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2000年前半のショート・ニュースと噂とヨタ話と...
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走り書き程度で正式公開するには内容が不十分と思えるのですが、速報性等を考えて試験的にアップします。御意見を頂ければ幸いです。年表の作成を基本に始めたので、事件の日付順に列挙しています。ですから更新箇所はランダムです。
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(※完全に個人的な覚え書きです。裏を取ってないものや、他言無用の未確認情報故、内容は保証致しませんのであしからず)
更新:2002/07/09
最近のひとりごと 2000年1月以降の戯れ言
1998年のひとりごと 1998年のたわごと
IPニュース 1999年の最新ニュース
2000/04/07
1. ヒトゲノム解読ほぼ完了
セレラ・ジェノミクス社(Celera Genomics)は6日、人間の全遺伝情報(ヒトゲノム)の読み取りをほぼ終了したと発表。遺伝情報を適切な順序に並び替える作業に今後数週間かかるとのこと。セレラのクレイグ・ベンター社長(Craig Venter)は、4月6日に行われた下院科学委員会エネルギー・環境小委員会での公聴会で、「ヒトゲノム配列解析終了時には、セレラのホームページにて研究者は無料で利用できるようにする」と述べた。そして、他社がセレラのデータベースを販売できないように、データベースの保護を求める考えであるとしている。
情報元および関連情報:
・「ヒトゲノム解読終了を発表 米セレラ・ジェノミクス社」毎日インタラクティブ(2000年4月7日)
・Reuters, "Gene patents won't hurt research, scientists say.", FindLaw Legal News (April 6, 2000).
ベンター社長のコメント
"One of Celera's founding principles is that we will release the entire consensus human genome sequence freely to researchers on Celera's Internet site when it is completed," Venter told a hearing of the Energy and Environment subcommittee of the House Committee on Science."
"We are not attempting to patent the human genome, any of its chromosomes, or any random sequence..."
"We will place no restrictions on how scientists can use this data ... The only protection that we have indicated that we would seek is database protection, as exists in Europe, to inhibit other companies from selling the Celera database."
・CNN, "Researchers report completing first step in mapping human genes.", CNN.com (April 6, 2000).
2. ICANNの統一ドメイン名紛争処理方針(uDRP)の手続一覧が改訂
ホットワイアードジャパン2000年4月6日WIRED NEWS Mail P2、「3粒の小ネタ」より。
関連資料:
・Information on Proceedings Commenced Under the Policy
2000/04/06
1. 米特許庁規則改正、当事者系再審査も
続々と、等と言ったら早速今日も新たな規則が発表。今度は当事者系再審査。
最も興味を引くトピックの一つ、インタビューには第三者請求者は参加できない(規則1.560)。
気になる料金は、従来の査定系が2520ドルに対し、当事者系は8800ドル。裁判することを思えば100万円程度でも妥当なのか(弁護士費用はこんなもんでは済まないでしょうが)、、、
情報元および関連資料:
・"Federal Register Notice: Rules To Implement Optional Inter Partes Reexamination Proceedings.", USPTO (April 6, 2000).
↑細かい字のフェデラルレジスターで34ページ(今回の規則案の中では現在最長)、誰か読んでくれる奇特な方はいらっしゃいませんか〜
2. 迷惑ビジネスモデル特許、日本でも
情報元および関連資料:
・「『従量制のサービス全般』は特許に抵触?ISP各社にメール」INTERNET Watch(2000年4月6日)
・「ビジネスモデル特許抵触の可能性」株式会社インターナショナルサイエンティフィック
・米国特許第5,956,697号Timer-based fee-charging system for internet
・特開平10-27036「インターネットの時限利用課金システム」
2000/04/05
1. 米特許庁規則改正、続々と(追加)
先の審査継続請求の規則発表に続き、3月31日には「存続期間調整」制度、本日4月5日は18ヶ月早期公開制度に関する新規則が発表されている。順次、読んで内容をまとめたいと思います(溜息)。今月から来月にかけて例のビジネス方法特許に関するガイドライン改訂も発表されるはずだし、大変。
A.存続期間保証
存続期間保証規定では、2000年5月29日以降の出願につき「14-4-4-4」の期間枠で特許庁が行動を起こせなかった場合に、日毎で権利期間を延長するというもの。具体的には、以下ができなかった場合に該当する。
1 出願日から14ヶ月以内に最初の通知
2 出願人の応答、もしくは審判請求に対する4ヶ月以内の対応
3 特許査定可能なクレームがある場合、審決もしくは裁判所判決後4ヶ月以内の対応
4 特許発行料納付および他の要件具備後、4ヶ月以内の特許発行
さらに、出願から3年以内に特許が発行されなかった場合も、その分を延長される。
ただし、当該3年には継続審査、審判およびインターフェアレンス、秘密命令のために要した期間は含まれない。また出願人の責による遅延も、延長分から除かれる。これは出願人が審査を終結させるための合理的な努力を怠った場合、と規定されているが、例えば特許庁の通知に対し3ヶ月以内に応答しなかった場合が該当する。これは、通知書で審査官の指定する期間が仮に6ヶ月であったとしても(例えば通知書中に期限の定めがないとき、要するに審査官が期日を指定し忘れた場合などは、6ヶ月の期間が与えられたものと扱われる。)、3ヶ月以内に応答しない限り延長から差し引かれることになるので注意されたい。
B.18ヶ月早期公開制度
この規定は2000年11月29日より施行される。概略としては既報の通りで、例えば外国出願されていないものについては請求により非公開とできる。
気になる公開の内容であるが、完全な出願が対象となる、つまり出願時に提出された出願書類に不備があった場合は、その後提出された書類ももちろん公開される。また、公開のために書式要件がより厳しくなっている。特に図面の要件が厳しくチェックされる模様。
なお、特許庁が現在テスト中の電子出願が軌道に乗れば、この電子データを使って公開に利用しようと計画している。
公開公報は、様々な形式で利用可能。特許庁のホームページでも無料公開される模様。
公開日は毎週木曜で、出願人に請求される公開料金は300ドル。
情報元および関連情報:
・"Federal Register Notice: Changes to Implement Eighteen-Month Publication of Patent Applications.", USPTO (April 5, 2000).
PDF形式で27ページ
・"Federal Register Notice: Notice of proposed rulemaking: Changes to Implement Patent Term Adjustment Under Twenty-Year Patent Term.", USPTO (March 31, 2000).
約15ページ
・"PTO Proposes Rules to Implement Patent Term Guarantee Amendments.", 59PTCJ 747 (April 7, 2000).
・"Rules Are Proposed To Implement 18 Month Publication of Patent Applications", 59PTCJ 747 (April 7, 2000).
・"Reestablishment of the Patent and Trademark Office as the United States Patent and Trademark Office.", 65 Fed. Reg. 17858 (April 5, 2000).
3月29日より、特許庁に予算配分や歳出、決定事項、手続その他の管理面での自治運営を認める法律が施行。特許庁長官の役職名はコミッショナーから「ディレクター」に。
2. 米最高裁、弁護士費用負担責任について口頭審理
たぶん、現在最高裁で係属中の特許関係の事件はこれくらいだと思うが、、、
裁判で当事者としてあげられていなかった第三者(事実上は原告企業のオーナー)に対し、弁護士費用支払い責任を課すことが出きるかが争われている。
情報元および関連資料:
・Dugie Standeford, "High Court Hears Debate on Non-Party's Liability For Attorneys' Fees.", IP Law Weekly (April 5, 2000).
3. オンライン和解システム
訴訟大国アメリカならではのビジネスモデル。これを見て特許裁判に特化したサイトを立ち上げる人がいないかな。
情報元:
・山下洋一「米国で"オンライン和解システム"が人気 保険トラブルを中心に年間4000件を解決」日経ネットブレーン(2000年4月6日)
2000/04/04
1. マイクロソフト、地裁で敗訴
既報の通り。
情報元および関連資料:
・ニュース編集部「【解説】控訴審も泥沼化?--米MS、独禁法裁判で敗訴」日経Biztech(2000年4月4日)
・CONCLUSIONS OF LAW
・井上雅夫「Microsoft独禁事件 法的結論」プログラム関連米国判決集
(上記判決の日本語訳)
2. ITCは中立か
情報元および関連資料:
・Renee Deger, "Unfavorable Decision? Let Congress Help.", The Recorder/Cal Law (April 4, 2000).
2000/04/03
1. 「ファーストコンタクト」は一般名称
映画「スタートレック:ファーストコンタクト」のタイトルが商標で保護できるかどうかが争われていた事件で、バージニア東部地区連邦地裁は当該名称が一般名称であり、二次的意味を有しないとして保護できないと判示。
あの映画、個人的にはシリーズ中でも大好き!続編はいまいちだったが...続編のタイトルは仮題どおり「prime directive」にして欲しかったなあ。これなら絶対保護できるはず...
情報元および関連資料:
・"Title 'First Contact' Is Generic for Subclass of Science Fiction: Even if descriptive, 'First Contact' is not entitled to trademark protection because it has not acquired secondary meaning.", IP Law Weekly (April 3, 2000).
・Estate of Jenkins v. Paramount Pictures Corp., No. 99-1766-A (E.D. Va. 3/20/00).
2. 特許事務所に制裁金
よく日本でも講演、執筆活動などを積極的に行っているモリソン事務所は、日本のクライアントに対して比較的安価なサービスを展開していることで有名。トム・モリソン氏率いる同事務所に対し、裁判に際して事前の調査が不十分であったとして懲罰的損害賠償の支払が命じられている。法律事務所に対し制裁を科すのは珍しいケース。よほどのことがあったのだろうか。
情報元および関連資料:
・View Engineering, Inc. v. Robotic Vision Systems, Inc. and Morrison Law Firm, No. 99-1399 (Fed. Cir. 2000).
・"Sanctions Against Law Firm Upheld For Unfounded Claims Infringement.", 59 PTCJ 750 (April 7, 2000).
2000/03/31
1. ハイパーリンクは著作権侵害でない
日本ではELマスク裁判でリンクでも有罪とされる可能性があるとされてしまったが(ちょっと言い過ぎ?)、一方アメリカでは「リンク自体は著作権侵害でない」という判例が同時期に下されている。地裁判決ではあるが、リンクの合法性を示した画期的な判決かも。
チケットマスター対チケット・ドット・コム事件で、カリフォルニア中部地区連邦地裁は原告の訴えを却下して、以下のように判示。
「ハイパーリンクを張ること自体は、複製行為が行われているわけでないため著作権侵害に該当しない。利用者は原著作者による真正のホームページに自動的に転送されたのであり、ここで起こっていることに何らの詐欺はない。これは特定の品目の参照番号を知るために図書館の目録(インデックスカード)を利用する行為に類似する(本件ハイパーリンクの方がより速く効果的ではあるが)。」
要するに、サイト利用者は自分がどのサイトにいるかが判り(相手のサイトをあたかも自分のサイトのように利用者に混同させない)、また相手のホームページの内容をコピーするものでなければ、リンクは可能ということになる。
また、トップページでなく、下位の階層のページに直接リンクすることも違法でないとされている。一般にトップページには広告等が入るため大事な収入源とされており、原告側はサイト構築に要した費用の恩恵を被告側が享受できることになるとして違法性を主張していた模様。
なおチケットマスター社は、以前にもリンクを違法に張られたとしてマイクロソフトを訴えたことがあるが、その件は和解している。
情報元および関連情報:
・Brenda Sandburg, "Copyright Not Violated by Hypertext Link.", The Recorder/Cal Law (March 31, 2000).
被告側弁護士によれば、本判決は以下の争点に言及したことで重要であるという。
・ハイパーリンク自体で裁判可能か
・純粋に事実を述べる情報を使用することが著作権違反となるか
whether hyperlinking is in itself actionable and whether the use of purely factual information is copyright infringement.
・Ticketmaster Corp. v. Tickets.com, CV99-7654 HLH (BQRx) (C.D.Calif. 2000).
"hyperlinking does not itself involve a violation of the Copyright Act ... since no copying is involved...The customer is automatically transferred to the particular genuine Web page of the original author. There is no deception in what is happening. This is analogous to using a library's card index to get reference to particular items, albeit faster and more efficiently"...
"deep linking by itself . . . does not necessarily involve unfair competition.''
・AP, "Judge OKs Links to Rival Web Sites.", FindLaw Legal News (March 29, 2000).
・Linda Rosencrance, "Ticketmaster accuses Tickets.com of misrepresenting judge's 'deep-linking' ruling.", Computerworld Newspaper (March 31, 2000).
被告側による先の発表は誤解を招くという原告側からの反論。チケット・ドット・コム社の報道発表では、トップページでなく階層の深いページに直接リンクを張る権利が認められたという内容であったが、原告チケットマスター社によれば、今回の判決に関してそのような解釈は誤りだという。10件の訴えの内、4件が却下されたに過ぎず、残りの6件については公判に進むことが認められている。チケットマスター社のCEOチャールズ・コン氏によれば、「裁判官は確かに下位ページへのリンク自体は違法でないとしたが、我々が主張しているのは他のビジネス手法と組み合わせたときのことだ」。つまり各ページへリンクすること自体は問題とならないが、直接の競業相手が競争目的で他社のホームページにリンクを張ったらどうなるか?という点を問題としている模様。リンクすることに特別な意図がある場合は、違法性を認められるかもしれない。
なお自社に都合のいい内容のみを発表するというのは常套手段で、先日のアップル社によるiMAC類似パソコンに関する紛争終結宣言などがそのいい例。ビジネスモデル特許の定礎を築いたAT&T対エクセル・コミュニケーションズ事件でも、両社が勝訴宣言をして混乱させられた(最終的にはAT&Tの負け)。
・Ticketmaster v. Microsoft, CV 97-3055 (C.D.Cal. 1997).
・Bechtold: The Link Controversy Page
上記判決の他、ハイパーリンクの法的問題に関する論文や事件のリンク集
・"Claim That Competitor Linked to Web Page Alleged Sufficient Copying to Avoid Dismissal.", 59 PTCJ 751 (April 7, 2000).
ウェブ版では地裁判決の全文が掲載されるようになったので、便利!
2000/03/30
1. ミラーサイトにも法的責任
情報元:
Sherman Fridman, "Mirror Sites Included In Cyber Patrol Copyright Ruling.", Newsbytes (March 29, 2000).
2. セレラがデータ公開
先日のクリントン/ブレア共同声明で株価が暴落した同社が、取得した情報の公開を計画。もちろん無料ではありません。レクシス/ネクシスのような専門データベースを構築して検索サービスを提供する模様?
情報元:
・リサ・M・クリーガー(マーキュリー・ニューズ)「セレーラがヒトゲノムのデータを公開へ」asahi.com(2000年3月29日)
3. ビデオ圧縮技術
MP3と同じような状況に置かれかねないビデオ配信の新技術。
情報元:
・John Borland,日本語版:小山敦史「ビデオ圧縮のハッキング技術がMP3並に普及する?」CNET JAPAN TECH News(2000年3月27日)
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...DivXは米マイクロソフトの『MPEG4』ビデオ技術をベースとし、これにMP3のオーディオ・ストリームを付け足している。DivXビデオの再生用ソフトの存在は知られていないが、DivXファイルは、マイクロソフトの『Windows Media Player』にアドオンとして機能を追加することによって利用できる。
4. ELマスク画像裁判、有罪判決
注目の裁判結果。猥褻画像をサイト自体には掲載せず、リンクした場合でも有罪に。
情報元および関連情報:
・日経ネットブレーン編集「『リンク』することがほう助罪に!?"FLマスク画像裁判"で有罪判決」日経ネットブレーン(2000年3月30日)
・渡部章「週間セキュリティ通信:第6回犯罪サイトへリンクすると罪?どこからがネット犯罪?(その2)」(2000年4月3日)
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...この判決によると、リンク先で犯罪が行われていることが予測できる場合は、リンクすることでその犯罪のほう助罪が成立するからである。つまり、検索エンジンが犯罪サイトを検索する可能性を知りながら自動的にリンクづけすることや、個人HPからわいせつ画像があるサイトへリンクすることも、罪に問われる可能性が出てくる。
コンピューターウイルスの作成方法の教示、ウイルスの掲示や配布自体は、現行法では裁けない。また、クラッキングのテクニックを教示することも、防衛のためなのか攻撃のためなのかの線引きが難しいためにグレーゾーンと言える。
ただし、これらもケースによっては「電磁的記録不正作出」および「電子計算機損壊等業務妨害」などの刑法によって罪に問う事が可能である。リンク先のサイトがこれらの刑法に触れる活動を行っている場合には要注意だ。FLマスクの判例から言っても、ウイルスやハッキング情報の集まるアンダーグランドサイトへのリンクも、ほう助罪になる可能性を含んでいると言えよう。
・園田寿「FLMASKリンク事件判決要旨」電脳世界の刑法学
5. DVD訴訟の意味
ちょっと古いニュース。デジタルミレニアム著作権法の問題を指摘。
情報元:
Lisa M. Bowman,「ハリウッド対Linuxコミュニティ――DVD訴訟が持つ意味」ZDNN(2000年2月28日)
2000/03/29
1. CAFC、全員法廷でフェスト対焼結金属工業事件を審理
注目の事件の口頭弁論が本日CAFCにて開かれた。すごい人だったから、明日あたり詳細が報道されることでしょう。本件クレーム補正の理由は「ミステリー」といわれていますが、これをCAFCはどう捉えるのか。
2. 米特許庁、ビジネスモデル特許の審査をより厳格に(追加:一夜明けて混乱必至。日本でも、多分)
本日付のウォールストリートジャーナルで、ディキンソン米特許庁長官がビジネスモデル特許の審査をより厳格に行う旨のコメントを紹介していた。ソフトやネット関連技術のデータベースの構築や、審査の品質管理を厳しくするなどの内容。そして早速、特許庁ホームページに告知が掲載されている。これによると、
1 関連業界(ソフト、インターネット、eコマース)との連携により、相互の懸案事項について話し合いの場を持つ。2000年夏の円卓会議の開催や、特許庁の先行技術リソース(データベース)について業界からのフィードバックを受ける。
2 審査の品質管理
・審査官の教育を拡充する。産業界との協力により現在の教育システムを継続すると共に、トレーニングの機会を増やす。銀行/金融、eコマース(電子商取引)、保険、インターネット基盤の4つの分野で、業界の常識や周知技術、技術的な意味や範囲、工業規格などに詳しい実務専門家をおき、審査官の相談役とする。特許庁はこのような教育の必要な分野を公示する。
・コンピュータ関連発明の審査ガイドラインや教育用の例示資料を、ステートストリートバンク事件およびAT&T事件にしたがって改訂する。
・705分類(いわゆるビジネスモデル特許の分類とされている。データ処理、金融、ビジネス実務、管理、価格決定)のすべての出願は、先行技術調査で分類別米国特許資料調査と、米特許資料、外国特許資料、非特許文献のテキストサーチを含めるよう義務化する。非特許文献サーチには、705分類に関連する分野も必須調査分野に含める。
・705分類に関しては、特許査定済出願すべてに対し新たに第二段階チェックを義務付ける。調査項目が具備されているか、特許査定の理由、クレーム範囲の再検討が必要かどうかの判断などが含まれる。
・特許審査品質管理部による品質管理調査の抽出数を拡大する。現在進行中の再チェック制度は、特に先行技術調査の分野や102条/103条の特許性判断の適否に集中するように導入される予定。
情報元および関連情報:
・"Business Methods Patent Initiative: An Action Plan" USPTO (March 29, 2000).
・ANNA WILDE MATHEWS, "U.S. Will Give Web Patents More Scrutiny Under New Plan.", THE WALL STREET JOURNAL (March 29, 2000).
・Reuters, "U.S. Patent Office to overhaul Internet area", FindLaw Legal News (March 29, 2000).
