にならないかな〜と思うが。
 
情報元および関連情報:
・「LexisNexis JP アップデートのお知らせ」
http://www.lexisnexis.jp
「平成12年以降に公表された特許・実用新案・意匠・商標に関する審決約12万3千件を収録しました。
∴「ホーム」画面より、「特許庁審決」検索ボタンをクリック
→ 審判日、キーワードのほか、“審決分類”、“IPC”、“発明・考案の名称等”などの項目による検索が可能です。
 
 
2005/11/25
 
1.米特許庁:仮出願に関する規則改正
 英語以外の言語で先に仮出願しておき、通常の正規出願でこの仮出願の優先日を主張する場合、従来は仮出願、本出願のいずれかで仮出願の翻訳文と、翻訳が正確である旨の説明書を提出する必要があった。
 米特許庁の規則改正により、今後は翻訳文は仮出願において提出することとなった。なお、仮出願は出願日から1年後に取り下げられるが、取り下げられた後でも翻訳文は提出できる。
 
情報元および関連情報:
・"Provisions for Claiming the Benefit of a Provisional Application With a Non-English Specification and Other Miscellaneous Matters." 70 FR 56119 (September 26, 2005).
 
 
2005/10/22
 
1.MPEP8版3訂登場
 MPEP第8版が改訂され、2005年8月付けの第3訂となった。細かな手続面での修正が多い。詳細はブルーページを参照。
 
情報元および関連情報:
・Manual of Patent Examining Procedure (MPEP) Eighth Edition, August 2001, Latest Revision August 2005 (October 22, 2005 ).
http://www.uspto.gov/web/offices/pac/mpep/mpep.htm
http://www.uspto.gov/web/offices/pac/mpep/documents/bluepages.htm
 
 
2005/10/21
 
1.米特許庁審決:ラングレン事件=ビジネス方法に技術的側面は不要?
 ビジネスモデル特許(不適切と思われるこの命名は日経コンピュータ)と呼ばれ世間を騒がせた「ビジネス方法」に関する特許出願は、日本や欧州では極めて審査が厳格で殆ど成立しない。一方、ビジネス方法特許発祥の地である米国では(別にビジネス方法に限った話ではないが)割と何でもポンポン特許化されてしまう。これら三極での取り扱いの相違に折り合いをつけるべく、2000年には日本で三極間で会合がもたれたことがあったが、その際には法理は各国で異なるものの、特許にならない(特許法でいう発明に該当しない、あるいは新規性や進歩性欠如)という結論的には大体同じだから、良いんでないかなーという現実的な落としどころで一応決着がつけられたように見えた。で、その問題児米国でも、審査基準上はpractical application in the technological artsなるものが要求されていて、これは日本特許庁が言うところの、「ビジネス方法が特許されるためには、『技術的側面』が必要」という要件と符合しているように見えるので、審査基準的にはそれほど乖離がなく、あとは個々の審査官の判断や運用次第、という状況なんだろうなと個人的に理解していた。
 ところが今回、拒絶査定不服審判事件であるラングレン事件の審決で、米特許庁審判部は、そのtechnological arts(ここでは「技術的側面」と訳すことにする)を要求する法的根拠がなく、技術的側面の欠如を理由とする拒絶理由は成立し得ないと判示してしまった。確かに、法律上は正しい結論かも知れないが、こうなると米国のビジネス方法特許は何の縛りのない、正に何でも特許化可能であることのお墨付きが与えられたようで、この先益々得体の知れない特許が増殖しそうな気配である。
 
 同審決を受けて米特許庁は早速新たな審査基準案を策定し、出願発明が法定の発明(statutory subject matter)に該当するか否かの判定には、今後「技術的側面」基準を適用してはならないとしている。その結果として、自然法則や自然現象、抽象的アイデアを除き、発明に該当しないと認識されるものは存在しないことになる。そうすると、コンピュータなどのハードウェアやソフトが実行する処理を一切含まない、純粋に人間が行う行為や思考のみからなる発明でも、特許となり得る。従来も、そういった特許は成立していたが、少なくとも審査基準上は、クレームになくても明細書中には何らかの技術的側面が明細書中で開示されていることが求められていたが、今後はそういった要件が一切不要となる。なお当然ながらこの審査基準案は現行のMPEP第8版2訂には未収録だが、来年の3訂版には最終版が含まれるはず。
 
 一方で、その後米最高裁が上告を受理した特許事件で、図らずもビジネス方法特許の基準が明らかにされる可能性が出てきた。ラボラトリーコーポレーション・オブ・アメリカホールディングス対メタボライト・ラボラトリーズ事件(Laboratory Corp. of America Holdings v. Metabolite Laboratories, Inc.)である。最高裁が上告を認めたのは論点3のみで、笑えます。曰く、「単に『相互関係の』試験結果に関与する者をクレームした、不明瞭で開示されておらず、実施もできない工程を記載した方法クレームは、医療行為で用いられる基本的な科学的関係を独占できる(例えば医者が試験結果を見てその関係を考えただけで特許侵害になるような)有効なクレームたり得るか?」
 2006年、ジョンロバーツ新最高裁長官率いる米最高裁が、ビジネス方法特許に鉄槌を下すかも!?→と思ったら、新長官は回避されたようです。ちなみに、本件発明は人体のタンパク質レベルとビタミンB欠乏症との相互関係に関する方法で、問題のクレーム13はこんなんらしいです。
  13. A method for detecting a deficiency of cobalamin or folate in warm-blooded animals comprising the steps of:
    assaying a body fluid for an elevated level of total homocysteine; and
    correlating an elevated level of total homocysteine in said body fluid with a deficiency of cobalamin or folate.
 