コンピュータ関連発明の審査ガイドラインは例示を倍増して来月公表される予定とのこと。
Dickinson said new guidelines for patent examiners looking at computer-related inventions would be made available next month. His agency would also double the sample size of computer-business method patents that get a final quality check.
・John Schwartz, "Online Patents to Face Tighter Review.", Washington Post (March 30, 2000).
経験を積んだベテラン審査官によるセカンドチェックが入る。調査が確実に行われたか「第二の目」で確認するとのこと。
・ロイター「米特許庁、インターネット分野の申請処理手順見直しへ」エキサイトジャパンニュース(2000年3月30日)
・WSJ Interactive「米特許庁,電子商取引関連の特許審査方法を改善へ」ZDNN News Bursts(2000年3月29日)
・「ビジネスモデル特許で官民協議会設立、米国特許商標庁」毎日新聞(2000年3月31日)
・ロイター,日本語版:藤原聡美,岩坂彰「米特許局、電子商取引関連の審査制度を見直し」ホットワイアードジャパン(2000年3月29日)
先のワシントンポストなどの記事とほとんど同じ。
・Brenda Sandburg, "PTO Ups the Ante Feds planning stricter scrutiny of business method patents on the Net.", The Recorder/Cal Law (March 30, 2000).
...Dickinson noted that the PTO has two technology specialists in the biotechnology arena.
...Dickinson said the initiative was launched to address the flood of new business method patent applications coming into the agency. Such applications have grown from 1,300 in fiscal year 1998 to 2,600 in fiscal year 1999. Six hundred business method patents were issued last year.
予算転用の問題にも言及。
...Since about 1990, the PTO has been the only federal agency that receives all of its funding from fees...While the money is given back in the following year's budget, Dickinson said money from that year's budget is taken away at the same time. In the last two years, Congress has taken $200 million from the PTO and this year the figure will increase to $368 million.
なお、このような連邦議会の暴挙(?)に反対する声は多い。歳入をよその官庁に巻き上げられたのでは、特許庁が困るばかりか出願人サイドからしても面白くない。何のために高い料金を納付しているのか、例えば日本特許庁に支払った印紙代が住専処理や不良債権処理に回されたとしたらどうだろう(もっとも、既に税金が投入されているわけだけど)...
というわけで、法改正により特許庁歳入はすべて特許庁自身が利用できるとする法案H.R.4034「米国特許商標庁再認可法(US Patent and Trademark Reauthorization Act)」が審理中。特許法43条を改正し、歳出法(appropriation Acts)による事前の承認なく特許庁が得た歳入すべてを利用できるとするもので、お馴染みコーブル議員の上程による。先頃3月23日に裁判・知的所有権小委員会(Judiciary Subcommittee on Courts and Intellectual Property)で可決された。次は司法委員会本会での審理。先は長い。。。
3. インターネットのジュリスディクション
ローニュースネットワークより。ホームページを根拠に裁判官管轄を確立しようとして、認められなかったケース。この分野では既に幾つかの先例があり、サイトのインタラクティブ性に基づき判断される。サイトが受動的、つまり情報を掲示してあるだけならば管轄なし、インタラクティブ、要するにネット上で商品の注文、購入、決済が可能ならば管轄ありで、両者の中間ならば程度によるとされている。
本件ではサイバーセル事件を引用しながら、インタラクティブなサイトと異なる受け身のサイトでは、「何かそれ以上のもの」がなければ、被告が実質的な手段によって管轄州に対し何らかの行為を意図的になし得たことを示すには不十分であると判示している。
情報元および関連情報:
・E-Commerce Law Weekly, "Passive Web Site Fails to Provide Jurisdiction for Infringement Claims: Court also declines to pierce corporate veil of parent company to reach acts of wholly owned subsidiary.", (March 29, 2000).
・Nutrition Physiology Corp. v. Enviros Ltd., No. 5:99-CV-0107-C (N.D. Texas. 3/9/00).
・3 D Sys. Inc. v. Aarotech Labs. Inc., 160 F.3d 1373, 48 U.S.P.Q.2d 1773 (Fed. Cir. 1998).
CAFCは、企業および製品の一般的な情報を掲示するホームページで、電子メールによるやりとりを子会社に転送するようにしたホームページは、被告が州の住人でない事件の人的裁判管轄(personal jurisdiction)の確立にこれだけでは不十分と判示した。
・Cybersell Inc. v. Cybersell Inc., 130 F.3d 414, 44 USPQ2d 1928 (9th Cir. 1997).
第9巡回裁判所は、受動的サイトとインタラクティブなサイトの相違を分析している。受け身のサイトとは一般的な情報を掲示しているが、受注しないもの。一方インタラクティブな、双方向のやりとりが可能なサイトでは、サイト訪問者がホストコンピュータと情報を交換できるものである。
"Interactive" web sites present somewhat different issues. Unlike passive sites such as the defendant's in Bensusan, users can exchange information with the host computer when the site is interactive. Courts that have addressed interactive sites have looked to the "level of interactivity and commercial nature of the exchange of information that occurs on the Web site" to determine if sufficient contacts exist to warrant the exercise of jurisdiction. See, e.g., Zippo Mfg. Co. v. Zippo Dot Com, Inc., 952 F. Supp. 1119, 1124 (W.D. Pa. 1997) (finding purposeful availment based on Dot Com's interactive web site and contracts with 3000 individuals and seven Internet access providers in Pennsylvania allowing them to download the electronic messages that form the basis of the suit); Maritz, Inc. v. Cybergold, Inc., 947 F. Supp. 1328, 1332-33 (E.D. Mo.) (browsers were encouraged to add their address to a mailing list that basically subscribed the user to the service), reconsideration denied, 947 F. Supp. 2448 (1996).
4. OS9はフェアユース
既に報じられているとおり。「OS9」の名称はまずいのではという冗談が現実になったシャレにならない事件だったが、どうやら大丈夫。
情報元および関連情報:
・"Apple's 'OS 9' Is Fair Use of Trademark.", E-Commerce Law Weekly (March 29, 2000).
・Microware Systems Corp. v. Apple Computer Inc., No. 4-99-CV-90496 (S.D. Iowa 3/15/00).
その後、控訴へ
・「Microware,『OS 9』の名称めぐるAppleとの訴訟で控訴へ」ZDNN/USA News Bursts(2000年4月1日)
5. クアルコムとモトローラが和解
長年の特許紛争に遂に終止符。
情報元:
・Reuters, "Qualcomm and Motorola settle patent suits.", FindLaw Legal News (March 28, 2000).
・Brenda Sandburg, "Phone Makers to Settle Patent Suits.", The Recorder/Cal Law (March 30, 2000).
2000/03/28
1. ランバスの訴えに日立が反訴
特許権侵害訴訟、さらにITC提訴を仕掛けた米ランバス社に対し、日立が反トラスト法の反訴を主張。日経エレクトロニクスの報道によれば、「Rambus社は1990年4月に高速メモリに関する特許の出願していたにも関わらず,この事実を隠してその後の高速メモリに関するJEDEC(Joint Electron Device Engineering Council Solid State Technology Association)の規格作成作業に参加していた。この場合,特許の情報公開が原則であり,Rambus社はこれを破った」と日立は主張し「反競争的行為」としている。規格策定とその裏で特許権取得というパターンは例のワング対三菱事件を思い出す。あの事件では三菱側に「黙示のライセンス」が認められた。もちろん、他にも様々な事情や要因があったからで、すべてはケースバイケースと言えるが、さて本件は。
情報元:
・新井将之「米Rambus社と日立の特許係争,日立側が反訴」日経エレクトロニクス(2000年3月28日)
2. 弁護士向けポータル
先の広告解禁(3月24日)を受けて、弁護士支援のポータルサイトが開設されている。弁理士版もできないかな。。。
情報元および関連情報:
・臺宏士「『弁護士をネットで支援』 広告解禁で専門サービス」毎日インタラクティブ(2000年3月28日)
・リーガルネットワーク
3. ARMコアに知的財産権管理機能
表題の通り。デジタル時代ではコピー防止など、知財保護管理機能が必須になる?
情報元:
・三宅常之「ARMコアに知的財産権管理機能を搭載へ」日経エレクトロニクス(2000年3月28日)
4. 物書きの心得
映画評を見ていて出会ったサイトですが、明細書書き、論文書き、ホームページ書き、ひとりごと書きその他(小説家でない)物書きに必要と思われる心得として、大いに共感するものがありました。美辞麗句やボキャブラリーの豊富さよりも、重要なのは正確さと明確さ、それと締め切り(期限)を守るプロとしての責任、でしょうか。
情報元:
・服部弘一郎「FAQ:仕事編」新佃島・映画ジャーナル
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Q. 映画ライターに必要な才能とは?映画ライターには文才が必要ですか?感性が鋭くないとダメでしょうか?
A. 明快な日本語を書く能力と、締め切りと指定された文字数を守るプロ意識が必須。
映画評は文学作品ではありません。必要なのは読者を感銘させる美文ではなく、読者に映画の魅力をきちんと伝えられる機能的な文章だと思います。明快な日本語を書くにはそれなりの訓練が必要ですが、そのためにはひたすら毎日文章を書くことです。これは多少なりとも文章を書くことがある人なら、誰にでも言えることですけどね。サラリーマンだって明快な文章が書けた方がいいですから……。
雑誌で映画評を書くとき求められるのは、締め切りと文字数の厳守です。雑誌には進行スケジュールがあるので、どんなに立派な文章が書けても締め切りが守れないと使ってもらえません。雑誌には決められたページ割りや文字数がありますから、それより多くても少なくても原稿は使い物にならない。自分の言いたいことを、指定された文字数でピッタリと言い尽くさなければなりません。これも訓練が必要です。
2000/03/27
1. ローニュースネットワークより
一つは先例判決でないから、あまり重視されていないCAFCの判決。手続上の問題で、特許庁の手順に誤りがある場合でも規則に従って庁内での再審理(審判請求もしくは特許庁長官への上申)を受ける必要があり、特許庁をとばして直接裁判所に訴えることはできないと判示。また、憲法修正5条のデュープロセス(due process)や免責条項(sovereign immunity)等も主張されていた。
情報元および関連情報:
・Mealey Publications, "Applicant Must Use PTO Appeals Process, Even Against PTO." (March 27, 2000).
・George A. Teacherson v. Patent and Trademark Office, No. 99-1465 (Fed. Cir. March 10, 2000) (unpublished).
もう一つはデジタルミレニアム著作権法における、迂回禁止条項(anticircumvention provision)の範囲が争われている。
情報元および関連情報:
・Brenda Sandburg, "Sequel to Cyber Copyright Fight: As feds fine-tune digital copyright law, both sides of key technology issues square off again.", The Recorder/Cal Law (March 27, 2000).
2000/03/24
1. 米国ビジネスモデル特許、審査能力は?
ニューヨークロージャーナルより。ディッキンソン特許庁長官への質疑応答。
ステートストリート判決でビジネスモデル特許の成立が認められた後、約一年で2600件の出願があり、うち583件が特許されたという。問題になっているこれらの出願についての審査官の審査能力については、利用できるデータベースの拡充や審査官自身が最新技術を学ぶための現地視察プログラムを積極活用。また出願人側の審査協力の側面から、出願前の先行技術調査や報告の義務付けを検討中という...!
18ヶ月の早期公開制度については、4月上旬に規則を発表する予定。公開方法はネット上で行うことも検討されているらしい。特許公報が特許庁ホームページから無料で入手できる現状を考えれば、驚くことではないが。
情報元:
・"Can Feds Keep Up With E-Patents?", New York Law Journal (March 23, 2000).
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...Between October 1998 and September 1999, 2,600 applications for computer-related business methods were filed. During that same time period, 583 of these patents were issued.
..We have access to 900 databases, which provide us with better access to prior art than we have ever had in this office. We do need better access to databases in the area of business methods, which is why we held a hearing on this last year...We are also accelerating a program of field trips for examiners to meet with the technologists to learn more about the state of the art in technology. This applies in all technology areas, not just in business methods.
...We are considering whether we should make the rule even tighter and require applicants to search for prior art and tell us if they don't.
..."Business method" is not defined in the statute though, and this will make for some interesting case law.
2. まともな特許流通市場の形成
休眠特許の活用を検討する企業は多いが、問題はどこに依頼するかである。実績がない状況では信用性の比重が大きくなる。アメリカではデュポン社の後ろ盾を頼りに、ベンチャー企業であるイエットツー・コム社(yet2.com)に大手企業が参加しているとのこと。
情報元:
・伊藤 暢人、谷口 徹也「『死蔵特許がカネになる』に群がった大物企業、日本勢は売り期待」(2000年3月22日)
3. ランバスの特許紛争、今度はITC提訴へ
米ラムバス社はメモリの特許侵害で今年1月に日立をデラウェア連邦地裁に提訴しているが、今度は3月23日、日立に加えてセガ・エンタープライゼスを米国際貿易委員会(ITC)に提訴。ドリームキャストで使用するメモリ等が対象とのこと。今回問題となっている特許は、米国特許第6,034,918号と6,038,195号。ITCは提訴(特許権者)側の勝率がかなり高いので問題となっている。
情報元および関連資料:
・三好豊「ドリームキャストなどの販売差し止めでITC提訴 米ラムバス」毎日インタラクティブ(2000年3月24日)
・「米ラムバス,日立製作所とセガを提訴Dreamcastの販売差し止めを求める」GAMESPOT JAPAN NEWS(2000年3月24日)
・神保進一(ニュース編集部),横田英史(BizIT)「米Rambus、セガのドリームキャスト輸入差し止めを請求」(2000年3月24日)
4. ネット広告も解禁 日弁連臨時総会で会則改正
毎日新聞より。表題の通り。
情報元:
・臺宏士「ネット広告も解禁 日弁連臨時総会で会則改正」毎日インタラクティブ(2000年3月24日)
5. 共同購入による割引の手法で特許取得
情報元:
・Margaret Kane,「米で氾濫するネット関連特許,Accompanyはグループ買いプロセスで特許宣言」ZDNet/USA(2000年3月22日)
・Margaret Kane, "Accompany patents group buying: Startup wins U.S. patent for technology that lets online buyers combine their orders and get volume discounts from suppliers.", ZDNet News (March 21, 2000).
・篠原匡「米国発のインターネット版生協、日本の商慣行破る工夫も必要」日経ビジネス(2000年3月22日)
6. プロテクト解除可能なDVDプレイヤー
ホットワイアードジャパンなどでも取り上げられた、隠しメニューによりリージョンコードやコピーガードを解除できるプレーヤーApex AD-600Aについての記事。映画会社等が提訴を検討しているとの話もあり、ワシントンポストによれば製造元は改訂版の出荷を発表している。
情報元:
・Daniel Greenberg, "Now Showing on DVD: 'Loopholes.'", Washingtonpost (March 24, 2000).
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...Apex's Manley said he expects the revised, secret-menu-free players to reach stores from three weeks to 30 days from now. Meanwhile, the hardware continues to fly off Circuit City's shelves; yesterday, the company's Web site urged, "Get yours now while supplies last!"
2000/03/23
1. トレードドレスの米最高裁判決(※修正中なので信用しないで下さい)
いつもお世話になっている早稲田大学教授・高林龍先生より内容に関してご指摘を戴きました。ここにお礼申し上げると共に、不正確な内容で皆様にご迷惑をお掛けしたことを謹んでお詫び申し上げます。
...
トレードドレス保護のための要件が争われていたウォルマート・ストア対サマラブラザース事件の最高裁判決が、22日発表されている。結果は、ウォルマートの逆転勝利!地裁(損害賠償120万ドル+弁護士費用30万ドル以上)、高裁で連敗していただけに、最高裁まで戦った甲斐があったというもの?ただし、権利者側であるサマラブラザーズの服のデザインが、トレードドレスとして保護できないことが確定したわけではないので、また下級審で成立要件の審理をやり直すのだろう(原告側にはちと苦しいが)。本件は全員一致の判決で、スカリア最高裁判事が判決理由を起案されている。
本件では、未登録のトレードドレスとして保護されるための要件が争われており、「色彩」のみで保護可能なトレードドレスとして認められるかどうかが争点となっていた。結論として、色のみでは本質的な識別力を有することがあり得ないため、そのままでは保護対象とならない。ただし、副次的意味を有することを証明すれば、識別力を有するものとして保護を受けることが可能となる(例えば使用による信用の化体があった場合)。
要するに、色のみのトレードドレスである場合は、「副次的意味」の立証が要件として課されることになったと言える。これまでは段々と保護が強化される傾向にあったトレードドレスだが、今回の判決で少し逆行して、本来の趣旨に立ち返ったという印象を受ける。
より法律的にいえば、製品のデザインとパッケージの区別が今回の判決で明確にされた。歴史的にトレードドレスといえば商品の外観、すなわちパッケージを指していた。しかし判例の蓄積によって包装のみならず、商品のデザイン自体にもトレードドレスとしての保護が拡大されていった。製品デザインとは、商品を形成する要因であり、例えば色彩が該当する。
そして今回、果たして色自体でトレードドレスの保護対象となるのか、つまり色自体に本来的な識別力(出所表示機能)が備わっていると考えられるのかが議論された。その結果、上述の通り色だけでは決して識別力を内包しているとは言えず、問題の色が「副次的意味」を有しておりその結果「識別力」を備えていることを権利者側が証明しなければならないことになった訳である。
日本の商標法では「色」のみの商標は存在しないことになっているが、最高裁の先例である1992年のツー・ペソス対タコ・カバーナ事件では、「色」のみでも保護対象となり得る旨が判示されていた。しかしながら今回の判決によっても斯かる先例は変更されていないと最高裁は説明している。なぜなら、2ペソ事件ではメキシコレストランの内装が問題とされていたので、これはデザインでなく商品またはサービスの外観、すなわちパッケージと同一視できるものであるから、本来的識別力を備えていると理解できるためである。
情報元および関連情報:
・Wal-Mart Stores Inc. v. Samara Bros. Inc., No. 99-150. (U.S. 2000).
・Samara Brothers Inc. v. Wal-Mart Stores Inc., 165 F.3d 120, 49 USPQ2d 1260 (2d Cir. 10/4/1999).
・Tony Mauro, "Public Universities, Wal-Mart Big Winners at High Court: In separate opinions, justices back principle that state schools develop free speech and side with makers of knockoff products.", American Lawyer Media (March 23, 2000).
...Consumers are aware of the reality that, almost invariably, even the most unusual of product designs -- such as a cocktail shaker shaped like a penguin -- is intended not to identify the source but to render the product itself more useful or more appealing.
・"Product Design is Protectible as Trade Dress Only on Showing of Secondary Meaning.", IP Law Weekly (March 23, 2000).
・AP, "Wal-Mart Wins Kids' Clothing Suit.", FindLaw Legal News (March 22, 2000).
各紙の報道は、コピー商品(knockoff)製造業者に有利な判決で真似された側は立証が困難になり、競争が奨励されるというものが多い。
・Two Pesos Inc. v. Taco Cabana Inc., 505 U.S. 763, 23 USPQ2d 1081(1992).
トレードドレスが識別力を内在しておれば、副次的意味を有することの証明は不要と判示
・Qualitex v. Jacobson Products, 514 U.S. 159, 34 USPQ2d 1161 (1995).
・2000/01/19、1999/10/05、1999/08/24付ひとりごと
2. 今年のパテントエージェント試験
今年のエージェント試験の日程が変更されている。11月1日に行われる予定だったが、10月18日に繰り上げられている。
なお、本年4月12日の試験については、昨年末の法改正を考慮しないと報じられている。次回11月の試験でどうなるかは不明。今年受験される皆さん、頑張って下さい!