情報元および関連情報:
Ex Parte Lundgren, Appeal No. 2003-2088 (BPAI 2005)
http://www.uspto.gov/web/offices/dcom/bpai/prec/2003-2088.pdf
====================================
Our determination is that there is currently no judicially recognized separate "technological arts" test to determine patent eligible subject matter under § 101. We decline to create one. Therefore, it is apparent that the examiner's rejection can not be sustained.
・"MPEP 8th Ed. R2, 2106 Patentable Subject Matter - Computer-Related Inventions -Computer-Related Processes Limited to a Practical Application in the Technological Arts"
...Only when the claim is devoid of any limitation to a practical application in the technological arts should it be rejected under 35 U.S.C. 101.
・「ビジネス方法の特許について」日本特許庁(平成12年10月)
http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_tokkyo/bijinesu/interbiji0406.htm
====================================
(注1)米国においては、「in the technological arts」であることを示す発明の特徴が、明細書に明示されていれば、特許クレームには示唆されているだけでもよい。EPOとJPOでは、「技術的側面」が特許クレームに明示的に表現されていることが要求される。
・Dennis Crouch, "Patent Board Eliminates "Technological Arts" Requirement For Business Method Patents", Patently-O: Patent Law Blog (Oct. 17, 2005).
http://patentlaw.typepad.com/patent/2005/10/patent_board_el.html
・Joel Lutzker, "Boost to Patent Protection for Business Methods." asialaw (Dec 2005/Jan 2006).
Lab. Corp. of Am. Holdings v. Metabolite Labs., Inc., 126 S. Ct. 543, 163 L. Ed. 2d 458, 2005 U.S. LEXIS 7857 (U.S. 2005) Writ of certiorari granted, in part on October 31, 2005., vacated, and cert. granted, in part, on reconsideration on November 2, 2005.
→ということは、口頭弁論やらないで判決するのかな?
Whether a method patent setting forth an indefinite, undescribed, and non-enabling step directing a party simply to “correlat[e]” test results can validly claim a monopoly over a basic scientific relationship used in medical treatment such that any doctor necessarily infringes the patent merely by thinking about the relationship after looking at a test result.
Metabolite Labs., Inc. v. Lab. Corp. of Am. Holdings, 370 F.3d 1354, 71 USPQ2d 1081 (Fed. Cir. 2004).
 なおCAFC判決では、ビジネス方法特許との表現は一切使用されていない。判決文起草はレーダー判事。
Diamond v. Diehr, 450 U.S. 175 (1981).
 laws of nature, natural phenomena, and abstract ideasはダイヤモンド対ディーア事件で米最高裁により特許を受けることができない、と判示されている。
・Joel Lutzker, "LabCorp v. Metabolite: Supreme Court To Hear Patent Case Questioning Patentability Of Medical Method", Patently-O: Patent Law Blog (Oct. 31, 2005).
http://patentlaw.typepad.com/patent/2005/10/labcorp_v_metab_1.html
 
 
2005/10/01
 
1.インターネット出願開始予定
 インターネットを利用した電子出願サービスが開始される予定。原則24時間365日受付可能なシステムとなるというのが有り難い(保守作業による中断はあるらしいが)。
 なお現行ISDNを利用したパソコン出願ソフト3による電子出願サービスは、当面の間現状通り継続されるとのこと。
 PCT-RO手続は、インターネット出願ではサポートされず、現行パソコン出願でのみ対応可能とあるので、当面はパソコン出願を併存させる必要がある(今更PCTセーフを使いたくはないし)。しかも、同一パソコンにインターネット出願とパソコン出願を併存させることは推奨しない、とあるので、当分はインターネット出願は様子見としたい。
 
情報元および関連情報:
・「PCT−ROオンライン出願機能の開発状況とインターネット出願サービスについてのお知らせ」日本弁理士会
 
 
2005/09/09
 
1.CAFC判決:レメルソン特許はやはり無効
 2002年に審査懈怠理論(doctrine of prosecution laches)でサブマリン特許を無効とされたレメルソン財団、2004年1月にCAFCから差し戻されたネバダ連邦地裁でも敗訴、さらに控訴したがCAFCでも再び敗訴。多分再審理、大法廷審理請求と最高裁上告もやるんでしょうが、果たして取り上げられるかどうか。
 
情報元および関連情報:
Symbol Techs., Inc. v. Lemelson Med., Educ. & Research Found., Nos. 04-1451 (Fed. Cir. 2005).
http://caselaw.lp.findlaw.com/data2/circs/fed/041451p.pdf
 判決起草はローリー判事。
...refiling an application solely containing previously-allowed claims for the business purpose of delaying their issuance can be considered an abuse of the patent system...
...multiple examples of repetitive refilings that demonstrate a pattern of unjustifiably delayed prosecution may be held to constitute laches.
 一方、審査懈怠理論は多用されるべきでなく、特許制度を濫用した言語道断な場合にのみ適用されると付言している("sparingly" and "only in egregious cases of misuse of the statutory patent system")。さらに、継続的出願の適法な場合も列挙しており、(1)限定要求後の分割出願、(2)拒絶に係るクレームについて、予期せぬ効果を証明するため時間が必要な場合に行う継続出願、(3)より広いクレームをサポートする技術的事項を追加するために行う継続出願、等は正当であることを確認している。さらに、上記以外にも、不当に継続もしくは繰り返して継続出願を行うものでなければ適法であるとも付言。具体的にどのような場合が不当であるかについて明確な指針がある訳ではなく、状況全体を参酌してケースバイケースで地裁裁判官が判断すべき事項であるとし、控訴審においては「裁量権の濫用」基準で審理するとしている。
Symbol Techs., Inc. v. Lemelson Med., Educ., & Research Found.,. 301 F. Supp. 2d 1147 (D. Nev. 2004).
...if the defense of prosecution laches does not apply under the totality of the circumstances here, the Court can envision very few circumstances under which it would.
Symbol Techs., Inc. v. Lemelson Med., Educ. & Research Found., 277 F.3d 1361 (Fed. Cir. 2002).
・Brenda Sandburg (The Recorder), "Lemelson Patents Ruled Unenforceable." law.com (September 13, 2005).
http://www.law.com
 当然ながらジェシー・ジェナー弁護士(過去にはフォード、現在はシンボル社の代理人)のコメントが掲載されている。ジェナー弁護士の拝顔は、こちら
http://www.eizojoho.co.jp/i/i_pdf/0002lemelson.pdf
・ロイター「『バーコードスキャン特許は無効』の控訴審判決」IT Media News(2005年9月12日)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0509/12/news011.html
・ADAM GOLDMAN (Associated Press), "Appeals court upholds decision invalidating inventor's key patents." FindLaw Intellectual Property Law News (September 12, 2005).
http://news.findlaw.com/ap/o/51/09-12-2005/5744001707cbbe3f.html
 レメルソン氏の息子のコメントや、財団がMITやスミソニアンに50万ドルの基金を創設したことにも触れている。スミソニアン博物館にはちゃんとレメルソンの展示コーナーがあり、ワシントンDCツアーではUSPTOやCAFC以外に特許関係者が詣でる隠れたスポットとなっている(嘘)。
 よく知られたことではあるが、アメリカでは富める者が寄付をするのは納税と同様の感覚で、半ば常識あるいは義務とされている。クリントン前大統領の寄付額が歴代大統領に比べて少なすぎるとの批判があった程。いわゆるパテントマフィアと呼ばれる方々が、教育機関や交通遺児に寄付をしていたからといって、その方々が(少なくともアメリカの世論では)特別視されるという性質のものではない。
・"Federal Circuit Upholds Unenforceability of Lemelson Patents and Gives Guidance on Unreasonable Delay" IPO'S FEDERAL CIRCUIT SUMMARIES (SEPTEMBER 16, 2005).
http://www.ipo.org/template.cfm?Section=This_Weeks_Daily_News&request
・Dinsmore & Shohl LLP, "The Sinking of the Lemelson Submarine Fleet" martindale.com Legal Articles (October 10, 2005).
 