情報元:
・"OFFICE OF ENROLLMENT AND DISCIPLINE" USPTO
2000/03/21
1. ビジネスモデル特許の記事
相変わらず多いこのネタ、残念ながらどれもあまり目新しくないのだが。
日経ビジネスがこの問題を取り上げている。その方面では有名な「ゴルフクラブの握り方」の特許などを紹介している模様(すみません、未だ本誌読んでません)
一方、アメリカではサン・マイクロシステムズ社とキングストン・テクノロジー社の訴訟に関する記事が載っていた。メモリーチップをモジュールに載置する技術に関する6件のサンマイクロの特許をキングストン社が侵害しているという主張で、近々公判が開始される模様。被告キングストン側の主張では、通常の設計、特に工業規格となった設計を特許は包含しないという。
情報元:
・「ゴルフのパットが特許?、日米特許争奪戦の行方」日経ビジネス(2000年3月21日)
・P.J. HUFFSTUTTER, "New Patent Rules Open High-Tech Battlefield: Courts: Changes allowing ownership not only of products but business models and processes have led to explosion of lawsuits.", LAtimes (March 20, 2000).
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...They worry about the expense--both in time and money--of having to wade through a minefield of patent claims.
"I'm shocked that the government would issue a patent for something I consider only evolutionary, not revolutionary," Sun said.
・規格の話で思い出すのはワング対三菱電機判決
Wang Laboratories, Inc. v. Mitsubishi Electronics America, Inc., 103 F.3d 1571, 41 USPQ2d 1263 (Fed. Cir. 1997).
・伊藤咲子「ある日突然、ビジネスモデル特許に関する警告状が届いたらどうするか MCFフォーラムで、松倉秀実弁理士が講演」ASCII24(2000年3月22日)
ビジネスモデル特許の定義が面白い。(おそらくは講演者でなく、著者の見解?)曰く、「ビジネスの手順とソフトウェアとが不可分、一体になっているもの。仕事の手順として、今までも容易に想像できた抽象的アイデアをシステムに組み込み、新しい技術的システムとして申請した特許。プライスライン特許(USP 5794207)、amazon.comの1クリック特許(USP 5960411)など。○○を満たすシステムと言いながら、実際には手順をそのまま特許にしただけのものもあり、議論となっている。」そんな定義は法的にないぞ、と思いながら、しかし的を得た説明と納得。
なお、松倉先生のお顔が拝見できます。
2000/03/20
1. 米特許庁新規則案、ついに公表
昨年末の特許法改正を受けて、施行規則策定作業を進めている米特許庁では、その第二弾として継続出願の実務に関する規則案を発表している。要チェック。
情報元:
・"Changes to Application Examination and Provisional Application Practice.", 65 Fed. Reg. 14865 (March 20, 2000).
2. CAFC判決:ミーンズクレームの均等論侵害解析手法を誤って適用
クラフトフーズ対インターナショナル・トレーディング・カンパニー事件(被告はITCと表記されそうだけど米国際貿易委員会ではありません。あれはインターナショナル・トレード・コミッション)は、IPOニュースのサマリーを読むと何か変な印象を受けるが、判決文を読めば割と明快。要は、地裁が誤ってミーンズクレームでない係争クレームに対し、ミーンズクレームの均等論侵害に適用される判断手法を適用したためにCAFCで覆されただけのこと。
先のCAFC判決であるチューミナッタ(チウミナッタと呼ぶ者もいる)事件で、CAFCはミーンズクレームでいう均等物と、均等論侵害でいう均等物の違いについて言及している。例えば、ミーンズクレームでは特許法112条6段により「同一の機能」が要求されており、均等な機能は含まれないが、これに対し均等論では完全に同一な機能でなくても、実質的に同一の機能でも含まれる。
また、均等性の判断基準時が、ミーンズクレームではクレーム範囲が確定する特許発行時となるのに対し、均等論では侵害時が基準となる。これは、特許発行時点では存在しなかった技術をクレームすることはできないため、特許後に得られた技術により発明と同様の効果を得られる場合に権利者を保護するという観点から理解できる。
チューミナッタ判決では、後者の問題について、仮にイ号製品が特許発行前から存在している技術によるものであるならば、当該イ号製品がミーンズクレームに関して文言上均等物でないと判断された場合は、均等論下でも(判断時期に関して)均等物となり得ないため均等論侵害は成立し得ないであろうと判示されていた。
どうも本件の地裁は、この点を誤解したようである。本件ではミーンズクレームが争われていた訳でないのだが、「イ号製品が特許権付与前から存在している場合において、文言侵害が成立しないならば均等論侵害もなし」と早計してしまった模様。なぜこんな解釈をしたのか判らないが、これは明らかなミス。地裁はチューミナッタ判決の誤った解釈に基づき、文言侵害なし、均等論侵害なしのサマリージャッジメントを認めた。
これに対しCAFCは文言上非侵害のサマリージャッジメントは認容したが、均等論非侵害のサマリージャッジメントについては破棄、差し戻しとした。
関連情報:
・Kraft Foods, Inc. v. International Trading Co., No. 99-1240 (Fed. Cir. 2/14/2000).
合議体:ミッシェル、スミス(シニア)、レーダー判事
判決理由:ミッシェル判事
対象特許:米国特許第5,657,873号"Food Package Having a Compartmentalized Rigid Base Tray"
原告:
クラフト社(Kraft)は、米国の大手の乳製品・包装食品会社。1980 年、Dart Industriesと合併してDart & Kraft社となったが、1986 年非食品部門の大半を分離しKraft社に戻った。1988 年、Philip Morris社に買収され、89 年同じく買収されていたGeneral Foodsと合併して米国最大手の食品会社 Kraft General Foods社となった。
原告の特許製品:
オスカー・メイヤー・ランチャブル("Oscar Mayer Lunchables")
オスカー・メイヤーとは、Oscar F. Mayerが創業した米国Oscar Mayer Foods Corp.製の肉加工製品。特にホットドッグ用ウィンナソーセージが人気があり、1883 年より製造。
クレーム:
2. A food package comprising:
(a) a generally rectangular rigid plastic base tray having four side edges, a top, a bottom located in a bottom plane, and a plurality of compartments, said base tray having peripheral and internal flanges, said peripheral flanges defining said four side edges of said tray, each said compartment being defined by side walls extending from said flanges and a bottom wall located along the bottom plane, said flanges sized and adapted to form a hermetic seal with a film attached thereto,
(b) a film adapted to be affixed to said flanges so as to hermetically seal said compartments, said film adapted to receive and display information, and
(c) a protecting back panel adhered immovably to said bottom walls of at least two of said compartments of said tray, said back panel being planar and adapted to receive and display information.
↑明らかにミーンズクレームらしき限定は含まれていない。
・"Equivalents Infringement Is Not Barred By Pre-Existing Technology in Accused Device.", 59 PTCJ 572 (February 18, 2000).
・リーダーズ+プラス英和辞典
3. ヒューレット・パッカードとゼロックスが特許訴訟を和解
ニューヨークタイムズより。ヒューレット・パッカード社とゼロックス社は、両者間で係争中のすべての特許訴訟につき和解すると発表。
ゼロックスは同社の保有するインクジェット方式やカラーバランス、解像度拡大技術に関する特許をHP社が侵害しているとして提訴、対するHP社はタッチスクリーンを使った操作やインクジェット、画像拡大技術に関する特許をゼロックス社が侵害しているとして逆提訴していた。1998年5月〜1999年6月の間に6件の特許訴訟が提訴されていたが、訴訟はお互いの利益とならず、時間経費を節約するため和解したとのこと。
情報元:
・Reuters(PALO ALTO, Calif.), "Hewlett, Xerox Settle Patent Lawsuits.", New York Times (March 20, 2000).
4. GIFに関する特許ライセンス問題(追加)
米ユニシス(Unisys)社が圧縮技術LZW(Lempel Ziv Welch)に関する特許を有しているため、インターネット上で標準的な画像フォーマットであるGIFの使用に際して、特にソフト開発者はライセンス契約を結ばなければならないという問題。
ネット上ではかなり有名な話で、ネットスケープやマイクロソフト等、大手のブラウザはユニシス社とのライセンスを締結している。また日本特許庁謹製「パソコン出願ソフト」オープニング画面をよく見ると、特許庁がユニシス社からライセンスを取得しているとのメッセージが表示されている。
ユニシス社の特許は画像フォーマットそのものに及ぶのでなく(そもそもGIFはコンピュサーブが開発)、LZWという圧縮技術を扱っているために、話はGIFファイルだけにとどまらず他の画像フォーマットにも及ぶ。例えば、米特許庁は特許公報データベースに収録する公報イメージでTIFFを使っているが、圧縮方法としてはLZWを使っていない。(このため、設定の関係か時々ファイルが読めないというクレームがおこる)
この問題につき、インターネットに関しては草分け的な松倉秀実弁理士のコメントが紹介されている。同弁理士の見解では、ソフト自体がGIF表示機能を持たず、マイクロソフト製インターネットエクスプローラのコンポーネントを呼び出してGIF表示を実現している場合においては、消尽理論によりライセンス料支払の義務はないとのこと。つまりマイクロソフト社がユニシスに対しIEコンポーネントに関してライセンス料を支払った時点で、権利が用い尽くされたことになるから、IEコンポーネントを正規に利用するユーザーなりソフト開発者は再度ライセンス料を支払う必要がない、という理屈。
オピニオンリーダーがこうやってはっきり言ってくれると、問題点の理解がスムーズに行きやがて解決するのでは、と期待...
ただ、ユニシス社は当然ながらこの見解に反論することでしょう。米ユニシス社のホームページを見ても、同社がライセンスを認めている範囲はかなり制限されているように感じられ、二次使用を殆ど認めないような立場を採っているようにも読める。やはり問題となるのは、マイクロソフトとユニシスとの間の契約内容でしょう。ホームページ上では具体的なライセンス契約内容を明記していないし、マイクロソフトも逃げ腰だし、玉虫色にしておいてお互いが都合よく解釈しているという状況が見えてくる。
情報元および関連情報:
・石橋文健,山口賢司「IEコンポーネントを利用するソフトに“GIFライセンス”は必要か? 弁理士とマイクロソフト、米国Unisysに取材」窓の杜 とぴっく(2000年3月16日)
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...IEコンポーネントがほかのソフトと一体化して動作しているように見えてしまうのも、「それはIEコンポーネント自身の正規の機能であり、こうした動作も了解した上でMicrosoftとUnisysはライセンスを結んでいるはず。もし制限があるのならば、Microsoft側がきちんと明示しておくべきで、それがないのであれば問題ないと解釈すべき。むしろ、ユーザーを不安にさせるような不明瞭な状態にしているMicrosoft側に問題がある」という。
・GIFライセンス問題についてわかるページ
・日本語によるLZWのライセンス情報 米ユニシス社
・ライセンス窓口の紹介 日本ユニシス社
・UnisysよりウェブサイトLZWライセンスの取得が可能(英語)
・「第48回 インターネットと特許(8)データ圧縮」日野法律特許事務所
クレームの解説あり。
・松村効朗「サブマリン特許で浮上してきたGIF問題米ユニシスが"フリーソフト文化"揺るがす」日経ネットブレーン(2000年3月29日)
本当にサブマリン特許かな?本件はちょっと違うような気が。
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...コモンダイアログ(ファイル選択の際に開くウィンドウ)のサムネイル機能にもGIF表示機能が含まれている。場合によっては「ファイルを開く」という機能をソフトに盛り込んだだけで,ソフト制作者が意識しないでGIF機能を使ってしまうという事態が発生する。「IEコンポーネントを利用する場合のライセンス料は不要」という見方もあるが,マイクロソフトとユニシスはそれに対しての明快な回答を出していない。
5. ソフトの転売は違法?
日経パソコンより。ネット上のオークションが活発になるにつれ、禁制品が登場する機会も目立ってくる、という訳でアプリケーションソフトの売買が行われるらしい。ソフトは基本的に販売でなくライセンス形態なので、転売条件は当然契約書による。よく言われているシュリンクラップライセンス、つまり透明ビニールの包装とか封を開けたら、あるいはクリックすれば(インストール画面に契約条件がでてくるパターンで、こちらはクリックラップライセンスと呼ばれる)契約に同意したものと見なしますよ、という契約である。転売なんて大概ダメだと思っていたが、意外にも認められるケースがあるらしい。
情報元:
・「違法? 合法? ソフトのオークション:海賊版や契約違反の出品に戸惑うソフト業界」日経パソコン(2000年3月)
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...オークションでソフトを取引すること自体が違法というわけではない。パソコンソフトの多くは、使用許諾契約の中で、一定の条件を満たす場合に第三者への譲渡を認めているからだ。ただし、契約に沿って譲渡を行うには、ハードディスクからソフトをアンインストールし、バックアップも残さず、ユーザー登録の変更を申請するなど、利用者にとってみればやや面倒な手続きを経なければならない。
...ゲームの場合はより問題が複雑だ。ゲームソフトは映画の著作物と同様に保護されてきた経緯があり、個人間の譲渡が契約で認められていても、オークションという公共の場で取引されれば「著作権の侵害という解釈が成り立つ」(ACCS)からだ。
licensing agreement authorizing licensee to use photographs as guides, models, and examples for "illustrations," does not cover computer-scanned images of photos that retain qualities of lifelike appearance and objective accuracy that are essentially photographic.
Mendler v. Winterland Production, Ltd.
(9th Cir.; Filed March 14, 2000)
REGS PROPOSED ON SOUND RECORDING
INTERNET TRANSMISSIONS new
The Copyright Office is proposing to amend its
definition of "Service" for purposes of the statutory
license governing the public performance of sound
recordings by means of digital audio
transmissions, in order to clarify that
transmissions of a broadcast signal over the
Internet are not exempt from copyright liability.
65 FR 14227, March 16, 2000.
COMMENTS SOUGHT ON PATENT TREATY PROPOSAL The Patent and Trademark Office is seeking comments concerning a patent law treaty proposal. 65 FR 12515, March 9, 2000.
CONFERENCE ON SOVEREIGN IMMUNITY IN INTELLECTUAL PROPERTY CASES ANNOUNCED The Patent and Trademark Office will hold a conference concerning state sovereign immunity in intellectual property cases. 65 FR 11987, March 7, 2000.
2000/03/16
1. ネット時代の著作権
写真のネット転載について、第9巡回控訴裁判所が判示。
情報元および関連情報:
・Paul Elias, "Artist to Get Damages For Scanned Photograph.", The Recorder/Cal Law (March 16, 2000).
・Mendler v. Winterland Productions Ltd., 00 C.D.O.S. 2007 (9th Cir. 1991).
2000/03/15
1. ヒト遺伝子の基本情報は共有すべき(追加)
昨日、何気なくCNNを見ていたら「ヒトゲノムを特許すべきか」という討論が行われていた。その後クリントンの発表が中継され、表題の報告を知った。
クリントン大統領は英国のブレア首相と協議の結果、共同声明(Joint statement)を発表し、ヒトの遺伝子の基本情報は、研究者が自由にアクセスできるよう情報を共有すべきであるとし、情報を一般公衆に公開するよう各企業に対し呼びかけている。
アメリカとイギリスは共同で「ヒトゲノム計画(Human Genome Project)」を進めており、当初の計画を上回る成果を上げてこの分野をリードしている。今年の後半までにはヒトDNA配列の基本情報に関する最初の草案を完成すると予想されている。また2003年までには完全な遺伝子マップをインターネットで公開する計画もある。
今回の声明で情報の自由な利用を訴えてはいるが、このために特許法を変更するつもりはなく、また民間企業に対し情報の公開(特許権の放棄やライセンスの供与?)を強制するつもりはないとしている。特許権による保護の重要性を無視してはいない。声明を受けて米特許庁では、従来の決定や基準を変更しないことを確認している。
ただ、共同声明を受けてバイオ関連企業の株価は軒並み下落。ナスダックの指標が200ポイント下落したことをマスコミ各社は非難しているとか。
情報元および関連情報:
・"U.S., Britain urge free access to human genome data: DNA mapping holds promise of disease cures", (March 14, 2000).
・"THE HUMAN GENOME PROJECT: BENEFITING ALL HUMANITY.", THE WHITE HOUSE: Office of the Press Secretary (March 14, 2000)
"To realize full promise of the research, raw fundamental data on the human genome, including the human DNA sequence and its variations, should be made freely available to scientists everywhere,"
"We must ensure that the profits of human genome research are measured not in dollars but in the betterment of human life,"
"We commend other scientists around the world to adopt this policy,"
・Justin Gillis, "Clinton, Blair Urge Open Access to Gene Data.", Washington Post (March 15, 2000).
1990年より始まったヒトゲノム計画(Human Genome Project)の目的が米エネルギー省(U. S. Department of Energy)の資料を基に掲載されている。
Human Genome Project
The Human Genome Project formally began in October 1990 with the following goals:
・Identify the more than 100,000 genes in human DNA.
・Determine the sequences of the 3 billion chemical base pairs that make up human DNA.
・Store this information in databases.
・Develop tools for data analysis.
・Address the ethical, legal, and social issues that may arise from the project.
The National Institutes of Health's National Human Genome Research Institute and the Department of Energy's Human Genome Program together make up the U.S. Human Genome Project. The U.K.'s Wellcome Trust, a private philanthropy, also contributes to the global initiative.
また、遺伝子関連技術の特許を有する企業リスト等も掲載。この情報元は知的所有権の資産評価も行うプライスウォーターハウス・クーパース(PricewaterhouseCoopers)。これによればアメリカ政府が権利者として最大手であることが判る。
U.S. Government - 388 patents
Incyte Pharmaceuticals - 356
University of California - 265
SmithKline Beecham - 197
Genentech - 175
Eli Lilly - 145
Novo Nordisk - 142
IBM - 130 (computer-related)
Chiron - 129
American Home Products - 117
・"CLINTON BIOTECH STATEMENT SPARKS 200 POINT DROP IN NASDAQ.", IPO Daily News (MARCH 15, 2000).
・Bob Woods, "Biotech Stocks Rebound After Analysts Address Clinton Speech.", Washtech.com (March 15, 2000).
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Celera Genomics Corp... released a statement late yesterday commending the Clinton/Blair speech, and said that the only restriction that Celera has ever requested is that other database providers would be prohibited from providing or selling Celera's data as their own.
・"Call to publish all gene data praised", BBC News Sci/Tech (15 March, 2000).
・フジサンケイニュース
・日経バイオテク「米英首脳:ヒト・ゲノムデータの科学者の利用は自由にすべき」日経ビズテクニュース(2000年3月15日)
・「ヒトゲノムの解読情報公開を訴えて英米首脳が共同声明」朝日新聞(2000年3月14日)
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...米国の遺伝情報解析会社のセレラ・ジェノミクス社が昨年からヒトゲノム解読を精力的に進め、データを有料で一部製薬会社に提供し始めている。遺伝子に関する特許は、ただ解読しただけでは認められず、機能解析が必要だ。しかし、独自のデータを基にセレラ社が機能解析を先行させ、特許を「独占」するのではないかという心配が出ていた。
公的研究機関とセレラ社の協力交渉が今月上旬まで行われたが、決裂した。米英首脳の共同声明はセレラ社に圧力をかける狙いがある。これまでは研究者同士の紳士協定だった情報公開が首脳同士の政策に格上げされた意義は大きく、公開にはずみがつき、研究も進展しそうだ。
・ロイター発,日本語版:高橋朋子,岩坂彰「英両首脳が遺伝子情報の公開を呼びかけ」Technology News from Wired News(2000年3月14日)
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...この声明の1週間前、ヒトの全遺伝子の解析を真っ先に完了させようと研究を急いでいる米国の民間企業セレラ・ジェノミクス社が、情報を公的資金で運営されている研究機関と共有すれば、ライバル企業に自社のデータを利用される恐れがあるとの懸念を表明した。
...セレラ社は、国際共同プロジェクト『ヒトゲノム計画』を進めている公的研究チームと、協力へ向けて交渉を行なっていたが、これは先週決裂した模様だ。原因は、合同で開発した製品すべてについて、セレラ社が独占的に販売する権利を要求していたため。
・"US PATENT POLICY UNAFFECTED BY US/UK STATEMENT ON HUMAN GENE SEQUENCE DATA.", USPTO PRESS RELEASE #00-17 (March 16, 2000).