 
2005/08/30
 
1.第9巡回裁判所判決:プリンタカートリッジの再利用禁止可能?
 インクジェットプリンタメーカにとっては、互換性のない専用インクカートリッジは収益を上げるための最も大事な商品であり、だからこそインク詰め替えメーカを目の敵の如く訴えている。現在も知財高裁で3番目の大合議となるキヤノンの訴訟が継続中。
 一方、このような再充填カートリッジメーカに対する合法的な対策を常に先んじて実施しているレックスマーク社。以前にも純正品かどうかの認証のための暗号化チップを著作権法で保護するというテクニックが裁判所で争われた。
 そして今回は、インクの箱にかかれたエンドユーザライセンス、要するに箱を空けたり使用したら契約に同意したものと見なす云々の注意書きが、契約として有効かどうかが米第9巡回区裁判所で争われた。結果は、合法というもの。要するに、プリンタメーカ側からすれば、この契約で再利用禁止の縛りをかけることが有効とのお墨付きをもらったことになる。
 レックスマーク社は、以前から自社製インクカートリッジの販売に「プリベート」プログラムを実施している。プリベートとは、事前の(プレ)リベートといった意味。使用済みインクカートリッジを返却する際のリベート分を、予め差し引いた価格でプリンタカートリッジを販売するというもの。ユーザは、「プリベート」が適用されるカートリッジを安価に購入できる一方で、このカートリッジは返却が前提であり(ほんとに返却しているかどうかまでは問われないが)、一回のみの使用に限定されるという条件に同意した上で購入することになる。要するに、こういう主旨の契約文がパッケージに印刷されている。一方で、プリベートの適用されない高価なインクカートリッジも販売されており、契約したくないユーザはそちらをどうぞ、というわけ。
 このようなパッケージ印刷の契約の合法性が争われ、第9裁判所は契約の有効性を認めた。
 
 
情報元および関連情報:
Arizona Cartridge Remanufacturers Assn. v. Lexmark Int'l., 03-16987 D.C. No. CV-01-04626SBA/JL (9th Cir. 2005).
http://www.eff.org/legal/cases/ACRA_v_Lexmark/ACRA_v_Lexmark_9th_circuit_ruling.pdf
・"Arizona Cartridge Remanufacturers Association Inc. v. Lexmark International Inc." Wikipedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Arizona_Cartridge_Remanufacturers_Association_Inc._v._Lexmark_International_Inc.
 本判決が、レックスマークの「プリベート」プログラムにのみ適用されることを注意。
・"11th Circuit Allows Case Asserting Anticompetitive Pioneer/Generic Patent Settlement." Patently-O: Patent Law Blog (Sep 06, 2005).
http://patentlaw.typepad.com/patent/2005/09/
http://patentlaw.typepad.com/patent/2005/09/lexmark_patente.html
 
 
2005/08/19
 
1.クデール・ブラザーズ解散?
 歴史ある米大手法律事務所で早くから海外進出を始めたことで知られるクデール・ブラザーズ(Coudert Brothers)が解散するとのニュース(こういうニュースは、日本語でググっても中々出てこない。英語だと即なのに。。。誰か、US発リーガルニュース日本語版、立ち上げてください(^_^;))。ベーカー・マッケンジー(Baker & McKenzie)等、他の大手事務所との合併に失敗したことから、こういう話になった模様。解散後は独立した複数の事務所が立ち上がったり、他の大手事務所への移籍などがなされる。特にクデールは米国外に多数の支所をもっていたので、米国外での基盤固めに余念のないオリック(Orrick, Herrington & Sutcliffe)やDLAパイパー(DLA Piper Rudnick Gary Cary)が東アジア、要するに中国や日本を引き継ぐようだ。そういえば最近DLAパイパーに移籍する特許弁護士が多い。元クッシュマンのデール・ラザール氏もDLAパイパーに入所したと同氏から案内状を貰ったことを思い出した。
 今日日は日本の大企業でも一瞬先は闇と言われてますが、それは海の向こうでも変わらず、ということでしょうか。片田舎の弱小特許事務所に明日はあるか!?
 
情報元および関連情報:
・Anthony Lin (New York Law Journal), "Coudert Breakup Voted After Merger Talks Fail" law.com (August 19, 2005).
http://www.law.com/jsp/printerfriendly.jsp?c=LawArticle&t=PrinterFriendlyArticle&cid=1124355911064
====================================
...Ward Bower, a principal at law firm consultancy Altman Weil, noted that Coudert Brothers would be the latest in a string of major firm collapses in recent years, following San Francisco's Brobeck, Phleger & Harrison, Chicago's Altheimer & Gray and Boston's Testa Hurwitz & Thibeault.
・"Coudert Brothers Votes To Disband Storied Law Firm" WSJ.com (August 19, 2005).
http://www.bmacewen.com/blog/pdf/WSJ.2005.08.19.Coudert..pdf
 
・Darrell Wright, "The Rise and Fall of Coudert Brothers" asialaw (Dec 2005/Jan 2006).
 
 
2005/08/18
 
1.CAFC判決:外国での審査経過をクレーム解釈に参酌せず?
 米国では、クレーム解釈の際に均等論侵害の主張を制限する審査経過禁反言が非常に重要となるが、一方欧州ではそのような規定や判例がなく、審査経過禁反言という概念自体が認められていない。そうすると、対応特許の外国出願において、米国では審査経過に気を遣いつつ、欧州ではそんなに気にしない、ということになる。では、欧州など外国での審査経過を米国特許のクレーム解釈に参酌するのか、という疑問が生じる。いわゆる外国審査経過禁反言については、過去に田辺製薬対ITC事件でCAFCに検討されたことがあるが、未だに明確な指針は確立されていない。
 今回のTAPファーマスーティカルプロダクツ社対OWLファーマスーティカル社事件でも、CAFCはこの法理に対する明言を避けつつ、対応欧州特許出願での出願人の主張によって米国でのクレームは限定されるべきとする被告OWL社の主張を退けている。外国での主張であるから、といった理由付けでなく、単に証拠として不明瞭であるとして重視されなかった。相変わらず、CAFCは慎重である。
 
情報元および関連情報:
TAP Pharm. Prod. v. OWL Pharm., Nos. 03-1634 and -1635 (Fed. Cir. 2005).
http://fedcir.gov/opinions/03-1634.pdf
・Duane Morris LLP, "In Construing Scope of U.S. Patent, Little Weight Given to Prosecution History of Corresponding Foreign Application" martindale.com Legal Articles (October 11, 2005).
 