・"Clinton, Blair Urge Access To Data From Human Genome Project", 59 PTCJ 656 (March 17, 2000).
・「米英首脳のヒト・ゲノム共同声明を受け米政府とNIHが見解」日経バイオテク(2000年3月17日)
米国の科学技術政策責任者と、ヒト・ゲノム・プロジェクト責任者が見解を公表。また米国は完全長cDNAの情報も即時公開する方針であることも明らかにしたとのこと。
・Tom Abate, "Gene-Patent Opponents Not Licked Yet Debate about human genome far from over.", San Francisco Chronicle (March 20, 2000).
2. 有力企業の特許戦略を示す指標?
情報元:
・The Technology Review Patent Scorecard
3. iMac紛争は終わっていない?
先日アップル社から出された終結宣言に対し、被告(大宇傘下の)フューチャーパワー社が反論。実は販売に関しては合意に達していないし、訴訟は係属しているとのこと。アップル社は先手を打って都合の良いように発表し、発表内容を既成事実化する狙いだったのか?
情報元および関連資料:
・三好豊「iMacそっくり訴訟、アップルに反論 米フューチャーパワー」毎日インタラクティブ(2000年3月15日)
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...フューチャーパワーは、アップルと大宇との合意は「シルバーブルー」のE-Powerについては販売継続を認めており、さらに連邦地裁の命令が対象とするiMacの7色(ボンダイブルー、ブルーベリー、タンジェリン、ストロベリー、グレープ、ライム、グラファイト)モデルの販売差し止めも「わずか4年間」(フューチャーパワー側のジョン・ゴーマン弁護士)の限定的なものだと指摘。また実際に販売するフューチャーパワーとアップルとの間では、いまだ合意事項はないとしている。
...ゴーマン弁護士は「半透明プラスチックのデザインは、時計のスウォッチやポケットベルなどで始まったもの。コンシューマーがファッショナブルな色のコンピューターを手に入れるまで何年も待たされるのはおかしい。アップルにはカラフルなコンピューターの販売を独占するいかなる法的権利もない」とコメントしている。
・「USNews Appleの係争終結発表にFuture Powerが反論」日経BIZIT(2000年3月15日)
・Matthew Rothenberg,Daniel Drew「Future PowerがAppleの発表に反発,『まだ和解は成立していない』」ZDNet News(2000年3月15日)
4. インターグラフ対インテル、却下
インターグラフ社がインテル社を反トラスト法違反などで提訴した事件につき、反トラスト法違反の争点について違反なしとし仮処分を取り消した先のCAFC判決を受けて、アラバマ北部地区連邦地裁は当該請求に関してインターグラフ社の訴えを却下した。ただし、州法に基づく請求はまだ残っており、不公正商慣習(unfair business practices)や契約違反(典型的な州法の管轄)等の争点である。(当初、インターグラフ社は以下の訴因を訴えていた。patent infringement, fraud, misappropriation of trade secrets, negligence, breach of contract, intentional interference with business relations, breach of warranties, and violation of antitrust laws)
情報元および関連情報:
・Bloomberg News,日本語版:矢倉美登里「インテル、反トラスト法訴訟で勝利」CNET JAPAN TECH News(2000年3月13日)
・The Associated Press, "Part of Intergraph's Claim Dismissed.", FindLaw Legal News (March 3, 2000).
・Intergraph Corp. v Intel Corp., 195 F.3d 1346, 52 USPQ2d 1641 (Fed. Cir. 1999).
5. 反スパム法は違憲?(訂正)
毎日インタラクティブより。迷惑メールの代表格であるダイレクトeメール(unsolicited commercial e-mail)、通称スパム(spam)メールの対策に要する時間と費用を何とかして欲しいということで、ワシントン州ではインターネットプロバイダーから州の検事総長オフィス(Attorney General's Office)への要請を受けて1998年に反スパム法(anti-spam law)が制定された。これはもちろん州法であるが、州法といえど連邦法と同じく合衆国憲法に反することはできない。
この度、ワシントン州の反スパム法(anti-spam law)が合衆国憲法に違反しているとワシントン州キング郡裁判所(King County Superior Court)が判断。商標法(ランハム法)の根拠としてお馴染みの州際通商条項(interstate-commerce clause)を不当に制限しており、正当なビジネスを阻害するというのが理由とのこと。控訴必至。連邦裁判所でなかったのが残念。連邦高裁レベルの判決が出れば、スパムに対する規制も進むと期待してたので。。。よく自分のところに来る迷惑メールに対し、判例を引用して「あなたの行為は違法です」と返送してやりたかったから。
情報元:
・「『反スパム法』は違憲:ワシントン州敗訴」Mainichi Daily Mail Internet: In-Box Direct(2000年3月15日)
・Chris DeVoney,David Raikow「ワシントン州で『反スパム法は違憲』の判断」ZD Net News Bursts(2000年3月15日)
・Chris DeVoney, David Raikow, "One small victory for spammers ...", ZD Net News Bursts (March 15, 2000).
(上記記事の英語版)
・Peter Lewis, "Anti-spam e-mail suit tossed out" Seattle Times (March 14, 2000).
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The judge held that the statute is "unduly restrictive and burdensome" and places a burden on businesses that outweighs its benefits to consumers. The case will not stand as a binding precedent unless it is upheld on appeal. The state has until April 10 to decide whether to appeal.
6. コンビニのパン競争
プレジデントより。コンビニで販売するパンの開発舞台裏の熾烈なアイデア競争。商品サイクルが数週間ともなれば、コピー商品であっても裁判沙汰にするだけ無駄?
情報元:
・「特集/パン『黄金伝説』:2週間に一度生まれ変わる、進化するコンビニパン」プレジデント2000年4月号
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...あるメーカーの営業マンは、「とにかくアイデアが浮かんだ端から、工場レベルで商品化して発売してしまう。多少、他社の製品と似ていても、商品サイクルが短いので訴えられることもないんです。」
2000/03/13
1. アマゾンのCEO、特許制度改革を提唱
話題のビジネスモデル特許(business method patent)の代名詞のように取り上げられている「ワンクリック特許」を保有するアマゾン・ドット・コムには、不買運動などの風当たりが強くなっている。これに対する反論として、同社のジェフ・ベゾス最高経営責任者(Chief Executive Officer (CEO))は取得した特許の是非よりも、無効な特許の成立が起こり得る特許制度自体の改革を提唱。自身の問題を棚上げして特許庁をやり玉に挙げている?という非難もなきにしもあらず。
情報元および関連情報:
・Chris Oakes,日本語版:関さやか,岩坂 彰「ウェブ特許論争でアマゾンが認定システム改革を提唱」WIRED NEWS(2000年3月9日)
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...さらに詳しく調べた結果、アマゾン社の取得した特許は、保護の対象領域が当初の印象よりも狭いことが明らかになったという。
・Associated Press, "Bezos Urges Changes in Patent Law.", FindLaw Legal News (March 10, 2000).
・Matt Richtel, "NY Times: Chairman of Amazon Urges Reduction of Patent Terms", Linux Today (Mar 11, 2000).
・Jeff Bezos, "AN OPEN LETTER FROM JEFF BEZOS ON THE SUBJECT OF PATENTS", Amazon.com, Inc.
・米国特許第5,960,411号"Method and system for placing a purchase order via a communications network"。1999年9月26日成立。代理人はパーキンス(Perkins Coie LLP)
・米国特許第6,029,141号"Internet-based customer referral system"。2000年2月22日発行、代理人はクノビー(Knobbe, Martens Olson & Bear, LLP)
・小林雅一「押し寄せる米国インターネット特許,日本にも影響あり」日経BizIT(2000年3月6日)
アマゾンの特許を中心に、いわゆるビジネスモデル特許の問題点「推考容易な技術に特許が付与される弊害」を説いているが、誤解されている箇所も多い。近年ビジネスモデル特許に関する記事や講演は多いが、内容はどれも似たり寄ったりの印象を受ける。
簡単に言えば、
ステートストリート事件(+AT&T事件++最高裁の上告不受理)
→ビジネスモデル特許の大量出願
→次々と有効性の疑わしい特許成立(例 プライスライン、アマゾン)
→権利行使、地裁による使用販売差止めの仮処分命令(アマゾン対バーンズ&ノーブル、プライスライン対マイクロソフト(係争中))
→→→将来、高裁による地裁判決の見直し(ここまで来た判決は未だない)
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...99年12月にシアトルの連邦地裁はB&N社に対し,「最終判決が下るまでExpress Lane機能を停止せよ」という事前差し止め判断を下した。一時的処分だが,実質的にはAmazon.comの特許を有効と判定したことを意味する。
↑地裁の判断だから保証はない
...同業他社は,「なぜ,特許性の疑わしい申請が認められてしまうのか?」と米国特許商標局に対し,不信感を露わにしている。Amazon.comのボイコット運動に参加した業界関係者は,「特許商標局の特許審査官に,インターネットを本当に理解している人がいないから」とみる。
↑これは半分正しい。審査能力、特にサーチ能力やリソースが不足しているのが問題。
...特許は伝統的には,独創性や新規性に富んだ高度な技術に与えられるのが基本だった。しかし,ここ数年でその解釈が180度の転換を遂げた。それを決定づけたのが,1998年の「State StreetBank & Trust裁判」である。紙幅の都合上,詳細な説明は省くが,要するにこの裁判で,一種のビジネス手法でも特許化できることが,法的に保証されたのだ。
↑誤りでないが、誤解を招く。昔も今も新規性は必要である。ステートストリート事件でもこの点は何ら変更していない。同事件では、問題の特許が101条を満たすと判断されたに過ぎない。被告ステートストリートバンクが102条や103条の拒絶を正しく主張できれば、当該特許の無効を証明することは可能。
...Site Soundというシリコンバレーの企業は,「音楽をオンラインで配信する」方式全体を特許として保持している。あまりに当たり前で誰でも思いつくことだから,誰一人として特許申請を行わなかったのだろう(特許はその要件として,非自明性を求めている)。ところがそのスキを突いた申請が,特許として成立してしまった。業界関係者にしてみれば,開いた口がふさがらないは,まさにこのことだろう。
↑それはそうかもしれないが、特許の成立は特許庁側の審査官の審査能力の問題のはず。だれが思いつこうが出願しようが、理論的には無理なものは無理。特に優秀な特許弁護士を雇ったというのなら話は別だが。この際だから「優秀な弁護士を雇って特許を取得する方法」でも出願しますか?
...米国の裁判所は伝統的に,特許の有効性に対しては厳格な姿勢を貫いてきた。80年代初頭までは,特許の無効確認訴訟で全体の7割が無効と判断された。しかし80年代半ば以降,裁判所の判断がなぜか甘くなり,無効率は50%を切るようになった。一説によれば,外国に対する米国の技術的優位を保証するために,判断基準が変わったとされる。Amazon.comがB&N社に事実上勝訴したのも,こうした長期的なトレンドの延長線上にある。今後,米国の司法部門がどこで手綱を引き締めるかに,注目が集まっている。
↑本当にそれと関係あるのかな。プロパテント政策のことをいいたいのでしょうけど、本件と結びつけるにはちと強引かと。。。
...したがって,仮に日本企業がたまたま米国企業の特許と同じ技術を使っていても,その米企業が日本での特許を取得していない限り,特許権侵害で提訴されることはなかった。
ところがサイバースペースでは,商売を営むテリトリー,すなわち特許権の及ぶ範囲を区分けする国境がない。仮に日本の電子商取引業者が,米国企業の特許を使って物を販売したとしよう。これを米国の消費者が購入したとすれば,特許権を持つ米企業は,日本企業を訴えることができるのだろうか。
International Intellectual Property Rights Association of Americaに所属する弁護士RobertYoches氏は,「仮にそういう事態が発生すれば,特許権を持つ米国企業が提訴し,米国の裁判所が日本企業に違法判決を下すこともあり得る。まだ電子商取引に関して,そのようなケースは報告されていないが,今後本当に出てくるかもしれない」と語る。
↑これは鋭い指摘である。ネット上のジュリスディクション判断基準はほぼ確立されている。これを外国に適用しないとも限らない。
・Victoria Slind-Flor, "Bar Reacts To Bezos Patent Reform Plan: Adopting his changes would upset good system, they say.", The National Law Journal (March 20, 2000).
ベゾス氏の発言に対し、そのような提案は現実的でないという各界の批判。そもそも特許庁の審査がなってないからこのような(有効性をとやかく言われる)特許が成立する、その原因は特許庁の予算の問題で、連邦議会が出願料や年金その他の庁の歳入を吸い上げて他の官庁に転用しているからだ、とか。
・今泉大輔「Amazon.comのビジネスモデル特許の波紋 アフィリエイトプログラムって何?」日経ネットブレーン(2000年3月8日)
・日経PC21:西山博「『ビジネスモデル特許』って、うざったいよね」パソコン雑誌デスクのホンネ日記(2000年 3月 10日)
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...エラソーに言わせてもらえばさぁ、アメリカの特許庁が、「“知的財産”で日銭をかせぐぞ!」っていうお国の方針に従って、この手の特許をバンバン認めちゃっているのが問題なわけよ。ただでさえ一流メーカーの研究所じゃ、研究者の皆様方が“まっとうな特許”の出願競争でヒーヒー言っているってのに、このままだと、お忙しいビジネスマンの皆様方までも、新事業の企画書を書くたびに、ビジネスモデル特許とやらの出願でヒーヒー言うことになるのかもね。
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おっしゃるとおりです...正にビジネスマンの方々にも特許出願のチャンスが訪れたというのが、正しい見方だと思うのです。確かにビジネスマンの方々への負担は大きくなりますが、うざったいからといって放っておけば、どんどん他社に水をあけられることになりかねません。この際、経営陣の方々に発明報奨金制度を全面見直ししていただいて、技術陣を含めた全社員を対象に、発明に対する相応の見返りが得られるようなシステムに入れ替えられては。。。
2. 米特許事務所ランキング
インテレクチュアル・プロパティ・トゥデイ誌恒例の全米特許法律事務所、特許取得件数ランキングの発表が3月号誌上で行われている。一位二位は変わらずオブロン、シュグリュー事務所で不動。あまり大きな変動はない。
気が付いた点は、事務所名の変更。何年か前にクッシュマン・ダービー&クッシュマン事務所が西海岸の大手事務所ピルズベリー・マディソン&スートロに合併され、「ピルズベリー事務所のクッシュマンIPグループ」という名称になった。この例に代表されるように、最近米国特許事務所の再編が進んでいる。知的財産権の意義が注目を集めるようになったことに伴い、知財部門を持たない大手一般法律事務所(general law firm)が中堅特許事務所を吸収合併してIP部門を一気に立ち上げて拡充を図る戦略で、この流れが一段と進んだような印象を受けた。例えばニカイドー・マーメルスタイン事務所が合併されたことは全然知らなかった。それでなくても弁護士は頻繁に事務所を変えるので、追いかけるのは容易でない。
情報元:
・Intellectual Property Today
ウェブ版には未掲載
3. 暗号化ソフトの規制緩和明確に
輸出管理規制と言論の自由との間で揺れていた暗号化ソフト(encription)のホームページ公開の是非を巡る裁判、管轄官庁であるBXAを監督する米商務省は、第9巡回控訴裁判所で係争中の現イリノイ大学教授バーンスティーン氏(Daniel Bernstein)に対し、暗号化ソフト「Snuffle」のホームページでの公開を容認する書簡を被告送付。
情報元および関連情報:
・バガボンド「セキュリティCatch! from Vagabond:暗号化プログラムの公開を許可(米政府)」Web Catch(2000年3月13日)
・Bernstein v. Dept. of Justice, No. 97-16686, D.C. No. CV-97-00582 (9th Cir. 2000).
・Export Administration Regulations Database
・The Bureau of Export Administration(BXA、輸出管理局)
・BXA Statement on the May 6, 1999 Bernstein Court Case Decision
・Declan McCullagh, "Landmark Ruling on Encryption.", HotWired news (May 6, 1999).
2000/03/10
1. CAFC判決:半エネ研対サムスン電子事件のコメント
表ページで紹介したとおり、半導体エネルギー研究所(SEL)対サムスン電子事件のCAFC判決が先日下された。これで、特許関係者の注目を集めていた(と私は思っているのですが)2つの地裁判決に対するCAFCの控訴審判決が出揃った。いずれも日本企業が原告で、審査段階の瑕疵が元で不衡平行為を地裁で認定されたケース。CAFCの判決が出たということは、これらの判決が今後先例として他の特許事件でも拘束力を有するということになる。
1 セイコーエプソン事件
一つは英語で書かれた宣言書を読まずにサインした問題が争われたセイコーエプソン対ニューコート事件。こちらは既報の通り、原告の逆転勝利。理由は、不衡平行為の認定には詐欺的意図が必要なのに、本件ではそれが立証されていないから。つまり、内容を読まずにサインしたと言うだけで特許庁を欺こうとする意図があったとはいえないということらしい。CAFCのニューマン判事によれば、このような問題は形式的瑕疵に近いようで、権利行使不能とする程の悪意が認められないということのようである。
ただし、本件では英語で書かれた宣言書に翻訳文を添付する必要があるのかどうかという大事な問題には言及されなかった。出願時に要求される宣言書(規則1.63)については、署名者が英語を理解できない場合に理解できる言語の翻訳文を添付する旨が明文化されている(規則1.69)。問題は、当該規則が1.63宣言書以外の宣言書にも適用されるか否かである。セイコーエプソン事件では、発明者が誤って先行技術であると自認した図面が、先行技術でなかったとして自認を撤回する旨の宣言書を提出していた(このような宣言書は規則中で明記されていない。実務上、このような自認の撤回が認められるかどうかは微妙なところで、一説では五分五分らしいが、本件の場合は審査官がすんなり認めていた)。当該宣言書は英語で書かれていたが、発明者は英語を読めなかった。このため、当該宣言書に英語翻訳文が添付されていなかったことが裁判で問題とされたのである。この点が非常に気になっていたのにCAFCは明確にしなかったため、個人的には期待はずれというか、期待した割にはあまり大した判決でないと考えてあえておもてページでは報告しなかった(そのうち、書きます。そのうちに。。。)。
2 SEL事件
そして、今回のSEL対サムスン事件である。この事件では、IDSで提出する日本語公報の翻訳文の是非が争われた。通常、公報の全文英訳をIDS提出のためだけに作成するのは費用的にも時間的にも大変な負担なので、英文抄録を買うか要約やクレーム部分を翻訳して提出することが多い。しかしこんなんで本当に大丈夫なのか、とかねがね疑問に思っていたところに、「マズい」という判決が出てしまったものだから、さあ大変と大騒ぎになったのが本件(ではなかろうか)。こちらの結果は残念ながら原判決維持、つまり特許権行使不能の原告敗訴であった。
この二つの事件の明暗を分けたのは「意図」の有無と考えられる。不衡平行為の認定には、秘匿に係る情報の「重要性」と特許庁を欺く「意図」の両方が必要とされる。セイコーエプソン事件では地裁で意図の認定が十分なされていない(というか審理そのものが不尽?)として、CAFCで逆転された。これに対し、SEL事件では地裁は明らかにSELの意図、すなわち故意を認定している。真実は定かではないが、証拠を見る限りでは多くの事実がSELに不利に働いている。特に発明者でありSEL代表である山崎舜平氏の証言がまずい。証人の準備、教育が不十分だったのか、あるいはサムスン側弁護士が優秀だったのか。いずれにしても裁判ではどちらが正しいかではなく、どちらが証明できたかが重要となる訳で、たとえ真実がSEL側にあったとしても、立証できなければ負けである。 SELは不利な証拠により地裁で不衡平行為を認定された。その後再審査を請求したが、ここでも敗れた。CAFCでは当該地裁の認定が適法であったかどうか、「重要性」、「意図」の各々につき分析し、いずれも適法であったと判断している。
先ず注意しなければならないのは、おもてページでも書いたとおり、本件は特殊であること、本判決が出たからといって部分訳や英文抄録ではダメということにはならないという点。
本件ではSELに不利な証拠がかなり多かったため、不衡平行為が認定されたという点に留意しなければならない。正直、これだけ不利な証拠が揃えば「悪気はなかった」と言うのはかなり辛そうに思う。
一般に、不衡平行為の認定は困難である。立証基準は「明白かつ説得力のある証拠」基準でかなり高いし、裁判所もあまり認めたがらない雰囲気がある。しかし、ひとたび地裁が認めてしまうと、高裁レベルのCAFCでこの認定を覆すのもなかなか大変である。今回の判決でも、単に自分の行いが法基準に反していないというだけでは足りないとされている。
本件の現実がどうであったかは、当事者以外知る由もない。しかし、裁判ではSELは敗れた。事実がどうであったにしろ、立証できなかった方の負けなのだから。日本と異なり高裁レベルでは法律問題しか争うことができないので、事実に関する証拠は地裁ですべて提示しなければならない。高裁は法律上の手続しか判断できない。
つまり、本件の教訓は「IDS文献の全文訳を出そう」ではなく、「部分訳や要約、あるいは当該引例と本願との関連性を示す簡潔な説明に、クレーム発明と関係する重要部分の説明が含まれていることの確認」と、「特許庁に対し重要情報を秘匿しようとする意図がないことの証拠固め」ではなかろうか。
MPEP 2004(2000-9ページ)によれば、特許庁に対する開示義務を充足するためのヒントとして18の指針が列挙されている。この内の18番が参考になるかも。
「18. 最後に、情報をIDSとして提出すべきかどうか具体的に検討した結果、もし重要でないとして破棄する場合は、当該事実を弁護士のファイルもしくは出願人のファイル中に、破棄するとした理由と共に記録しておくことが挙げられる。仮にその判断が誤っていたり、不注意で何かを見逃していた場合には、当該錯誤が善意によるものであり正当化されるべきと説明する際に、判断時に記したメモは極めて有用な助けとなるかもしれない。このような記録は要求されていないものの、後になって『詐欺』や『不衡平行為』の問題が提起された場合において、自身の行動を思い出して説明するための助力となり得るだろう。」
3 RICO法について
本件では、久方ぶりにRICO法の反訴が特許事件で提訴されたことでも注目を集めた。この反訴は、当初CAFCでなく第2巡回裁判所に提訴されたようだが、特許事件の審理と一緒に行うべくCAFCに併合されている。結果は「認められない」。
特許事件でRICO法が主張される事例は、1970年代頃に多かったようだが、やはり殆ど認められていない。数少ないRICO法の反訴が認められた例としては、マサチューセッツ連邦地裁がレメルソン事件で認めた事例がある。自分でサーチした範囲ではこのくらいしか見つからなかった。
関連情報:
1 セイコーエプソン事件
37 CFR 1.69 Foreign language oaths and declarations.
(a) Whenever an individual making an oath or declaration cannot understand English, the oath or declaration must be in a language that such individual can understand and shall state that such individual understands the content of any documents to which the oath or declaration relates.
(b) Unless the text of any oath or declaration in a language other than English is a form provided or approved by the Patent and Trademark Office, it must be accompanied by an English translation together with a statement that the translation is accurate, except that in the case of an oath or declaration filed under Section 1.63, the translation may be filed in the Office no later than two months from the date applicant is notified to file the translation.
[42 FR 5594, Jan. 28, 1977; para. (b), 48 FR 2711, Jan. 20, 1983, effective Feb. 27, 1983; para. (b) revised, 62 FR 53131, Oct. 10, 1997, effective Dec. 1, 1997]
・MPEP715によれば、出願人の自認による先行技術は、ルール131の宣言書で回避することができない。このため、自認を撤回して先行技術でないと主張するしかない?
(G) Where applicant has clearly admitted on the record that subject matter relied on in the reference is prior art. In this case, that subject matter may be used as a basis for rejecting his or her claims and may not be overcome by an affidavit or declaration under 37 CFR 1.131. In re Hellsund, 474 F.2d 1307, 177 USPQ 170 (CCPA 1973); In re Garfinkel, 437 F.2d 1000, 168 USPQ 659 (CCPA 1971); In re Blout, 333 F.2d 928, 142 USPQ 173 (CCPA 1964); In re Lopresti, 333 F.2d 932, 142 USPQ 177 (CCPA 1964).
2 SEL事件
・MPEP 2004
18. Finally, if information was specifically considered and discarded as not material, this fact might be recorded in an attorney's file or applicant's file, including the reason for discarding it. If judgment might have been bad or something might have been overlooked inadvertently, a note made at the time of evaluation might be an invaluable aid in explaining that the mistake was honest and excusable. Though such records are not required, they could be helpful in recalling and explaining actions in the event of a question of "fraud" or "inequitable conduct" raised at a later time.
・"Semiconductor Technology Patent Unenforceable: Partial translation of foreign language reference does not fulfill patentee's duty of candor.", IP Law Weekly (March 17, 2000).
・「『ケータイ』に照準定め立ち上がる有機EL」日経エレクトロニクス(2000年3月13日)
アクティブ・マトリクス方式の基本特許を半導体エネルギー研究所が取得したというニュース。
なおCAFC判決の冒頭で、同社が製造を行わずライセンス収益を主としていることが説明されている。
3 RICO法関連:
・Lemelson v Wang Lab. Inc., 874 F.Supp 430, 32 USPQ2d 1216 (D.Mass. 1994).
・Rite-Hite Corp. v. Kelley Co. Inc., 35 USPQ2d 1065 (Fed. Cir.).
Footnote 5
...RICO's civil action provision, 18 U.S.C. Section 1964(c) (1988), reads (emphasis added):
Any person injured in his business or property by reason of a violation of section 1962 of this chapter may sue therefore in any appropriate United States district court and shall recover threefold the damages he sustains and the cost of the suit, including a reasonable attorney's fee.
・A. Stucki Co. v. Buckeye Steel Castings Co., 22 USPQ2d 1581 (Fed. Cir.).
時効の話
...The district court also granted summary judgment in favor of Buckeye on Count II, for alleged violation of RICO. A four-year statute of limitations applies to RICO claims, Agency Holding Corp. v. Malley-Duff & Assoc., Inc., 483 U.S. 143 (1987), though the circuit courts of appeal are divided as to when a civil RICO cause of action accrues. The district court in this case applied the majority rule as to accrual; namely, that the statute of limitations begins to run when the plaintiff discovers, or reasonably should have discovered, the basis for its civil RICO claim. See, e.g., Bankers Trust Co. v. Rhoades, 859 F.2d 1096, 1102-05 (2d Cir. 1988), cert. denied, 490 U.S. 1007 (1989). The district court held that, even assuming patent infringement can form the basis of a RICO violation, any RICO claim Stucki had against Buckeye would clearly have accrued prior to July 1984 (four years from the date of filing of Stucki's amended complaint presenting the RICO claim). Thus, the court held, Stucki's RICO claim was barred by the four-year statute of limitations.
Stucki now argues that its RICO cause of action could not have accrued before October 1984, when the Supreme Court denied RDI's petition for a writ of certiorari to this court in our Railroad Dynamics decision, thus ending with finality the dispute over the validity of the '292 patent. Stucki did not raise this argument below, and hence we will not consider it. Alternatively, Stucki contends that its RICO claim could not have accrued until RDI's bankruptcy proceeding was concluded, in January 1990. Stucki's theory appears to be that Buckeye engaged in a pattern of racketeering activity by participation in a "bankruptcy plot" to avoid payment of damages, and that Stucki could not be certain of the amount of its uncollected loss until the distribution of RDI's assets was completed. The district court rejected this line of argument, and we see no reason to differ. Even applying the most expansive "last predicate act" definition of accrual advocated by Stucki, see Keystone Ins. Co. v. Houghton, 863 F.2d 1125, 1130 (3d Cir. 1988), Stucki has failed to explain why RDI's January 1990 liquidation, rather than its March 1984 bankruptcy filing, should constitute the "last predicate act which is part of the same pattern of racketeering activity." Id. As Buckeye correctly notes, Stucki's position only improved after RDI's bankruptcy filing, since Stucki obtained a partial recovery through the eventual distribution of RDI's assets. The district court did not err in granting summary judgment to Buckeye on Count II.
2000/03/09
1. iMac類似品、和解へ
iMacの模倣であるとしてアップルコンピュータ社が韓国の大宇(Daewoo Group)、イー・マシーンズ社(EMachines, Inc.)を訴えていた事件がすべて和解した模様。
サンノゼのカリフォルニア北部地区連邦地裁は、大宇に対し販売差し止めの仮処分(preliminary injunction)を認めた。これを受けて大宇は同社のイー・パワー(E-Power)の販売を中止することで和解。
一方イー・マシーンズ社(韓国のトライジェム・コンピュータ(Trigem Computer Co.)が母体)は、本年1月に命じられた同様の差し止め仮処分を受けて、現行バージョンのEoneの販売を中止することで既に和解している。
日本ではソーテックとアップルの間で既に和解が成立しているので、結局すべて和解でケリが付いた。商品の形態に関する保護の日米間の相違を比較できる格好の機会を失った、といえば不謹慎?
情報元および関連情報:
・Stephanie Miles,日本語版:湯田賢司「『iMac』そっくりパソコン訴訟が和解」CNET JAPAN TECH News(2000年3月9日)
・Reuters, "Apple secures iMac injunctions against rivals.", Findlaw Legal News (March 8, 2000).
・合原亮一「『iMacそっくり』訴訟で勝利宣言 アップル」毎日新聞(2000年3月9日)
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...アップルが一連の訴訟で主張していた「デザイン権」などの権利はこれまで確立されたものではなかったが、この訴訟を機に権利として確立されていきそうだ。
↑本当か?
2. DVD暗号解読ソフト訴訟、資金力で劣る被告弁護団の奇策
情報元:
・Declan McCullagh,日本語版:酒井成美,岩坂 彰「DVD訴訟で『オープンソース弁護団』の試み」
3. ティーガルが東京エレクトロンに勝訴
情報元:
・長広恭明「エッチング装置の2周波励起技術で米Tegalが東京エレクトロンに勝訴」日経マイクロデバイス(2000年3月8日)
・長広恭明「2周波励起技術で訴訟問題でTELが反論」日経マイクロデバイス(2000年3月10日)
4. アマゾンの新たなビジネスモデル特許
情報元:
・星野友彦「米アマゾンがBM特許戦略加速--今度は定番の販売促進手法で取得」日経コンピュータ(2000年3月8日)
「アフィリエイト・プログラム(会員紹介プログラム)」と呼ばれている...「代理店として登録したWebサイトを経由して、自社サイトを訪問した顧客が物品やサービスを購入すると、購入額に応じた紹介報酬を代理店に支払う」
・米国特許第6,029,141号"Internet-based customer referral system"
http://164.195.100.11/netacgi/nph-Parser?d=PALL&p=1&u=/netahtml/srchnum.htm&r=1&f=G&l=50&s1='6029141'.WKU.
発明者はアマゾン代表ジェフ・ベゾス氏他
・"Amazon.com Says It Received Patent for Its Affiliates Program.", Wall Street Journal (February 28, 2000).
↑この情報はエイキン・ガンプ事務所のアレックス・シャルトーヴ弁護士から戴きました。いつも感謝!!!
5. 著作権法の罰金、法人は値上げ
2001年1月から施行予定の改正著作権法で文化庁は法人の罰金額を現行の「300万円以下」から「1億円以下」に大幅値上げ。また学校の授業で著作物を教材として利用する際、著作者の許諾を得ずにインターネットなどで送信できることも盛り込まれた模様。
情報元:
・「違法コピー、罰金最高1億円に・政府が著作権法改正案」日経ネットITニュース(2000年3月9日)
・WIRED NEWS Mail P2「3粒の小ネタ」HotWired Japan(2000年3月11日)
2000/03/08
1. 有用性、記載要件に関する詳細資料
米特許庁は2000年3月1日、暫定版ガイドラインに関する審査官教育用資料を公開している。昨年末からの審査指針改訂作業によるもので、暫定版が公開されている特許法101条の有用性の審査、および112条第1段の記載要件の審査に関する具体的指針を示すもの。多くの事例が例示されており、ガイドラインの内容がより具体的にされている。特にバイオ関連は必見。
情報元および関連資料:
・"PTO OFFERS TRAINING MATERIALS FOR INTERIM WRITTEN DESCRIPTION AND UTILITY GUIDELINES.", USPTO (March 1, 2000).
・有用性審査指針に関する審査官向けトレーニング資料(PDF形式で74ページ)
"REVISED INTERIM UTILITY GUIDELINES TRAINING MATERIALS"
・記載要件審査指針に関する審査官向けトレーニング資料(PDF形式で66ページ)
"REVISED INTERIM WRITTEN DESCRIPTION GUIDELINES TRAINING MATERIALS"
2000/02/25
1. アマゾンの特許
ビジネスモデル特許の問題について。広すぎる保護範囲が、インターネットの成長を阻害するのではないか、という懸念。
情報元:
・AP, "Squabbles Over Patents Increase.", FindLaw Legal News (Feb. 22, 2000).
2. CAFC判決:特許庁審判インターフェアレンス部での事実認定は、地裁で覆審により審理される
別項でまとめたウィナー・インターナショナル・ロイヤリティ社対ワング社事件について。
事実:
インターフェアレンス事件において特許権者側は、自明性を理由に特許無効とされ敗れた。これに対し、特許法146条に基づきワシントンDC地裁に控訴した。地裁で特許権者は、商業的成功を示す証人による証言を新たに証拠として提出した。
地裁は、特許庁インターフェアレンス部の事実認定を「明白な誤り」基準(clearly erroneous standard of review)で誤りであるとし、引例を組み合わせる動機付け(motivation to combine the refrences)が示されていないとして、審決を棄却した。
争点:
証人の証言による新証拠が提出されている場合、当該事実問題の地裁における審理基準は?
地裁は特許庁の判断を考慮することなく自由に審理し直すとするデノボ(de novo、覆審)基準か?=覆すのが最も容易
特許庁の判断を尊重して、証拠により実質的な裏付けがない限り覆せないとする「実質的証拠(substantial evidence)」基準か?=覆すのが極めて困難
判示:
特許庁審判インターフェアレンス部からワシントンDC連邦地裁に控訴された場合、事実問題は庁の判断を尊重しない覆審(de novo)基準で審理される。
理由:
地裁では、自明性に関する最終結論(非自明性の有無、すなわち法律問題)はデノボ(de novo、覆審)基準で審理される。
しかし特許庁審判部の事実認定をどの程度尊重するかは、条文から明確でない。
CAFCへの直接控訴(特許法141条)と異なり、地裁経由の間接控訴では、事実審であるため審判部に提示できなかった証拠をも追加できる。このため、この方法は控訴審と事実審の混成するデノボ手続("a hybrid of an appeal and a trial de novo")と呼ばれることがある。ザーコウ最高裁判決でも、地裁で審判部と異なる新たな証拠を提示できるため、地裁裁判官を事実認定者とすることに言及されている。
相手側当事者ワングは、審判部で提示された証拠と同様類似の追加証拠があるだけではデノボ基準による事実審理を行うには妥当でないと主張する。
しかし、CAFCはバーリントン・インダストリー社対クイッグ事件(Burlington Indus., Inc. v. Quigg, 822 F.2d 1581, 1584, 3 USPQ2d 1436, 1439 (Fed. Cir. 1987).)で以下のように判示している。
「地裁は、法的結論の根拠となる証拠を評価する際、特許庁審査官や審判部よりも強力な利点を有している。つまり、145条に基づく控訴の特長として、証人尋問や反対尋問により証言する証人を直に審問し見ることができる。さらに多大な議論や主張を重ねることもできる。」
In its evaluation of the evidence on which this conclusion was based, the district court had a powerful advantage over the patent examiner and the Board, an advantage characteristic of section 145 appeals, in that the court heard and saw witnesses, testifying under examination and cross-examination, and had the benefit of extensive discussion and argument.
このように地裁は、証人から直接証言(live testimony)を訊くことができ、争点につき完全に事実審理が終了した後、審判部の下した審決と異なる、独自の判断を自由に下すことができる。
これに対し特許庁審判インターフェアレンス部では、証人が直接証言できない。証人による宣誓書や証言緑取の反訳の形でしか証言を入手できない。
本件では、審判部で提示されたすべての問題に関し、146条の控訴において証人の生の証言が認められていることから、CAFCは地裁を事実認定者とし、デノボによる事実審理が必要と認めた。よって、地裁での生の証言が、審判部で宣誓書や証言緑取反訳などの形式により提示された証言と同様類似のものであっても、地裁はデノボで事実認定を行う。
We hold that the admission of live testimony on all matters before the Board in a section 146 action, as in this case, makes a factfinder of the district court and requires a de novo trial. Thus, although the live testimony before the district court might be the same or similar to testimony before the Board in the form of affidavits and deposition transcripts, a district court should still make de novo factual findings, while treating the record before the Board when offered by a party "as if [it was] originally taken and produced" in the district court. 35 U.S.C. §146. Accordingly, because Winner submitted live testimony on all matters before the Board, the entire district court proceeding should have been a trial de novo, based both on the Board record and the district court evidence.
本件で地裁は誤って「明白な誤り」基準で事実認定を行ったものの、これを「デノボ」基準で審理し直しても同じ結論になるので、瑕疵は問題とならない(harmless)。
関連情報:
・Winner International Royalty Corp. v. Wang, No. 98-1553 (Fed. Cir. 1/27/00)
合議体:ミッシェル、レーダー、ガヤーサ判事
判決理由:ミッシェル判事
2000/02/23
1. ジェイ・ウォーカー氏、インターネットを語る
ワシントンDCで先頃開かれた(らしい)米企業研究所(American Enterprise Institute)主催の会合で、ジェイ・ウォーカー氏(Jay S. Walker)が語った講演の筆記録(transcript)を友人のアレックス・シャルトーヴ氏(Alex Chartove)から見せてもらった。
同氏は言うまでもなくプライスライン・ドット・コム(PRICELINE.COM)の生みの親で、今またウォーカー・デジタル社(Walker Digital Corporation)を立ち上げて活発な展開を進めている。
最初私はウォーカー氏のことをレメルソン型の人間かと思っていたが、全く異なるタイプらしい。シャルトーヴ氏によれば、彼は大変頭の良いビジネスマンとのこと。レメルソン氏は、現実のビジネスをしていない。特許を取っているだけである。これに対しウォーカー氏は、あくまでビジネスで儲けることに主眼を置いている。それもインターネットを使った、コスト削減のビジネスモデルで。時代の最先端を行く猛者であると。
情報元:
・Jay S. Walker, "The Internet Business: Is Government a Catalyst or Barrier?", (February 2, 2000).
2. 日本特許庁、ビジネスモデル特許を認める方向?
今週はじめの日経新聞第一面より。特許庁はネット配信など電子商取引(いわゆるeコマース)の技術やアイデアに特許を認める方向で検討を開始。従来の媒体特許のみならず、プログラムなどの無体物自体を保護するということらしい。審査指針の拡大解釈で対応できない場合は、特許法改正で対処するという。
このニュース、IPOデイリーニュースでもダウジョーンズ発で引用されていた。
情報元:
・「音楽・映像配信や電子商取引 ネット活用手法に特許権 特許庁検討 国際標準競争に対応」日本経済新聞(2000年2月21日)
3. eコマースに課税?
ずっと議論されている難しい問題。
情報元:
・国領二郎「課税問題、電子商取引の焦点に浮上」日経ネットITニュース(2000年2月22日)
4. 州権による知的所有権の免責問題
ローニュースネットワークより。レーヒー議員提出の特許法改正案を審議するにあたり、連邦議会は公聴会を開き知財業界の意見を訊く。アメリカで「統一意見」を得るのはなかなか困難であるが、議会側としては業界としての同意を求めている模様。
情報元:
・Ritchenya A. Shepherd, "Getting Around IP Immunity: Congress looks at ban on suing states under the Lanham Act.", The National Law Journal (February 18, 2000).
2000/02/18
1. CAFC判決:ライセンス設定拒否は特許権者の自由
注目を集めていたCSU対ゼロックス事件の判決があった。特許権者(ゼロックス社)が特定の企業(CSU)にライセンスを認めなかったため、当該企業が製品の修理等ができなくなり被害を受けたとして、独禁法違反で提訴したもの。
IPOではライセンス許諾は特許権者の自由であるべきとの立場の下、ゼロックス側を強く支持していたので、戦勝報告がされている。
情報元および関連情報:
・"IPO SUPPORTED XEROX IN ANTITRUST SUIT.", IPO's Daily News (FEBRUARY 18, 2000).
・CSU, L.L.C. v. Xerox Corp., No. 99-1323 (Fed. Cir. 2000).
・"Refusal to Sell Patented Products Does Not Violate Sherman Antitrust Act", IP Law Weekly (February 24, 2000).
2. プッシュもさようなら
いつか使ってみようと思っていながら、だんだん下火になり消えてしまった「プッシュ技術」。
情報元:
・Sandeep Junnarkar,日本語版:喜多智栄子「ポイントキャスト『プッシュ』配信の幕切れ」CNET JAPAN TECH News(2000年2月18日)
2000/02/17
1. 金融機関のビジネスモデル特許
朝日新聞より。先日話題になった住友銀行のビジネスモデル特許について簡単な紹介。
情報元:
・「米から上陸『ビジネスモデル特許』 先行取得に企業躍起」asahi.com(2000年2月16日)
・「ネット取引・金融ITのビジネスモデル 特許取得に企業躍起」朝日新聞朝刊(2000年2月17日)
2000/02/16
1. 譲渡証のFAX提出が可能に
米特許庁では、これまでできなかった譲渡証のファクシミリ提出が認められるようになった。2000年1月25日付のオフィシャルガゼットに告知があったらしい。
情報元:
・"Facsimile Submission of Assignment Documents is Now Available to PTO Customers." USPTO (Feb. 3, 2000).
2. 連邦著作権法が州法に代わって適用されないとされた事件
ローニュースネットワークより。説明的な表題をご容赦下さい。
公表権侵害を訴える州法に基づく請求は、著作権の範疇に該当せず、連邦著作権法の制定趣旨に反しないので、本件において連邦著作権法は適用されないという第5巡回控訴裁判所の判決。
情報元および関連情報:
・"Copyright Act Does Not Preempt State Law Misappropriation Action: Legislative history of Copyright Act makes it clear that Congress knew of state law rights of privacy and publicity.", IP Law Weekly (February 16, 2000).
・Brown v. Ames, No. 98-20736 (5th Cir. 2/7/00).
3. ENIACの特許
コンピュータの基本特許に関する話が少しだけでてくる。
情報元:
・中野恵美子「今日は何の日?:ペンシルベニア大学で世界初の真空管電子計算機「ENIAC」が完成式が行われた日(1946)」ZDNet Internet channel(2000年2月16日)
2000/02/14
1. 知的所有権侵害における州の免責問題
ローニュースネットワークより。昨年の最高裁判決による特許権侵害と商標権侵害の一形態である虚偽広告違反について、州政府機関は特定の場合を除き訴追を受けないという問題について、今週会議が開かれる。
これに先だって、下院司法委員会知的財産権小委員会議長ハワード・コーブル議員(Howard Coble、共和党・ノースカロライナ州選出(R-N.C.))が新法(下院版・知的所有権再生法(Intellectual Property Restoration Act, S. 1835))を提出するという情報もあり。
一方、ジャスティン・ヒューズ氏(Justin Hughes)によれば、最高裁の古い判決であるヤング事件において、州自体が主権免責を主張する場合でも、州職員は差し止めに関して責任能力を有すると判示されている。ただし、この場合でも損害賠償は認められない。
法案S. 1835によれば、州は知的所有権侵害訴訟に関して、主権免責を放棄して連邦知知的財産権制度を遵守しない限り、連邦知知的財産権を取得できないとしている。州が訴追免除の放棄に違反して主権免責を主張した場合は、違反したと思われる日から遡って5年以内に提訴された知的財産権の権利行使を求める訴訟において、損害賠償その他の金銭的保証を受けることができず、さらに違反から1年は上記の連邦制度を受け入れること(要するに知的所有権の取得)ができない。
情報元および関連情報:
・Dugie Standeford, "Congress, PTO to Debate State Immunity from IP Suits.", IP Law Weekly (February 10, 2000).
・S.1835: Intellectual Property Protection Restoration Act of 1999 (Introduced in the Senate).
2. 遺伝子情報は共有すべきか、特許すべきか
読売新聞第一面によれば、日本の「バイオテクノロジー開発技術研究組合」が、特許出願後の遺伝子など約2200個を公開すると発表。特許出願したものの、遺伝子の有用性が不明のため「産業上の利用性」の特許要件を具備できるかどうか不明なものがあるため、公開することで新規性をなくし、他社、特に欧米の企業の特許化を妨げる目的という。また遺伝子情報の公開によって国際貢献にもなるという。公開は、国立遺伝学研究所のデータベース上で行われ、2月23日より順次公開するとのこと。
一方アメリカでは、クリントン大統領は遺伝子に関する特許化の弊害、つまりは特定企業の独占を懸念しており、特許化を制限すべきとの立場を表明している。「多くの科学者や研究者は、基本情報は可能な限り広く共有されるべきと考えており」、その上で「特定の用途や商業的価値を有するものを開発した者には特許付与の道を与える」べきと述べている。
これに対する業界の反応は様々で、例えばそもそも学術研究目的での利用は、商業目的でない限り自由な特許情報の利用が既に保証されている(から、特許化にあたって問題はない)という意見もあれば、一方で研究結果を直ちにインターネット上で公開している研究グループ(ヒトゲノムプロジェクト)もある。
なおクリントン大統領は先週、連邦政府が職員の採用、昇進にあたって、特定の疾病の危険性が通常よりも高い者を差別することを禁じるために、この目的で遺伝子情報を使用するとを禁止する大統領命令(executive order)を発している。
情報元および関連資料:
・「遺伝子情報2200個公開」読売新聞(2000年2月13日)
日本の研究組合採取
機能は特定できず
欧米の特許”捨て身で阻止”
・ PETER G. GOSSELIN, "Clinton Urges Public Access to Genetic Code.", LA Times (February 11, 2000).
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"Most scientists and researchers believe the basic information ought to be as broadly shared as possible . . .,". . . "Then, when people develop something that has specific use or commercial benefit . . ., that ought to be patentable."
"I think the patenting should be for specific discoveries and developments that have a clear and definable benefit . . ."
2000/02/11
1. プレステエミュレータは合法!
ローニュースネットワークより。注目を集めていたエミュレータソフトの判決はソニーの負け。リバース・エンジニアリング(reverse engineering)肯定の新たな判示。
本件ソニー・コンピュータ・エンターテインメント社対コネクティックス社事件は、プレイステーション用のソフトをマッキントッシュ上で動作させるエミュレータソフト「バーチャル・ゲーム・ステーション(Virtual Game Station)」を開発したコネクティックスを相手取って、ソニーが著作権違反で提訴したものである。カリフォルニア北部地区連邦地裁では、ソニー側の申し立てた差し止めの仮処分(preliminary injunction)が認められた。これに対しコネクティックス側が控訴していたもの。
第9巡回控訴裁判所は昨日、著作権侵害でない最終製品(エミュレーションソフト)を製造するために、著作権のある製品を「リバース・エンジニアリング」する行為は「公正使用(fair use)」に当たると判示した。
リバース・エンジニアリング自体は、セガ事件などにより合法と認められていた。今回、ソフトウェアエミュレータにどのような判断が下されるかが注目されていた。
公判前の前哨戦が終わり、事件はいよいよ地裁の公判に移る。6月12日
情報元および関連情報:
・"Intermediate Copying of BIOS Was Fair Use Reverse Engineering.", 59 PTCJ 570 (February 18, 2000).
・Brenda Sandburg, "Court Zaps Copyright Case Over Sony Software.", The Recorder/Cal Law (February 11, 2000).
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事件の簡単な報告。地裁判決棄却を求めてアミカス・ブリーフを書いたマーク・レムリー教授(Mark Lemley, a professor at Boalt Hall School of Law)のコメントによれば、セガ事件で確立された先例が確認されたという肯定的意見。一方ソニー側代理人のジェームズ・ギリランド氏(James Gilliland Jr., Townsend and Townsend and Crew)によれば、セガ判決を逸脱しているという。セガ事件では、ソフトの機能を研究するために当該ソフトをコピーすることを認めたものである。同氏によれば、今回の判決ではソフトを研究する行為と使用する行為との区別が無視されているという。現に今回の判決理由では、「研究と使用の意味的な違いは人為的なものである」として、フェアユースか否かの判定に際してこれを考慮しなかった。
・Sony v. Connectix, No. 99-15852 (9th Cir. 2000).
B. Reverse engineering
Copyrighted software ordinarily contains both copyrighted and unprotected or functional elements. Sega Enters. Ltd. v. Accolade, Inc., 977 F.2d 1510, 1520 (9th Cir. 1993) (amended opinion); see 17 U.S.C. S 102(b) (Copyright protection does not extend to any "idea, procedure, process, system, method of operation, concept, principle, or discovery" embodied in the copyrighted work.). Software engineers designing a product that must be compatible with a copyrighted product frequently must "reverse engineer" the copyrighted product to gain access to the functional elements of the copyrighted product. See Andrew Johnson-Laird, Software Reverse Engineering in the Real World, 19 U. Dayton L. Rev. 843, 845-46 (1994).
Reverse engineering encompasses several methods of gaining access to the functional elements of a software program. They include: (1) reading about the program; (2) observing "the program in operation by using it on a computer;" (3) performing a "static examination of the individual computer instructions contained within the program; " and (4) performing a "dynamic examination of the individual computer instructions as the program is being run on a computer." Id. at 846. Method (1) is the least effective, because individual software manuals often misdescribe the real product. See id. It would be particularly ineffective in this case because Sony does not make such information available about its PlayStation. Methods (2), (3), and (4) require that the person seeking access load the target program on to a computer, an operation that necessarily involves copying the copyrighted program into the computer's random access memory or RAM.1
Method (2), observation of a program, can take several forms. The functional elements of some software programs, for example word processing programs, spreadsheets, and video game displays may be discernible by observation of the computer screen. See Sega, 977 F.2d at 1520. Of course, the reverse engineer in such a situation is not observing the object code itself,2 only the external visual expression of this code's operation on the computer. Here, the software program is copied each time the engineer boots up the computer, and the computer copies the program into RAM. Other forms of observation are more intrusive. Operations systems, system interface procedures, and other programs like the Sony BIOS are not visible to the user when they are operating. See id. One method of "observing" the operation of these programs is to run the program in an emulated environment. In the case of the Sony BIOS, this meant operating the BIOS on a computer with software that simulated the operation of the PlayStation hardware; operation of the program, in conjunction with another program known as a "debugger," permitted the engineers to observe the signals sent between the BIOS and other programs on the computer. This latter method required copying the Sony BIOS from a chip in the PlayStation onto the computer. The Sony BIOS was copied again each time the engineers booted up their computer and the computer copied the program into RAM. All of this copying was intermediate; that is, none of the Sony copyrighted material was copied into, or appeared in, Connectix's final product, the Virtual Game Station.
Methods (3) and (4) constitute "disassembly" of object code into source code.3 In each case, engineers use a program known as a "dissassembler" to translate the ones and zeros of binary machine-readable object code into the words and mathematical symbols of source code. This translated source code is similar to the source code used originally to create the object code4 but lacks the annotations drafted by the authors of the program that help explain the functioning of the source code. In a static examination of the computer instructions, method (3), the engineer disassembles the object code of all or part of the program. The program must generally be copied one or more times to perform disassembly. In a dynamic examination of the computer instructions, method (4), the engineer uses the disassembler program to disassemble parts of the program, one instruction at a time, while the program is running. This method also requires copying the program and, depending on the number of times this operation is performed, may require additional copying of the program into RAM every time the computer is booted up.
・井上雅夫「SONY v. CONNECTIX プレステ・エミュレータ事件控訴審判決」プログラム関連米国判決集
上記判決の日本語訳
・Sega Enters. Ltd. v. Accolade, Inc., 977 F.2d 1510, 1520, 24 USPQ2d 1561, 1569 (9th Cir. 1993)(amended opinion); see 17 U.S.C. S 102(b) (Copyright protection does not extend to any "idea, procedure, process, system, method of operation, concept, principle, or discovery" embodied in the copyrighted work.).
本件はソニー事件と同じく第9サーキットの判決で、マスクワークに関する半導体チップ保護法(Semiconductor Chip Protection Act (SCPA), 17 USC 906)での立法趣旨を検討
...The legislative history of the SCPA reveals, however, that Congress passed a separate statute to protect semiconductor chip products because it believed that semiconductor chips were intrinsically utilitarian articles that were not protected under the Copyright Act. H.R. Rep. No. 781, 98th Cong., 2d Sess. 8-10, reprinted in 1984 U.S.C.C.A.N. 5750, 5757-59. Accordingly, rather than amend the Copyright Act to extend traditional copyright protection to chips, it enacted "a sui generis form of protection, apart from and independent of the copyright laws." Id . at 10 1984 U.S.C.C.A.N. at 5759. Because Congress did not believe that semiconductor chips were eligible for copyright protection in the first instance, the fact that it included an exception for reverse engineering of mask work in the SCPA says nothing about its intent with respect to the lawfulness of disassembly of computer programs under the Copyright Act. Nor is the fact that Congress did not contemporaneously amend the Copyright Act to permit disassembly significant, since it was focusing on the protection to be afforded to semiconductor chips. Here we are dealing not with an alleged violation of the SCPA, but with the copying of a computer program, which is governed by the Copyright Act. Moreover, Congress expressly stated that it did not intend to "limit, enlarge or otherwise affect the scope, duration, ownership or subsistence of copyright protection . . . in computer programs, data bases, or any other copyrightable works embodied in semiconductor chip products." Id . at 28, 1984 U.S.C.C.A.N. at 5777. Accordingly, Sega's second statutory argument also fails. We proceed to consider Accolade's fair use defense.
・Brooktree Corp. v Advanced Micro Devices Inc., 977 F.2d 1555, 24 U.S.P.Q.2d 1401 (Fed. Cir. 1992).
The Reverse Engineering Defense
AMD's position at trial, and on appeal, was that its core cell was the product of reverse engineering of the Brooktree chip, and therefore does not constitute infringement under the Semiconductor Chip Protection Act. Reverse engineering is a statutory defense, included in the Act upon extensive congressional attention to the workings of the semiconductor chip industry.
The statute provides that it is not an infringement of a registered mask work for
(1) a person to reproduce the mask work solely for the purpose of teaching, analyzing, or evaluating the concepts or techniques embodied in the mask work or the circuity, logic flow, or organization of components used in the mask work; or
(2) a person who performs the analysis or evaluation described in paragraph (1) to incorporate the results of such conduct in an original mask work which is made to be distributed.
17 U.S.C. Section 906(a). The statute thus provides that one engaged in reverse engineering shall not be liable for infringement when the end product is itself original. In performing reverse engineering a person may disassemble, study, and analyze an existing chip in order to understand it. This knowledge may be used to create an original chip having a different design layout, but which performs the same or equivalent function as the existing chip, without penalty or prohibition. Congress was told by industry representatives that reverse engineering was an accepted and fair practice, and leads to improved chips having "form, fit, and function" compatibility with the existing chip, thereby serving competition while advancing the state of technology. Senate Report at 21. Much attention was given by Congress and by witnesses to the question of how to determine whether a chip layout was born of legitimate reverse engineering or of copying. It was foreseen that there would be a "gray area" wherein the rights of the parties, on the facts of a particular chip design, would require resolution on a fact-dependent, case-by-case basis. The following colloquy illustrates concerns raised at the hearings:
Rep. EDWARDS: . . . Is the chief reservation here the idea that reverse engineering, which all the witnesses agree is appropriate, might be confused with pirating and that any kind of reverse engineering might be interpreted under this law as pirating?
Mr. MacPHERSON (of Fairchild Camera & Instrument Corp.): I think that's one of the very strong concerns that we have, yes. There is a very gray area here in the very nature of reverse engineering, which would leave an individual engaged in that practice uncertain what his ultimate rights would be should he use that particular result in another product.
Copyright Protection for Imprinted Design Patterns on Semiconductor Chips: Hearings Before the Subcomm. on Courts, Civil Liberties, and the Administration of Justice of the House Comm. on the Judiciary , 96th Cong., 1st Sess., 66 (1979).
This aspect was explored over the several years of legislative gestation. The reverse engineering procedure was described by witnesses, and distinguished in purpose and mechanism from the copying against which the Semiconductor Chip Protection Act was intended to guard. It was explained that a person engaged in reverse engineering seeks to understand the design of the original chip with the object of improving the circuitry, the chip layout, or both. The presence of innovation and improvement was stressed as the hallmark of an original layout. A witness explained the difference as determining "was anything innovative done in the process or was it simply a reproduction of what was already there?" The Semiconductor Chip Protection Act of 1983: Hearings on S. 1201 Before the Subcomm. on Patents, Copyrights, and Trademarks of the Senate Comm. on the Judiciary, 98th Cong., 1st Sess., 84 (1983) (testimony of Stanley C. Corwin). Another witness explained that reverse engineering generally produces a "paper trail" recording the engineer's efforts to understand the original chip and to design a different version after reverse engineering:
"Whenever there is a true case of reverse engineering, the second firm will have prepared a great deal of paper -- logic and circuit diagrams, trial layouts, computer simulations of the chip, and the like; it will also have invested thousands of hours of work. All of these can be documented by reference to the firm's ordinary business records. A pirate has no such papers, for the pirate does none of this work. Therefore, whether there has been a true reverse engineering job or just a job of copying can be shown by looking at the defendant's records. The paper trail of a chip tells a discerning observer whether the chip is a copy or embodies the effort of reverse engineering."
Senate Report at 22 (quoting statement of Leslie L. Valdasz, Senior Vice President, Intel Corporation). The Committee reports and the statements of the Semiconductor Chip Protection Act's supporters show the belief that evidence of the presence or absence of such a paper trail would significantly reduce the gray area between legitimate and illegitimate behavior. See Mathias - Leahy Memorandum at S12,917; House Report at 21.
Senators Mathias and Leahy explained that Section 906(a) includes a provision to clarify the intent of both chambers that competitors are permitted not only to study the protected mask works, but also to use the results of that study to design, distribute and import semiconductor chip products embodying their own original mask works.
* * * The end product of the reverse engineering process is not an infringement, and itself qualifies for protection under the Act, if it is an original mask work as contrasted with a substantial copy. If the resulting semiconductor chip product is not substantially identical to the original, and its design involved significant toil and investment, so that it is not mere plagiarism, it does not infringe the original chip, even if the layout of the two chips is, in substantial part, similar.
Mathias-Leahy Memorandum at S12,917.