 
2005/07/12
 
1.CAFC大法廷判決:辞書はクレーム解釈において優先されない(修正中)
 注目のフィリップス対AWH事件のCAFC大法廷判決が下された。予想通り、クレーム解釈における辞書優先のルールは修正され、内部証拠、すなわちクレーム、明細書(及び図面)、審査経過が優先することが確認された。判決はブライソン判事が起草。ローリー判事が一部同意、一部反対意見を、メイヤー判事が反対意見を出しており、いずれにもニューマン判事が参加している。特にメイヤー判事の反対はかなり辛辣な批判。
 フィリップス社が保有する特許は刑務所等で使用される耐破壊用壁に関するものであり、AWH社が申し立てた非侵害のサマリージャッジメントは地裁で認められたものの、破棄されることとなった。
 大法廷で争われたのは、クレーム解釈において参照されるのは、明細書か、辞書か、というもので、結論としては明細書、あるいは審査経過が主として利用され、辞書の使用は制限されることとなった。辞書を使用しても良いのは、明細書などで導かれるクレームの解釈と反しない、あるいは矛盾しない範囲内で、となる。要するに、明細書に書かれていない事項までクレームを拡張するために、辞書を利用することはできない、ということか。
 常に議論となる、クレーム解釈における明細書の位置付けがクローズアップされた格好となっている。常々、クレーム解釈においては、クレームの文言が重要であって、明細暑中の実施例の限定を読み込むべきでない、とする原則と、一方でクレームに書かれた文言を解釈するために、明細書を参酌することとの区別が、理論でははっきりしていても、実際の適用においてはあいまいになる。やはり、明細書中で限定的な表現は好ましくない、というありきたりの結論にしかなり得ないのか。。。最近の傾向では、実施例に限定してクレーム解釈される例が多いようにも思えるので、クレームドラフティングのみならず明細書ドラフティングにもより一層の注意が必要である。
 
 図らずも?議論となっており、しかも今回の判決でも未決のままとされた争点は、クレーム解釈のツール(辞書の定義を優先的に使ってもよいのか)よりも、クレーム解釈の過程そのものであり、これを上級審でどの程度重視するか、である。事実審におけるクレーム解釈は法律問題であり、その判断主体は陪審でなく裁判官であるということがマークマン最高裁判決により判示されている。また地裁でのクレーム解釈は、高裁において覆審(de novo standard)で審理される。すなわちCAFCは地裁のクレーム解釈を全く尊重せず、新たにクレーム解釈を行うこととなっている。このことは、マークマン最高裁判決後にCAFC自身が、クレーム解釈は純然たる法律問題であることを大法廷で確認している(サイボー事件)。
 一方、辞書の扱いについては、バイトロニクス事件でCAFCは、クレーム解釈は多くの場合内部証拠のみで、すなわちクレーム、明細書、審査経過のみで判断でき、外部証拠である辞書や専門家証言などに頼る必要は余りないと判示した。この判例では、辞書よりも専門家証言の扱いの方に注目が向いた節があり、地裁で戦略上重視されていた専門家証言が今後の特許訴訟では不要になるのでは、といった騒がれ方もしたが、そのようなことにはならず、CAFC自身も、内部証拠のみでクレーム解釈できない場合は当然に外部証拠に依拠してよいとフォローするなど、従前の扱いとほぼ同じに落ち着いているようである。
 さて、辞書の扱いが大きく騒がれ出したのがテキサスデジタルシステムズ事件からあたりで、辞書は外部証拠のカテゴリーよりも、特別な証拠として扱うべきであるといった論調で、辞書の扱いが突出し始めた。元々、クレームの解釈において明細書の実施例に限定すべきでないというルールがあったが、これと区別される格好で、辞書の定義を参酌しつつ、これが明細書等の開示に照らして反しないならば、辞書の定義に従って解釈すべきといったクレーム解釈論が登場したのである。そうなると、当事者は当然に自分方に有利な解釈の辞書を集める訳で、フォーラムショッピングならぬ辞書ショッピングともいうべき状況は容易に予想できた。実際、米法律事務所では各種辞書を多数取り揃えることがステータスになっていたようである。
 そこで今回の事件となり、大法廷審理の結果、クレーム解釈において最も重視すべきは、内部証拠である明細書であることが確認されたのである。注意すべきは、どの証拠から参酌するかという順序でなく、どの証拠にどの程度依拠するかという重み付けであり、クレームそのものを含めた明細書及び当業者の理解こそがクレーム解釈の唯一且つ最善のガイドであると判示されている。
 ここまでは割とスムーズに理解できるが、問題となったのが上述の通り地裁でのクレーム解釈をCAFCでどのように扱うか、すなわち審理基準としてどの程度参酌すべきか、であり、全く尊重しないde novoか、尊重した上で明白な誤りがなかったを審理するclearly erroneous standardとすべきか、が次の論点として議論されている。
 まあ、こちらの方が議論としては面白い訳で、いつもに増して語調が厳しいメイヤー判示の批判が読みどころ?ではある。56頁もある判決文の内、48頁から始まる反対意見は、いきなり
Now more than ever I am convinced of the futility, indeed the absurdity, of this court's persistence in adhering to the falsehood that claim construction is a matter of law devoid of any factual component. Because any attempt to fashion a coherent standard under this regime is pointless, as illustrated by our many failed attempts to do so, I dissent.
と始まる(意訳:「間違った考えに固執しおってからに、無駄、無駄、無駄〜アアア」 広川太一郎ならなんと訳すかな?)。CAFCの判決には、特に反対意見では時々語調の厳しい表現やユーモラスな皮肉がみられるが、今回のはなかなかの傑作と思うので、ちょっと引用すると
What we have wrought, instead, is the substitution of a black box, as it so pejoratively has been said of the jury, with the black hole of this court.
「我々のやったことは、侮辱的にいわれてきた陪審のブラックボックスを、CAFCのブラックホールに置換したのだ」(辞書の定義ならば、第三者にもクレーム解釈が割と明確になりやすい傾向にあるが、明細書を参酌してのクレーム解釈は不確定になりがちで、結局のところCAFCがクレーム解釈するまでは誰もクレームの範囲を知ることができない、という批判だろうか)
...While this court treats the district court as an intake clerk, whose only role is to collect, shuffle and collate evidence, the reality, as revealed by conventional practice, is far different.
「本法廷は地裁をまるで受付員のように扱っている。その役目は単に証拠を集めて、組み替えて並べるだけ、というが、現実はこれまでの実務から明らかなとおり、全くもって異なるものだ」
...Eloquent words can mask much mischief. The court's opinion today is akin to rearranging the deck chairs on the Titanic-the orchestra is playing as if nothing is amiss, but the ship is still heading for Davey Jones' locker.
「美辞麗句は誤りをも誤魔化す。今回の判決は、タイタニック号の甲板で椅子を並べ替えているようなものだ。船は海の藻屑になろうとしているのに、さも何事も無かったかのようにオーケストラの演奏は続けられている。。。」
 クレーム解釈論とタイタニックを結びつけるあたりの皮肉が、なかなかのものではなかろうか。こういう洒落っ気というかひねり(はたまたイヤミか)が日本の知財高裁にもあったら、判決を読んでいても面白いんだけど、文化的背景が違うのでちょっと無理かな。
 
閑話休題...要するに、クレーム解釈は純粋な法律論だけでなく事実に関する判断が含まれているから、CAFCの審理も地裁の事実認定を尊重した上で明白な誤り基準で審理すべき、というものである。次なる大法廷の争点、かな。
 
情報元および関連情報:
Phillips v. AWH Corp., Nos. 03-1269, -1286 (Fed. Cir. 2005).
http://caselaw.lp.findlaw.com/data2/circs/fed/031269pv2.pdf
 最近、htmlで判決文を用意してくれるサイトが無くなったようで、甚だ残念。有料サイトからの圧力か、単に公式ページのデータをコンバートする手間を惜しんでいるのか?
 PDFだと、ページ数が多くなるので印刷すると嵩張る。第一、開くのに重い。テキストベースのhtmlなら、直ぐに開くし、テキストビューワで簡単に内容を確認できる。ファイルサイズも少ない。
 尤も、最近のアクロバット(現アドビリーダ)はバージョン7になってから起動が早くなった。他にも有り難い改良点が幾つかあり、メニューからテキスト保存が可能になったこと、イメージの切り出し(カメラ型のアイコンである「スナップショットツール」)で解像度を指定できるようになった点など。これって、実務上非常に有り難かったりする。ダウンロードしたPDF公報から図面データを切り出したいとき、従来は解像度が96dpi程度しかなかったため、とても印刷して使えるモノではなかった。そのためアクロバット(リーダでは不可)で一旦ページ毎にTIFFファイルに分割保存してから(割と時間がかかる、特に公報のページ数が多いときは大変)、画像ソフトで必要な部分を切り出す、という手順が必要だった。今なら、リーダ上からでも必要な部分を「スナップショットツール」で高解像度で切り出し、ワープロに貼り付けが可能。審判理由補充書や技術説明書、準備書面の作成には図面を利用することが多いが、公報などのPDFファイルからのスクラップに大層有効。
Texas Digital Systems, Inc. v. Telegenix, Inc., 308 F.3d 1193 (Fed. Cir. 2002).
Cybor Corp. v. FAS Technologies, Inc., 138 F.3d 1448 (Fed.Cir.1998).
http://www.gbpatent.com/cases/xcybor2.htm
 サイボー事件でもメイヤー判事はニューマン判事と共に少数意見を出していた。
・Brenda Sandburg (The Recorder) "Federal Circuit Orders Courts to Rely on Patent Language." law.com (July 14, 2005).
http://www.law.com
・Greg Aharonian, "Does Phillips v. AWH weaken use of provisional patents?" Internet Patent News Service (July 19, 2005).
 幾つかのブログなどから拾い読み。中でも、仮出願に関する批判が興味深い。クレームドラフティング(のみ)に注意するやり方から、明細書全体を慎重に書き上げるやり方にシフトすべきとの意見。つまりクレームの文言だけ気にすればいいのでなく、明細書の文言にも配慮すべきとのことで、その結果明細書作成費用がさらに高騰するのでは、という。そうすると、従来の仮出願のやり方はどうなるのか、元々仮出願は安価で簡便な制度として、クレームなしの明細書のみの出願で出願日を認めたものである。事務所によっては仮出願に要する明細書作成費用を安価に設定しているところもあった。米特許庁の説明によれば(真偽は不明)、仮出願の明細書は実施可能用件を甘く見てくれる、いいかえると実施可能要件が免除されているかのような風説があったが、そのようなことはない、仮出願の優先日の利益を享受するには完全な明細書が必要(ニューレイルロードCAFC判決等)、という当たり前の話。
・須田浩一「米国特許のクレーム解釈(フィリップス事件)」パテントVol.58 No.7(2005年7月)
 フィリップス事件の背景、論点とアミカスブリーフの詳細な分析。
・Meredith Martin Addy(The National Law Journal) "Holistic Approach Works for Patent Claim Construction" law.com (July 26, 2005).
http://www.law.com
 辞書などの外部証拠よりも明細書などの内部証拠に依拠した全体論アプローチ("holistic" approach)の採用を肯定しつつ、これがより柔軟なアプローチであるがため、予測可能性が低下する弊害が生じることに言及。またCAFCがクレーム解釈の高裁審理基準の問題に言及しなかったことについて、メイヤー判事の反対意見を引用しつつ問題視。特にクレーム解釈が法律問題のみならず事実問題を含む混合問題であることの根拠として、クレーム解釈の主体が当業者であって、かつ出願時の技術常識に基づいて判断することから、これら「当業者」、「技術常識」の認定は事実問題だろう、という。そうすると、事実問題を含むクレーム解釈という地裁の判断は、高裁においても尊重されるべきで、その再審理基準は明白な誤り基準とすべき、となる。これは中々に説得力がある。一方で、一旦サイボー事件においてCAFC大法廷が合議した上で現在の結論が確立されている問題について、しかも反対しているのがメイヤー判事、ニューマン判事という現在の状況で、果たして将来見直しがあるのか、そもそも大法廷審理に取り上げられるのか、厳しそうにも思える。
Envirco Corp. v. Clestra Cleanroom, Inc., 209 F.3d 1360, 54 USPQ2d 1449 (Fed. Cir. 2000).
http://www.law.emory.edu/caselaw/fedca/apr2000/99-1111.wp.html
 「baffle」といって思いつくのがこのケース。「baffle」という文言はそれ自体で構造を示しているので、「baffle mean」はミーンズプラスファンクションクレームでない、という判例。
...Although using the word "means" to describe the second baffle, the '395 claims also recite sufficient structure to rebut the presumption that the term is in means-plus-function form. The term "baffle" itself is a structural term. The dictionary definition of the word "baffle" is "a device (as a plate, wall or screen) to deflect, check, or regulate flow." Webster's Ninth New Collegiate Dictionary 124 (1990). Because the term "baffle" itself imparts structure, meaning a surface which deflects air, its use in the claims rebuts the presumption that § 112, § 6 applies.
・Nathaniel Durrance, "HOW THE DOCTRINE OF EQUIVALENTS MAY SAVE CLAIM CONSTRUCTION." 33 AIPLA Q. J. 73 (2005).
Plant Genetic Sys., N.V. v. DeKalb Genetics Corp., 315 F.3d 1335, 65 U.S.P.Q.2d 1452 (Fed. Cir. 2003).
 法律問題か事実問題か、これらの混合問題か、といって思いつくのがこのケース。逆均等論の死刑宣告(Tate Access Floors, Inc. v. Interface Architectural Resources, Inc., 279 F.3d 1357, 61 U.S.P.Q.2d 1647 (Fed. Cir. 2002).)から逆均等論が有効であるとして復活させたケースであるが、均等論侵害の判断が事実問題として分類されているため、逆均等論もクレーム限定解釈に含まれないとする。均等論侵害の判断を法律と事実の混合問題として扱うのであれば、うまく解釈できるのであるが。実際、逆均等論は地裁では認められたケースが幾つかあるが、CAFCで認容されたことは一度もない。
 