In illuminating the meaning of "original" in the context of reverse engineering, Senators Mathias and Leahy distinguished between a substantial copy, on one hand, and the product of reverse engineering which might be similar to the original, but if not a substantial copy would not be an infringement. For the latter, the "paper trail" was expected to document efforts in "analyzing, or evaluating the concepts or techniques embodied in the mask work or the circuitry, logic flow, or organization of components used in the mask work", as the effort required would be reflected in the documents. Id. AMD's defense was that its chips were independently designed after the Brooktree chips were subjected to reverse engineering to learn the Brooktree design. The question of whether AMD's activities were acceptable reverse engineering, or unacceptable copying, was explained to the jury as follows:
Reverse engineering is permitted and is authorized by the Chip Protection Act. It is not infringement of an owner's exclusive right and protected mask work for another person, through reverse-engineering, to photograph and to study the mask work for the purpose of analyzing its circuity -- correction -- the circuitry, logic flow and organization of the components used in the mask work and to incorporate such analysis into an original mask work.
The end product of the reverse-engineering process may be an original mask work, and therefore not an infringing mask work, if the resulting semiconductor chip product is not substantially identical to the protected mask work and its design involved significant toil and investment so that it is not mere plagiarism.
You should place great weight on the existence of reverse paperwork trail in determining whether the defendant's mask work is an original mask work from reverse-engineering.
A.M.D. mask work constitutes an original mask work if A.M.D.'s mask work incorporates its own new design elements which offered improvements over or an alternative to Brooktree's mask work.
These instructions focus the jury on whether AMD produced an original mask work, as the statute requires. The instructions were not challenged by AMD on its motion for new trial or on appeal, and were adapted from AMD's proposed instructions. Brooktree calls the instructions "too lenient". Whether or not too lenient, they were not objected to by AMD at trial, and are not now criticized by AMD as incorrect. They are the law applied in this case. See Fed. R. Civ. P. 51; Herrington v. County of Sonoma, 834 F.2d 1488, 1500 n.12 (9th Cir. 1987), cert. denied, 489 U.S. 1090 (1989) (failure to object to a jury instruction precludes appellate review).
・Atari Games Corp. v Nintendo of Am. Inc., 975 F.2d 832, 24 USPQ2d 1015 (Fed. Cir. 1992).
...Section 107 also requires examination of the nature of the work when determining if a reproduction is a fair use. 17 U.S.C. Section 107(2). When the nature of a work requires intermediate copying to understand the ideas and processes in a copyrighted work, that nature supports a fair use for intermediate copying. Thus, reverse engineering object code to discern the unprotectable ideas in a computer program is a fair use. See Feist, 111 S. Ct. at 1290, (" [C]opyright does not prevent subsequent users from copying from a prior author's work those constituent elements that are not original -- for example . . . facts, or materials in the public domain -- as long as such use does not unfairly appropriate the author's original contributions."); cf. New Kids, slip op. at 4 n.6; contra Sega Enter. v. Accolade, Inc. , No. C-91-3871, slip op. at 5 [23 USPQ2d 1440 ] (N.D. Cal. Apr. 3, 1992).
Fair use to discern a work's ideas, however, does not justify extensive efforts to profit from replicating protected expression. Subparagraphs 1 and 4 of section 107 clarify that the fair use in intermediate copying does not extend to commercial exploitation of protected expression. Sony Corp. , 464 U.S. at 451. The fair use reproductions of a computer program must not exceed what is necessary to understand the unprotected elements of the work. This limited exception is not an invitation to misappropriate protectable expression. Any reproduction of protectable expression must be strictly necessary to ascertain the bounds of protected information within the work.
In this case, the source code obtained from the Copyright Office facilitated Atari's intermediate copying of the 10NES program. To invoke the fair use exception, an individual must possess an authorized copy of a literary work. see Harper & Row , 471 U.S. at 562-63 (Knowing exploitation of purloined manuscript not compatible with "good faith" and "fair dealings" underpinnings of fair use doctrine.). Because Atari was not in authorized possession of the Copyright Office copy of 10NES, any copying or derivative copying of 10NES source code from the Copyright Office does not qualify as a fair use.
Reverse engineering, untainted by the purloined copy of the 10NES program and necessary to understand 10NES, is a fair use. An individual cannot even observe, let alone understand, the object code on Nintendo's chip without reverse engineering. Atari retrieved this object code from NES security chips in its efforts to reverse engineer the 10NES program. Atari chemically removed layers from Nintendo's chips to reveal the 10NES object code. Through microscopic examination of the "peeled" chip, Atari engineers transcribed the 10NES object code into a handwritten list of ones and zeros. While these ones and zeros represent the configuration of machine readable software, the ones and zeros convey little, if any, information to the normal unaided observer. Atari then keyed this handwritten copy into a computer. The computer then "disassembled" 6 the object code or otherwise aided the observer in understanding the program's method or functioning. This "reverse engineering" process, to the extent untainted by the 10NES copy purloined from the Copyright Office, qualified as a fair use.
The district court assumed that reverse engineering (intermediate copying) was copyright infringement. Atari Games v. Nintendo of Am. , Nos. 88-4805, 89-0027, 89-0824, slip op. at 11-13 [ 18 USPQ2d 1935 ] (N.D. Cal. Apr. 11, 1991). This court disagrees. Atari did not violate Nintendo's copyright by deprocessing computer chips in Atari's rightful possession. Atari could lawfully deprocess Nintendo's 10NES chips to learn their unprotected ideas and processes. This fair use did not give Atari more than the right to understand the 10NES program and to distinguish the protected from the unprotected elements of the 10NES program. Any copying beyond that necessary to understand the 10NES program was infringement. Atari could not use reverse engineering as an excuse to exploit commercially or otherwise misappropriate protected expression.
↑この機会に、リバース・エンジニアリングを見直そう。
・Paul Festa,日本語版:喜多智栄子「ストリーミングに迫るリバース・エンジニアリングの脅威」CNET JAPAN TECH News(2000年2月2日)
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...リバース・エンジニアリングを的確に行なえば、ハードウェアおよびソフトウェアの開発者は知的所有権法に抵触することなく、既存の製品を複製することができる。最も有名な例としては、米コンパックコンピュータが1980年代初頭に、米IBMのパーソナル・コンピューティング技術のクローンで成功を収めた例がある。
...リバース・エンジニアリングは合法だが、開発者は対象から直接コピーはしておらず、元の製作物から抽出された一般的な特性から、独立したコードを作成したということを示すために、厳密な要件を満たさなければならない。
しかし、リバース・エンジニアリングで特許で保護された物を複製することはできない。...
・高橋史忠「プレステ・エミュレータ訴訟で逆転判決,控訴審が仮差し止め処分を却下」日経エレクトロニクス(2000年2月13日)
・"Connectix Announces Decisive Victory in Sony Lawsuit.", Connectix Corporation, Press Release (February 10, 2000).
・Jim Davis,日本語版:小山敦史「ソニーが『プレステ』で逆転敗訴」CNET JAPAN TECH News(2000年2月11日)
その後2000年2月15日、著作権侵害で敗れたソニーが、今度は11件の特許権侵害で同社を同じカリフォルニア北部地区連邦地裁に再び提訴。地裁では前回「仮処分」を勝ち取っていた同社、同じ地裁判事を望んでいるという。
・Peter Cohen「Connectixが再度,Sonyと法廷で対決」iMacWIRE,MacCentral Online(2000年2月18日)
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...「この訴えは根拠がなく,まったくメリットがない。」
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(↑よく「メリット」という訳語を見かけるが、実体に関する問題を指して"on the merit"という。つまり、「実体のない争い」であるという意味と思われる。
なお根拠のない係争であったと裁判所が認定すれば、逆に訴えた方が弁護士費用を支払わなければならない可能性が出てくる。
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...「仮の禁止命令を取るには,Sonyは裁判所に対して彼らが裁判に勝つ可能性が高いことを証明しなければならない」とMcDonald氏はいう。また,特許侵害の訴訟は著作権の訴訟よりも証明が難しいことで有名だ。
・Bloomberg News,日本語版:矢倉美登里「ソニーがコネクティックスを新たに提訴」CNET JAPAN TECH News(2000年2月16日)
2. 特許庁の予算は
今週はじめのニュースですが、クリントン大統領は予算教書を議会に提出。
懸案の特許庁予算ですが、残念ながら去年に引き続き2000年も庁歳入の一部を巻き上げられる模様です。要するに、出願料や特許年金はすべて庁予算として使われるのでなく、他の官庁の赤字補填に回されるということです。
情報元および関連情報:
・"2001 USPTO FEE WITHHOLDING REVEALED.", IPO DAILY NEWS (FEBRUARY 8, 2000).
2000/02/10
1. iCraveに差し止め
iCraveTV.comがウェブ上でアメリカのTV放送をライブで再送信(?)していたことを理由に、著作権違反などで提訴されていた事件で同社に差し止め命令が命じられた。
情報元および関連情報:
・Niki Kapsambelis, "Judge Issues Injunction Against iCrave.", The Legal Intelligencer (February 10, 2000).
・Reuters, "U.S. judge imposes injunction against Canadian Web site.", FindLaw Legal News (Feb. 8, 2000)
・Reuters, "Lawmakers wary of giving licenses for TV over Web.", Silicon Valley News(February 16, 2000).
上記の裁判にからみ、昨年特許法と共に改正された衛星放送に関する再送信法案について、TV局は慎重(ライセンスを認めたくない)であるというコメント。従来、連邦議会は強制的実施権によって地上局電波の再送信をケーブルTV局や衛星放送局に認めていた。しかし、これらの権利は送信地域を限定することで、地上局の視聴者が食われることがないよう保護してきた。
そして、今問題になるのがインターネットをどうするか、という点。昨年の衛星放送関連法案の審議の際、番組制作会社側がインターネット企業による放送を封じるべく、TV電波再送信にはインターネットによる再送信を含まないという明文を追加しようとして、激しいロビー活動を繰り広げた。結局この争いは次回まで持ち越しとなっている。
・AP, "Lawmakers address new challenges posed by online TV broadcasts.", FindLaw Legal News (Feb. 17, 2000).
2. Y2K問題は続く
Y2Kのバグフィックス方法として知られるウィンドウイング(windowing)技術の特許を有するディケンズ氏(Bruce Dickens)が、また問題。トーマス・ソーダー氏(Thomas B. Soeder)と共同で新会社Dickens-Soeder 2000, LLCを設立し、別のY2K関連特許をプールして(いわゆるひとつのパテント・ポートフォリオ?)ライセンス締結=実施料を強要しようとしてる模様。
件の特許は、現在米特許庁で再審査中であることは既報の通り。
情報元および関連情報:
・Associated Press, "Y2K Patent Holders Teaming Up.", The New York Times (February 10, 2000)
・Gregory Aharonian, "PATNEWS: Y2K patent (cess)pool being formed.", Internet Patent News Service (February 10, 2000).
(最後にY2K特許のリストが掲載されている)
2000/02/09
1. 改正特許法に関する情報
先日、ABAのIPLで改正法のセミナーが行われた模様だが、かなり有用であったとの評判。情報が入りましたらご報告します。
ところで、102条(e)による後願排除効について、最近聞いたところによると、英語で出願され公開されているPCT出願で米国を指定しているものについては、従来のPCT→継続出願ルートと同様の後願排除効(つまり国内段階移行日でなく国際出願日をもって先行技術としての効力発生)が得られるのではないか、という見解があるらしい(詳細は調査中)。
なお米国の特許事務所、ウェンデロス・リンド&ポナックLLPのホームページで、特許法改正に関するニューズレターの日本語版がアップされている。
情報元:
・「米特許法改正のご案内」ウェンデロス・リンド&ポナックLLP事務所(1999年12月30日)
2. AOLを提訴
ワシントンDC郊外の法律事務所がAOLをバージニア東部地区連邦地裁に提訴。メリーランド州ゲイサーズバーグの法律事務所イェーツ&シュナイダー(Yates & Schneider)のフリッツ・シュナイダー氏(Fritz Schneider)によれば、AOLブラウザをインストールすると、他のプロバイダに繋がりにくくなるというもの。
情報元:
・Reuters「AOLブラウザのISP選択めぐり法律事務所がAOLを提訴」ZDNet News Bursts(2000年2月2日)
・Reuters, "AOL sued over 5.0 install: Fritz Schneider is not just an America Online user -- he's a lawyer. And now he's suing AOL over how it treats competing ISPs.", ZDNet News (February 2, 2000).
・Reuters「ISP接続問題で法律事務所がAOLを改めて提訴」ZDNet News Bursts (2000年2月8日)
3. IBMがインフォミックスを提訴
情報元:
・Mark Hammond「インフォミックス訴訟の謎を解明するIBM」PC WEEK Online Japan(2000年2月8日)
4. モデムに関する特許訴訟
マルチテック・システムズ(Multi-Tech Systems)がモデム技術に関する特許権を侵害されたとして、コンパック、デル、ゲートウェイをミネソタ連邦地方裁判所に提訴。
情報元:
・Ken Popovich「モデム特許侵害の疑いで提訴されるPCメーカー」PC WEEK Online Japan(2000年2月8日)
・Joe Wilcox,日本語版:矢倉美登里「パソコンメーカー3社が知的所有権侵害で訴えられる」CNET JAPAN TECH News(2000年2月8日)
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...連邦裁判所に提出する訴状には、損害賠償金額の記入は求められていない。
・米国特許第5,790,532号"Voice over video communication system"
・Reuters,日本語版:小山敦史「マイクロソフトが特許権侵害で訴え
られる」CNET JAPAN TECH News(1999年2月2日)
上記訴訟の関連ニュースとして挙げられていたもの。
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...オハイオ州クリーブランドのジョーンズ・デイ・リービス&ポーグ法律事務所のパートナー、ケン・アダモによると、米国の裁判所において陪審は、特許権侵害事件で原告寄りの評決を下す傾向が強まっている。...同氏は...このようなケースでは原告側が有利とみる。...同氏は、「アメリカ人の陪審員はみな、訴えているのがトーマス・エジソンであると思いたがっている」と述べ、イーオラス勝訴の可能性を指摘する。...
5. iMacとe-one、和解金の評価
日経ネットブレーン(創刊準備ページ?)より。損害賠償額の算定方法に関する判りやすい説明。
情報元:
・森山明子「e-one/iMac和解で分かった知的財産権紛争の損害賠償額:デザイン使用料1台500円は高いか安いか」日経ネットブレーン(2000年2月9日)
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...2万台で1000万円だから,デザイン使用料とすれば1台500円ということになる。ロイヤルティー料に換算すれば約0.3%。...デザインを財産権の観点から見れば,やっぱり安すぎると思うのは筆者ばかりではないはずだ。
・「e-one/iMac問題:関連する論評など」日経BP Find'X(リンク集)
2000/02/08
1. ヒトゲノムの特許化問題
LAタイムズより。最近よく言われている遺伝子解明に伴う特許権付与の問題。
例えば、ペンシルベニア大学では遺伝学研究室で行っていた乳ガンの研究を、特許を保有するという会社から警告を受けたため、二年前に急遽打ち切ったという。患者は今でも研究再開を懇願していると言うが、どうすることもできないという研究所所長のコメントが紹介されていた。特許庁が先般発表した101条有用性のガイドラインは、このような動きを受けて製薬メーカーやバイオ関連企業の特許化を抑制するためであると書かれている。特許庁関係者によれば、未審査のヒトゲノム関連出願およそ1万件の内、500〜1000件はこのガイドラインにより拒絶になるだろうとのこと。
情報元および関連情報:
・PETER G. GOSSELIN, PAUL JACOBS, "Patent Office Now at Heart of Gene Debate" LA Times (Feb. 7, 2000).
・ダン・ギルモア「ダボス会議の社会正義」朝日新聞・シリコンバレーテクノロジーニュース(2000年2月7日)
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インドの科学技術天然資源政策研究協会...理事であるバンダナ・シバは、...西欧の企業が発展途上国から集めた植物、動物、人間の遺伝子資源の特許ですらも取ることを可能にした知的所有権に関する規則...先進諸国は知的所有権法が権利の侵害を防止することを目的としていると言うが、その法が「豊かな企業による貧しい国の権利の侵害」と見ることもできると彼女は述べた。...
・"Shares Of Human Genome Sciences Soar On Patent For AIDS Virus Gene.", DOW JONES BUSINESS NEWS (February 16, 2000).
Human Genome Sciences Inc社がエイズウィルスに関して重要と思われるヒトの遺伝子CCR5に特許を得た(よって株価が上がった)というニュース。
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...the gene, called CCR5, is a receptor gene that facilitates a protein that functions as a receptor or "docking site" for HIV.
According to Rockville, Md.-based Human Genome (HGSI), scientists have found that people who lack a functional CCR5 receptor gene tend to resist HIV infection. The discovery, made some years ago, suggests drugs that interfere with the receptor might help treat AIDS, the company said.
・Tom Davey, "There's gold in them thar genes.", Redherring.com (February 22, 2000).
2000/02/07
1. 職務発明に関する黙示の譲渡義務
ローニュース・ネットワークより。
元従業員が特定の課題を解決、発明するために雇用された場合、雇用契約書にサインしたことがなくても、雇用主に対し特許権を譲渡する義務を負うとする州裁判所の判決。契約問題なので、州法が適用されるため連邦地裁でなく州裁判所の管轄となり、コロラド上級裁判所が判示。
情報元および関連情報:
・"Inventor Is Subject To Implied Contract to Assign Rights: Corporate officer or director has fiduciaryduty to assign patent rights to corporation.", IP Law Weekly (February 7, 2000).
・Scott System Inc. v. Scott, No. 98CA2402 (Colo. Ct. App. 1/20/00).
2000/02/03
1. アンチサイバースクワッティング法で最初の判決
ローニュースネットワークより。アンチサイバースクワッティング法(Anticybersquatting Consumer Protection Act、ネット上の不当占拠を防止する消費者保護法?)に基づく判決の控訴審による判決(つまり判例として対世効を有する判示事項)が下されたというニュース。この法律は昨年末、改正特許法と共に導入された新法。
スポーツマンズ・マーケット社は、1985年からsportyというロゴを使って通信販売などを行っており、「sporty's」の商標登録を受けていた。一方、後発のオメガ・エンジニアリング社はドメイン名sportys.comを取得して、子会社のスポーティーズ・ファーム(Sporty's Farm)にこれを譲渡、子会社が同ドメインを使って商売をしていた。スポーツマンズ・マーケット社がこの事実を知った後、逆にスポーティーズ・ファーム側がコネチカット連邦地方裁判所に確認訴訟を提訴。当然スポーツマンズ・マーケット社は商標希釈化法違反を理由に反訴を提出。地裁ではスポーティーズ・ファーム社勝訴の判決がなされたものの、使用差し止めが認められたのみで、懲罰的損害賠償(punitive damages)や逸失利益(lost profits)などの金銭的な損害賠償は認められなかった。
しかし、控訴審継続中の昨年末に、議会で反サイバースクワッティング法が成立。これを受けて第二巡回控訴裁判所は、新法制定の立法趣旨はサイバースクワッティング(要するにインターネット上でドメイン名を不当に取得する行為)事件において希釈化防止法を適用することの欠点を補うものであるとし、同法で定める条文の意味において「(他者の信用を利用して)利益を得ようとする悪意(bad faith intent to profit)」があったと判断した。
情報元および関連情報:
・Mark Hamblett, "First Ruling on Anti-cybersquatting Law.", New York Law Journal (February 3, 2000).
・Farm v. Sportsman's Market Inc., 98-7452 (2d Cir. 2000).
2. ゲーム
ローニュースネットワークより。ゲームで使われる熊のイメージをめぐる商標および著作権侵害。侵害が認められ差し止め命令が出されたものの、命令後に被告が当該マークを使用したことは認められるとした事例。理由は、原告にとっては被害が微少であるが、被告にとっては当該差し止めが致命的であると裁判所が判断したため。
情報元および関連情報:
・"Video Game Maker In Contempt for Using Image of 'Snuggle Bear': But audience is so small that harm to plaintiff is outweighed by harm to defendant.", IP Law Weekly (February 3, 2000).
・Conopco Inc. v. 3DO Co., No. 99CV10893 (S.D.N.Y. 12/7/99).