 
2005/07/01
 
1.パトリス値上げ
 パトリスの基本料金が、月2000円から4000円に値上げ。また先日には固定制のパトリスJの使用が研究者に制限され、調査会社や知財部の使用は不可とされた(特許事務所は例外的にOKらしい)。
 世知辛いことになりました。が、パトリスもかなり台所が厳しいようで。。。(この情報はテクノデータリンクの小山晋平様より戴きました。この場を借りてお礼申し上げます。)
 
情報元および関連情報:
・「コラム:特許調査会社が答えるノウハウ」アルトリサーチ株式会社(2005年6月6日)
http://www.patentsearch-japan.com/cho/cmessage.htm
====================================
 平成17年初になって固定料金制のパトリス(J)の利用者が急増した結果、システムが稼動できなくなるという状態に陥りました。パトリス(J)は、平成17年初めに調査会社の利用料金を3倍にしましたが、結局、平成17年7月以降、調査会社での利用を禁止し、また、知材部門等での調査を業務とする利用を禁止しました。現状では、非常に不安定なデータベースということで、これをメインに利用することは無くなってきました。民間企業になってから、システム運営の経験不足が露呈したようですが、国内最大の特許データベースでもありますので今後に期待したいところです。
 
 
2005/06/13
 
1.米最高裁判決:試験研究目的による特許非侵害の規定を確認
 特許で保護された高価なブランド薬と、特許切れ後の安価なジェネリック(ゾロ薬などと揶揄される)との争いは特許法分野の定番の一であり、両者のバランスが考慮されるべきとされる。その一方で、世界的・世間的には安価で入手しやすいジェネリックにもっと保護をシフトすべきという方向にあるように見える。日本でも数年前に試験的使用の例外適用を事実上拡大した最高裁判決が注目された。今回の米最高裁判決も、この流れに沿っている。
 米特許法271条(e)(1)(ハッチ・ワックスマン法)は、例外的に特許侵害に該当しない行為として、以下のように規定している(訳は日本特許庁訳を利用)
「(e) (1) 医薬品又は獣医学上の生物学的な製品の製造,使用又は販売を規制する連邦法に基づき,開発と情報の提供の合理的に関連する場合のみに使用される特許発明 (新しい動物用医薬品又は獣医学上の生物学的な製品(連邦食品・医薬品・化粧品法及び1913年3月4日付けの法律で使用されている用語の同じもの)で, DNA組替え技術,RNA組替え技術,交配技術又は,特別な遺伝学的操作技術の分野を含む他の工程等を使用して主に生産された物でないものを除く。)を合衆国内で製造し,使用し,販売の申出をし,若しくは販売すること又はその特許発明を合衆国内に輸入することは,侵害行為とはみなされない。」
 CAFCは2003年の判決において、メルク社がFDAの認可を受けるためにRGDペプチドに関するインテグラ・ライフサイエンス社の特許権を実施した試験が、上記の適用除外規定に該当しないとしたが、今回最高裁は全員一致で本件判決を破棄、CAFCに差し戻しを命じた。判決起草はスカリア判事。争点となったのは上記「合理的に関連する」の解釈で、最高裁は、問題となる医薬やこれを使用した試験結果が最終的にFDAに提出されたか否かは問題でなく、該試験が臨床研究用新薬申請(Investigational New Drug application (IND))や新薬申請(New Drug Application (NDA))に関する情報の類を生じるものであるとの「合理的な確信がある限り」は、侵害に該当しないと判示した。
 そうすると次に問題となるのは、どこまでなら「非侵害」といえる安全圏なのか、その線引きである。本件はCAFCに差し戻されたので、今後はCAFCがどういう線引きを行うかに注目が集まる。実際のところは、271条(e)(1)の例外規定適用が先のCAFC判決で否定されたために、該規定の有効性がジェネリック企業間で危惧されていたのが、今回の最高裁判決で元に戻ったという意見がある。つまり例外規定が拡大されたと言うよりは、規定そのものの有効性、すなわち安全圏が依然として存在していることが確認されたに過ぎないという。いずれにせよ、本規定の今後の適用が注目される。
 
情報元および関連情報:
Merck KGaA v. Integra Lifesciences I, Ltd., 74 USPQ2d 1801 (U.S. 2005).
"It shall not be an act of infringement to … use … a patented invention … solely for uses reasonably related to the development and submission of information under a Federal law which regulates the manufacture, use, or sale of drugs or veterinary biological products."
Integra Lifesciences I Ltd. v. Merck KGaA, 331 F.3d 860, 66 USPQ2d 1865 (Fed. Cir. 2003).
The appeals court said that the exemption did not cover experiments undertaken "in the hunt for drugs that may or may not undergo clinical testing for FDA approval," and that the exemption did not "globally embrace all experimental activity that at some point, however attenuated, may lead to an FDA approval process."
・"Supreme Court Reverses Federal Circuit's Denial of Hatch-Waxman Patent Infringement Exemption for Testing to Obtain FDA Approval." IPO DAILY NEWS (June 14, 2005).
・"Litigation Counsel Explore Unanswered Questions After Merck." 70 Pat. TM&Copyright J. No. 1732 (August 12, 2005).
 
 
2005/06/01
 
1.EPO審決:親亀こけたら子亀も・・・
 分割出願の遡及は、親の分割が適法である場合に限られる。すなわち、分割(子)の分割(孫)を行った場合、分割(子)が不適法な分割であれば分割(孫)も出願日の遡及が得られない。欧州では補正、優先権主張、分割などの要件がかなり厳格であり、補正や遡及効が認められないケースが多い。分割出願は可能な限り子でなく親から直接行うべき。
 
情報元および関連情報:
・T 1158/01(Decision of Technical Board of Appeal 3.4.2 dated 13 July 2004) by TridonicAtco GmbH &Co. KG
Keyword: "Allowability of divisionals from divisionals (yes in principle)" . "Validity of second-generation divisional (no)" . "Legitimate expectations (no)"
Headnote: When the validity of a second generation divisional application is examined, the validity of the first generation divisional from which it was divided out must also be examined. If the subject-matter of the first-generation divisional does not comply with Article 76(1), the second-generation divisional derived therefrom is likewise invalid.
 
 
2005/04/01
 
1.実案改正
 改正実用新案法が施行。件数低下でジリ貧の実案の件数を増やし(その反作用として特許出願件数を相対的に減らすため)、無審査制を維持しつつ、大幅な改正を行った。主な改正点は以下の3点。
1 実案から3年以内の特許出願への変更を可能に
2 権利の存続期間を6年から10年に延長
3 減縮を目的とするクレーム補正を1回に限り認める
 これによれば、先に実案を5ヶ月くらいで権利化しておき、その後の状況を見て特許出願に変更することで、早期権利化と特許権による安定した保護を両立できるというが、果たして実案の出願件数を増やすほど(特許の出願件数を減らして特許庁の審査負担を軽減し得る程の)魅力は増したのか、企業側の反応が注目される。
 個人的に問題だと思うのは、従来通り実用新案登録出願から5ヶ月程度で登録されるとして、出願からわずか半年で技術内容が登録実用新案公報として公開されてしまうこと。従来の特許出願ルートでは出願公開まで1年半ひっぱることができるので、競業他社に対する牽制効果が得られた。他社が何を出願してるか1年半もの間皆目判らないという、目に見えぬプレッシャーは意外に大きいと思う。これが早期に公開されてしまうことは、技術分野によっては問題ではなかろうか。場合によっては出願公開前に特許出願を取り下げることもある訳で、そのような判断時期をおくことが困難になる実案制度、どう評価されるだろう。
 
情報元および関連情報:
・「改正実用新案法の産業界に与える影響についての検討」知財管理Vol.55, No.8, 2005(2005年7月)
 結論としてメリットがないという非常に手厳しい論評。産業界の実務者レベルからの見解として、興味深い。問題点として挙げられている主な点は、実案法29条の3「相当の注意」義務が、肯定的な技術評価書を提示した場合でも課せられていること(この点が今回の改正でも手当てされていない)、1回の訂正のみでは複数回の無効審判などに対応できないこと、評価書を請求すれば特許出願への変更が不可能となるため、事実上実用新案と特許の二本立てでは実案の権利行使ができないこと、等である。さらに早期権利化という実案最大のメリットについても、評価書請求で3〜4ヶ月かかるのに対し、特許出願の早期審査では3ヶ月程度でファーストアクションがくるので、こっちの方がいい!という鋭い指摘も。尤も、外国出願するなど、早期審査の条件を満たす必要があるが。
 さらに、平成5年改正以降の実案で権利者側が勝訴した裁判例が未だ一件もないというのは説得力がある。これまでの裁判例で訂正請求による治癒が可能な事例がどれだけあったのか不明だが、権利行使の面からはやはり不安が残る。「実用新案権として権利活用しようとする意図を持つ者にとっては何ら魅力を感じないものと思われる」と、一刀両断。
 なお、弁理士手数料の代表値として、特許で約30万円、実案で約26万5千円、審査請求や年金の手数料としていずれも1万円/回という数字が挙げられていた。出典は「特許事務報酬に関するアンケート結果」と独禁法違反の懸念から廃止された「旧特許事務標準額表」。この数値も興味深いですねえ。
・「平成16年法律改正(平成16年法律第79号)解説書 第5章:実用新案登録に基づく特許出願制度の導入」特許庁
http://www.jpo.go.jp/shiryou/hourei/kakokai/pdf/tokkyo_kaisei79/08.pdf
 
 
2005/02/28
 
1.先行技術調査の支援制度終了予定
 平成16年6月1日から開始された支援制度がこの日をもって終了予定。中小企業・個人の特許出願について、審査請求前に無料で先行技術調査を特定の民間調査期間が行ってくれるというもの。審査請求料の軽減とは無関係なので、非常に混乱を招く制度ではあるが、僅か半年あまりでの制度終了なので、利用可能な方はお早めに。
 その後の情報によれば、来年2005年も継続される予定とのこと。予定件数になれば早期終了もあり得るとのことだったが、全然届いていないらしい。(この情報はテクノデータリンクの小山晋平様より戴きました。この場を借りてお礼申し上げます。)
 
情報元および関連情報:
・「特許出願に関する先行技術調査の支援制度のお知らせ」特許庁総務課特許戦略企画班(平成16年6月1日)
http://www.jpo.go.jp/torikumi/shien/senkou_chousa.htm
====================================
(株)テクノデータリンク 540-0008 大阪府大阪市中央区大手前1−6−8光養ビル 06-6943-4951 専門分野:自動車及び自動車製造技術、機械金属、高分子化学、創薬・バイオ 電子、通信、エレクトロニクス、画像処理、センサー 検索者数:7  調査できない出願:1. 独立請求項数が6以上の出願;2. 半導体、電子計算機関係の出願。
http://www.tdl.co.jp/jposearch.htm
 
 
2005/02/12
 
1.米特許庁:委任状及び譲渡証に関する規則改正
 米特許庁に出願時に提出する委任状及び譲渡証に関する規則改正。要するに、日本のような包括委任状が利用可能になり、出願毎に委任状を提出しなくても済むようになる。尤も、宣言書は必要なので、今後は委任状/宣言書の統合フォームから、宣言書のみのフォームとなる。つまり、包括委任状には出願人企業の権限のある人がサインし、以降の出願については宣言書に発明者のサインをもらう。その他、10人以上の代理人がある場合は別紙にするなど、細々した手続面での改正あり。
 特許庁としても、これまで多用してきた委任状と宣言書を統合した様式は、推奨しないとのこと。発明者が出願人になる米国の特殊事情、及びサインすべき書類を減らす観点から、従来は発明者の宣言書に委任状も統合したcombined power of attorney and oath/declarationが利用されてきた。しかしながら、この場合は発明者個人が代理人(米国特許弁護士)を選任することとなる。一方で通常は譲渡書により発明者から会社に発明が譲渡される。このため、将来その発明者が退職した場合に、正しい代理権が会社にあるのかどうかに疑義が生じてしまう。これを回避するために、発明者からは宣言書と譲渡証にサインをもらうと共に、譲渡後の会社が代理人を選任することが望まれる。すなわち、宣言書と委任状を個別の書式にして、宣言書は発明者のサイン、委任状には発明者でなく、譲渡を受けた出願人である会社のサイン(代表者や知財部長など)のサインをもらうこととなる。非常に理に叶った実務である。が、現状ではそこまで徹底されているところは余りないようである。今後は一般的になるのだろう。特に、職務発明で揺れる日本においては、ここの部分でのケアが必要かも。
 
情報元および関連情報:
・"Revision of Power of Attorney and Assignment Practice." 69 FR 29865 (May 26, 2004).
・"Final Rule Revision of Power of Attorney and Assignment Practice More Information." USPTO (February 12, 2005).
http://www.uspto.gov/web/offices/pac/dapp/opla/preognotice/poa.html
 
 
2005/02/01
 
1.一太郎訴訟にみる問題点の裏側
 継続していたジャストシステムと松下電器産業との法廷紛争は、これまでジャスト側が2勝していたが、第3ラウンドで初めて松下に敗れ、しかも主力商品である「一太郎」、「花子」の販売差止という厳しい結果に。
 争われた特許は松下の特許2803236号で、アイコンに割り当てられた機能を表示させるものとなっており、元々はパソコンでなくワープロ用に開発されたもの。松下は現在ワープロを製造しておらず、まあライセンス徴収ネタとして特許を利用する、業界的には普通の交渉→決裂→訴訟であったものだが、図らずも特許制度の問題点を世間に知らせることとなった。特許屋的な視点からは、松下はいい特許ネタを持っているな、裁判にうまく勝ったな、となる筈だが、世間的には、現在製造していないワープロに関する技術で、業績の悪いジャストを訴えて主力商品の差し押さえをさせるとは、なんということだ!と、裁判で勝ったはずの松下が悪者にされているという、おそらく松下的には予想外の結果となっている。一方のジャストシステム(+元々の発端であったソーテック)にしても、中小故裁判対策が十分でなかったと、随分嘗められた批評が多い。まあ、訴訟の経緯や実情を知らない報道では、こんなものかもしれない(むしろ、不勉強な報道に対する対策が今後は重要になるのかも)。
 本件はこれまでの経緯から、珍しく非侵害にする回避策が明確になっている。要するに、マウスカーソルが「?」のみなら文字であって「アイコン」に該当しないから非侵害、矢印の組み合わせだと「アイコン」に該当するから侵害、ということ。実際、ジャストもヘルプモードの「アイコン」を「?」のみの「非アイコン」に変更したパッチを配布している。通常の裁判では侵害とされた後の商品をどうやって非侵害にもっていくかが容易でない訳だが、今回の事件では明確なセーフハーバーが示されているので、侵害を回避することは容易である。しかも裁判では損害賠償が(今のところは)求められていないので、裁判による影響は本来少ないはずである。しかしながら、世間的なダメージは大きく、判決が新製品(一太郎2005)発売前だったこともあって、風評的な影響が大きいだろうと予想された。一太郎ユーザが官公庁(裁判所含む!)や学校関係で多いことも、法令遵守を優先するユーザから不安がられることも考えられる。
 ただ、裁判で検討された特許の無効資料は結構イイ線のようにも思われるので、例えば特許庁で無効審判すれば松下の特許が潰れる可能性は十分ありそうにも(個人的には)見えた。裁判所での特許無効判断は、あくまでも無効であることが「明らか」な特許ということに建前上はなっており、言い換えると特許性が微妙なものについては無効判断しない、と考えることもできるので、(こんな空論が無意味であることは重々承知してますけど。。。)その線からの反撃も可能かと思われる。実際、裁判所と特許庁の判断が異なった例は過去にも何件かあった。
 もちろん、個人的、主観的には一、一太郎ユーザとしてジャストには頑張ってもらいたい。知財高裁ではたぶんひっくり返ると思う。裁判所も一太郎使っているらしいし。判決は9/30の予定。
 
情報元および関連情報:
・H17. 2. 1 東京地裁 平成16年(ワ)第16732号 特許権 民事訴訟事件
・H16. 8.31 東京地裁 平成15年(ワ)第18830号等 特許権 民事訴訟事件
・「「一太郎」「花子」の販売禁止---東京地裁,松下の主張認め判決」日経(2005年2月1日)
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20050201/101305/
・「ジャスト「一太郎」の販売中止を命じる 松下アイコン訴訟で判決」IT media
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0502/01/news052.html
・目次康男「こんなにあったUI特許 ジャスト−松下裁判で浮かび上がる課題」日経コンピュータ(2005年2月21日号)
・牧野和夫「ジャストシステム『一太郎』『花子』事件東京地裁判決−4つの疑問点を探る−」Right Now!(2005年6月)
 
 
2005/01/01
 
1.韓国の優先権証明の翻訳不要に
 韓国特許法施行規則が改正され、優先権証明書の翻訳文提出は、審査・審判時に必要な場合に限り提出するようになった。通常は不要となると考えられるので、経費節減効果大。
 
情報元および関連情報:
・「優先権証明書類翻訳文の提出手続きの変更内容」康&康 国際特許法律事務所(2005年1月)
 
 

 間違い、反論、質問、情報等がありましたら、是非メールをお願いします。
・作成 豊栖 康司  a d m i n @ t o y o s u .(dot) c o m
Copyright (C) Yasushi Toyosu, 2001-2006. All rights reserved.

注意事項       お読み下さい。
・著作権について
 本ページの内容は、著作権法により保護されています。したがいまして、著作権法上の例外に該当する場合を除き、内容の複製、再配布等の行為は有償・無償を問わず禁止します。
・商標について
 掲載した名称・商品名は、特に明記しておりませんが各社又は団体・個人の商標または登録商標です。
・免責について
 記載には十分注意を払っておりますが、あくまで私個人の学習ノートの公開という性格上、正確性は保証できません。万一内容に起因する損害や不利益等が生じても責任は負えませんので、予めご了承下さい。中には不快な表現や不適切な表現が含まれているかもしれませんが、特定の個人や団体を中傷する意図はありません。
このページのTOPに戻る