2000/02/02
1. 米改正特許法のホームページ
米特許庁が改正特許法のサイトを立ち上げた。現在工事中であるが、改正法の全文(PDF形式)や概要などが掲載されている。
情報元:
・"American Inventors Protection Act of 1999 (AIPA)" USPTO (Feb. 1, 2000).
2. 改正法セミナー
その改正法について、米法曹協会(American Bar Association (ABA))の知財部門(Section of Intellectual Property Law (IPL))でセミナーが来週月曜日、米特許庁近くで開かれる。
情報元:
・"Getting to Know the New Patent Legislation: A Comprehensive Overview" ABA
3. goo、主要法律を検索できる「ビジネス六法」を17日から開始
・「goo、主要法律を検索できる「ビジネス六法」を17日から開始」INTERNET Watch(2000年2月2日)
2000/02/01
1. 知的財産権の資産評価
これも最近話題になっているトピックの一つ。単に権利を取得すればよいというのではなく、財産権を資産として運用していくこと、例えばライセンスの販売や権利の売買取引等によって積極的に「埋もれた権利」を活用していこうという気運が高まっている。
しかし、本日付ローニュース・ネットワークによれば、米国特許弁護士(日本でいう弁理士)にはその能力がない、という話。曰く、彼等は法律的な見方しかできず、現実のビジネスの視点が欠けていると。であるから、例えば外部からビジネスの専門家の協力を仰ぐ、あるいは将来的にはロースクールにビジネススクール的なカリキュラムを取り入れようという提案。もちろん、そんなことはないという反対意見も(弁護士サイドから)あり。
情報元:
・Victoria Slind-Flor, "In-House IP Lawyers May Lose Key Job: Some say patent lawyers lack biz savvy to manage IP assets.", The National Law Journal (February 1, 2000).
2. 学校の知的所有権問題(作成中)
これもローニュースネットワークより。大学の教授が講義した内容や論文、発明などの権利帰属はどこになるのか、という問題。特許の実務には関係のない話であるが(←こればっかりです)、テーマとしては大変興味深い。
口頭の講義を聞いて学生がノートを取るのは「公正使用」だから著作権違反でない。一方、講義内容の著作権は誰が所有しているのか?以前は大学側が著作権を教授に譲る傾向があったが、現在はそうはいかないだろう。著作権法の「職務著作("work for hire")」の原則によれば、授業で教えるために教員を雇用している教育機関が講義内容について著作権を有しているという。
情報元:
・Dugie Standeford, Internet Raises Sticky Questions About Ownership of IP in Academia.", IP Law Weekly (January 28, 2000).
3. ソニー、米国で提訴される
ソニー・ミュージック社がソニー製CDに、ソニー社が直接運営するオンライン販売の販促情報を入れて小売店に販売させようとしたことは、独禁法や著作権の濫用であるとして、全米レコード販売者協会(National Association of Recording Merchandisers (NARM))からワシントンDC連邦地裁に提訴された。
メーカーがネットで直販する試みは時代の流れからいっても当然のように思えるが、既存の小売業者からの反発は避けられない。特に日本では、小売業界に気を遣いながらネット直販を立ち上げる企業が多いようである。
情報元および関連資料:
・Courtney Macavinta, "Music retailers charge Sony with unfair competition.", CNET News.com (January 31, 2000).
・ロイター発,日本語版:天野美保,岩坂 彰「米国の音楽販売業者団体がソニーを提訴」WIRED NEWS(2000年1月31日)
4. 法律の不思議?
日経インターネット・テクノロジーより。
情報元:
・小松原健「法律の不思議?」日経BizIT(2000年1月31日)
5. 米企業「ヒト・ゲノム9割解析」は眉唾?
これも日経バイオテクより。ヒトゲノムを特許対象とすべきかの是非が争われている今日この頃。
情報元:
・佐原加奈子「米企業『ヒト・ゲノム9割解析』は眉唾?」BizTech News(2000年1月31日)
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有用性示さなければ特許成立せず
...現在のところ、DNAの並び方が明らかになっても、遺伝子の働きがわかっていない場合は特許は成立しないとされる。その遺伝子が、どのような生命現象に関わっていて、有用で、新規性があることを示さなければならない。
しかし、どこまで有用性を示せば特許として保護されるのかなど、具体的な条件は曖昧なままだ。
2000/01/31
1. CAFC判決:有性生殖植物は通常特許の保護対象
米国特許法は日本と異なり、特許法の中のカテゴリーに一般の特許(utility patent、あえて訳すなら「通常特許」)と意匠特許、植物特許が含まれている。
このうち植物特許の規定は、無性生殖植物(asexually reproduced plants、よくある例としてはエルサレム・アーティチョーク(Jerusalem artichokes))を保護対象として定めている。じゃあ、有性生殖植物(sexually reproduced plants)、有り体に言えば種から育つ種子植物(seed-grown plants)は、通常特許法で保護されるのか、という疑問に答えたのが、今回のパイオニア・ハイ−ブレッド(高繁殖)・インターナショナル対J.E.M.・Agサプライ社事件。何でも特許のご時世、もちろん答えは「保護対象となる」。
被告侵害者は、連邦議会が通常の特許法に加えて(無性生殖植物を保護する)植物特許法を制定し、一方で特許法とは別に(種子や種子植物などの有性生殖植物を保護する)新種植物保護法を制定したことに基づいて、議会の立法趣旨は種子や種子植物を通常特許の対象外とし、新種植物保護法の保護対象としたものであると捉え、これを理由に本件の種子植物特許は101条の特許対象に該当せず、よって特許無効と主張した。しかしCAFCは、連邦議会も最高裁も種子植物を101条の特許対象外としたことはないとして当該主張を退けた。
また被告は、通常特許と植物特許が抵触していると主張したが、CAFCによればこれらを保護する法律は単に要件が違うとか権利が異なるといった違いに過ぎないとして、当該主張を退けた。だいたい、装飾的デザインについて意匠と著作権が同時に成立することだってあるじゃないか、と。
最近の風潮として、裁判の抗弁で特許無効を訴える際、101条違反で無効にするのはかなり難しくなっているという印象を受ける。CAFCは、審査官にしても被告侵害者にしても特許を潰したければ引例をもってこい、要するに新規性なり進歩性なりの実体的な議論で真っ向勝負せよ、と言っているように聞こえるのは私だけでしょうか。
情報元および関連資料:
・Victoria Slind-Flor, "Plants Protected By Patents Federal Circuit's ruling clarifies confusion in the law.", The National Law Journal (January 31, 2000).
これまで特許庁は種子などにも事実上特許を付与していたが、はっきりした法的根拠があったわけでなかった。今回の事件で、法的に明確に確認されたことになる。
しかし一方で、特許権付与による問題も懸念されている。ロックフェラー財団が発展途上国の食料支援のため、栄養を強化した「奇跡の米(miracle rice)」を無償で提供すると発表しているが(このニュースについては数日前のフジサンケイニュースで流れていた)、今回の判決はこの計画に支障をきたす可能性がある。先日のニュースで伝えられた、「国境なき医師団」がWTOで指摘した医薬品の特許問題に通ずる。要するに、特許があるために医薬品や食料などの価格が上がり、その結果発展途上国で入手できない(本当に必要としている人々が、高くて買えない)という事態が起こる問題である。
強制実施権の設定により、この問題を解決しようとする動きがあるが、医薬品業界などから反対があるため容易ではない。
・"Court Rules That Seed-Grown Plants are Protected Under Regular Patent Statute.", IPO Daily News (JANUARY 20, 2000).
・"Sexually Reproducing Plants Are Patentable Subject Matter Under §101", 59 PTCJ 481 (January 21, 2000).
・植物特許の保護は、主に1930年成立の植物特許法(Townsend-Purnell Plant Patent Act of 1930 (PPA))の規定による。これは特許法15章の161条〜164条に編纂されている。
さらに1970年には、植物品種保護法(Plant Variety Protection Act of 1970 (PVPA))も成立し、種子植物および塊茎植物(seed-grown and tuber propagated plants)の新種も保護対象となった。なお本法は特許法には編纂されておらず、連邦法典第七編「連邦種苗法(The Federal Seed Act)」に組み込まれているので注意。(7 U.S.C. '2321 et seq.)
・Pioneer Hi- Bred International, Inc. v. J.E.M. AG Supply, Inc., No. 99-1035 (Fed. Cir. 2000).
合議体:メイヤー、ローリー、ニューマン判事
判決理由:ニューマン判事
短くてすぐ読めるので、ご確認下さい。
本筋以外のところを読むのが好きなので(好奇心の探求は苦にならないから)、蛇足を。反対意見の有用性と限界について。
被告の主張についてCAFCは最高裁判決の反対意見でも同様の意見があるとしている。「...裁判所が採用しなかった見解を立証する際、反対意見は時に有用である。しかし、それは法ではない。」
...A similar argument was presented by Justice Brennan in his dissent from the Chakrabarty decision. Dissenting opinions are often helpful in showing positions that were not adopted by the court. However, they are not the law...
2. ロダイム対シーゲート事件、和解
本件はハードディスクメーカー同士の争いで、昨年4月にミーンズクレームの解釈について興味ある判示がCAFCで下されていた。CAFCでは、ロダイム社の特許クレーム「位置決め手段(positioning means)」は、十分な構造を記述しているためミーンズ・プラス・ファンクション・クレームでないと判断された。よって、地裁がミーンズ・プラス・ファンクション限定に従ってクレームを解釈した結果、明細書の発明の詳細な説明で記載された限定(温度補償特性)をクレームに読み込んで狭く解釈し、非侵害のサマリージャッジメントを認めたことは誤りであるとして、地裁に差し戻されていた。シーゲート社は最高裁への上告を試みていたが、先日1月18日に却下(上告申請不受理)されている。
これを受けてかどうか定かではないが、今回両者間で和解が成立。ロダイム社はシーゲート社に対し4500万ドルを支払うというもの。
情報元および関連資料:
・"Seagate Paying U.K.'s Rodime $45 Million To Settle Patent Case", Dow Jones Business News (January 27, 2000).
・Seagate Technology Inc. v. Rodime PLC, 174 F.3d 1294, 50 USPQ2d 1429 (Fed. Cir. 1999), cert. denied., No. 99-573 (2000 U.S.).
合議体:ローリー、フリードマン、レーダー判事
判決理由:レーダー判事
対象特許:米国特許第4,638,383号("Micro Hard-Disk Drive System")
クレーム3:
...positioning means for moving said transducer means between the concentrically adjacent tracks on said micro hard-disk, said positioning means including:
two support arms each supporting one of said read/write heads with each read/write head being mounted at one end of its respective support arm;
a pivot shaft having an axis located on one side of said support arms and spaced away from said support arms;
a positioning arm to which the other ends of said support arms are attached, said positioning arm having one end thereof coupled to said pivot shaft;
a bearing assembly supporting said pivot shaft for rotational movement thereby enabling said positioning arm to be pivoted about the axis of said pivot shaft;
a stepper motor having an output drive shaft;
means for operating said stepper motor in step increments; and
a tensioned steel band coupling said drive shaft of said stepper motor to the other end of said positioning arm, said band being arranged in a pulley arrangement whereby rotational movement of said stepper motor causes pivoting of said positioning arm about said pivot shaft for moving said support arms and the read/write heads in incremental steps with each increment causing said read/write heads to move from one track to the next adjacent track on said micro hard-disk.
・"Means Element Avoids § 112 ¶6 By Including 'Sufficient' Structure.", 57 PTCJ No. 1422 (April 22, 1999).
3. ディズニーの「go」はしばらくロゴ使用禁止
ディズニー傘下の検索ポータル「Go Network」のロゴがGoTo.com Incのロゴと類似しているとして争われている裁判(少し前に話題になって、最近忘れていた)で、ディズニー社に対し使用差し止めの仮処分が命じられた。
ディズニー社が買収したインフォシーク(Infoseek)のGo Networkというサービスのロゴが、GoTo.comが1997年より使用しているロゴと類似してるため混同を生じるとして、GoTo.com社が使用差し止めと損害賠償を求めてディズニー他を提訴。地裁では使用差し止めが認められなかったが、控訴審である第9巡回裁判所は当該決定を逆転、ディズニーに対し裁判が決着するまで直ちに使用を止めるよう命じた。
どこかのサイトに両者のロゴの対比があれば引用したいのですが(去年のTIMEに載っていたはず)、黄色と緑のマークで、例えは悪いですがiMacとe-oneくらい似ているように思いました。
情報元および関連資料:
・Reuters, "Disney loses round in Internet logo wrangle" FindLaw Legal News (January 28, 2000).
・Patricia Jacobus, "Judge bars Disney from using Go.com logo", CNET News.com (January 28, 2000).
(ロゴが掲載されている!)
・"Injunction for GoTo.com Reinstated Against Disney's 'Go.com' Logo.", E-Commerce Law Weekly (February 3, 2000).
・GoTo.com. Inc. v. Walt Disney Co., No.99-56691 (9th Cir. stay lifted 1/27/00), No. CV-99-01674-TJH (C.D. Calif.).
4. 日本のビジネスモデル特許
日経新聞より。日本の金融業では初めてとのこと。
情報元:
・「住友銀、取引手法で『特許』」日本経済新聞(2000年1月31日)
2000/01/28
1. 特許庁、豪雪のため閉庁
アメリカ東海岸を襲った豪雪のため、今週火曜日、水曜日(1月25、26日)は特許庁を含め殆どの官庁が閉庁。これらの日が期限のものについては、木曜日まで延長される。
自然現象(雪)による特許庁の閉庁は、1996年以来。このときは3日間閉鎖された。ちなみに、マークマン事件のCAFC口頭弁論が行われたのはこの時で、判事の一人は雪のため欠席している。
情報元:
・"Closing of the Patent and Trademark Office on Tuesday January 25, 2000, and Wednesday, January 26, 2000" USPTO (January 27, 2000).
2. 一般教書演説
昨日2000年1月27日、連邦議会でクリントン大統領による年頭の一般教書演説(State of the Union Address)が行われた。毎年恒例、大統領が一年の抱負を議会で大いに語るものですが、感銘を受けました。銃規制の問題、税金の問題、医療保険制度、教育制度、人種問題、中国のWTO加盟、ロシアの支援等々について、その必要性と議会の協力を呼びかけており、感動的でした。アメリカの大統領はこういった演説が格段に上手い。小渕さんではとても真似できない。
アメリカが偉いと思うのは、世界的な視点で物事を考えているということ(たとえそれが絵に書いた餅であっても)。もちろん、自国の利益を優先させてはいるが、建前であっても世界を念頭に置いた上で考えるというのは、日本も見習うべきだと思う。これは単にアメリカ経済が好調だからできるという一過性のものでなく、元来からアメリカが世界を引っ張っているという自信と自覚があるからこそなせる技かもしれない。しかし日本ももっと誇りを持ってもいいと思うのだが。島国根性というか、国際間の問題は(国内の問題ですら)対岸の火事的に捉える風潮があるような気がしてならないのだが、早くここから脱却して次のステップに進めるよう願う...
特許がらみでは、大統領に既に指名されている上院承認待ちの候補者を早く承認すべきであると言っていた。議会の多数派である共和党が(民主党のクリントンの指名に)反対しているため、多分承認待ちの方々が大勢いるのだろう。人事といえばこの人、CAFC判事候補であるティモシー・ダイク氏は、今年はどうなるんでしょう。
ところで、本日のCNNのトップニュースは一般教書演説の話題でなく、今週末に予定されているスーパーボウルについて「雪のため(会場である)アトランタ行きの飛行機がキャンセル」という話題でした。そりゃ、大事でしょうけどねえ...
(追記)
スーパーボウルはちゃんと開催されてました。ドーム競技場なので当然ですが。なにより、これだけカネの動くイベントを中止することは難しいと思われます。
スーパーボウルといえば、毎年高騰するスポットCM。好景気を反映してか、今年もネット関連企業(いわゆるドット・コム)はせっせとCMを打っておりました。
(さらに追記)
今年のアメリカ大統領選で立候補していたオリン・ハッチ上院委員が、先日レース半ばにして断念。明らかに勝てる見込みが無さそうだったため。読売新聞朝刊他より。
情報元および関連資料:
・Randy Lilleston, "Clinton calls for major tax cut, new gun controls: In State of the Union address, president unveils long list of proposals.", CNN (January 28, 2000).
・John F. Harris, "Analysis: A Return to Activist Agenda.", Washington Post (January 28, 2000).
・State of the Union
(約1時間半の演説がリアルプレーヤーで閲覧できる)
・町田徹「米大統領が一般教書演説・健全財政を重視」日経ネット(2000年1月27日)
「...一般教書とは米大統領が年頭に、内政・外交全般について施政方針を上下両院に表明する演説。大統領の演説の中で最も重要とされ、予算教書、経済報告と並ぶ三大教書と呼ばれる。」
・・・一方、日本の施政方針演説では、野党欠席でいつもの野次もない味気ないものになった(これも3ない?)。クリントンの演説に共和党議員が拍手していたものとは対照的。
・坂本英二「21世紀の国家像訴え・首相施政方針演説」日経ネット(2000年1月28日)
・Jane Weaver「『ドットコム』はスーパーボウルに勝利したか」ZDNet News Bursts(2000年2月1日)
・Inter@ctive Week「スーパーボウルのCM合戦,『勝者』はE*TradeとPets.com」ZDNet News Bursts(2000年2月2日)
・Jennifer Mack「スーパーボウルのCM合戦,ドットコム企業に厳しい評価」ZDNet News Bursts(2000年2月2日)
・Sergio G. Non「スーパーボウルの中継で,ドットコム企業のCMが退屈だった理由」ZDII(2000年2月2日)
・Survey of the Super Spots
(幾つかのCMが見える)
2000/01/27
1. バナー広告を巡る戦い
ローニュースネットワークより。ダブルクリック社が広告方法に関する特許侵害でL90社をバージニア東部地区連邦地裁に提訴。これもいわゆるビジネスモデル特許がらみか。
情報元および関連資料:
・Tatiana Boncompagni, "Double Trouble" Legal Times (January 27, 2000).
・Reuters, "L90 to debut on Wall Street amid rivalry, lawsuit" FindLaw Legal News (Jan. 26, 2000).
(L90社の株式公開について)
・Carol Emert, "Internet Marketer DoubleClick in Hot Water Watchdog group is preparing to file complaint with FTC.", San Francisco Chronicle (January 27, 2000).
(ダブルクリック社が個人情報を利用していることに反対するグループがFTCに提訴)
・Sandeep Junnarkar,日本語版:鎌田真由子「ダブルクリックがユーザーデータの不法利用で訴えられる」CNET JAPAN TECH News(2000年1月28日)
2. eToysが和解
大手オンライン玩具ショップ「eToys」がスイスのアーティスト集団「etoy」を訴えてひんしゅくを買っていた紛争が和解。eToysはドメイン名が類似していることを理由に、先に使用していたetoyを訴えていた。これに反発して、一時はeToysのホームページを攻撃しようとハッカー達に呼びかけるキャンペーンまで起こっていた。結局、eToysが迷惑料として(?)4万ドルと必要経費をetoy側に支払い、提訴を取り下げるという結果になった。自ら招いた結果とはいえ、本件でeToysには不名誉だけが残った。
情報元および関連資料:
・Patricia Jacobus, "eToys settles Net name dispute with etoy.", CNET News.com (January 25, 2000).
3. WAPプロトコルにライセンス
ジオワークス社(Geoworks)は、ワイヤレス・アプリケーション・プロトコル(Wireless Application Protocol (WAP))を利用したワイヤレス・データ・サーバーシステムおよびソフトウェアのライセンス使用料を徴収すると発表。
情報元および関連資料:
・Corey Grice, John Borland,日本語版:小山敦史「ワイヤレス技術のライセンス計画でジオワークス株が急騰」CNET JAPAN TECH News(2000年1月19日)
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...ジオワークスの最高経営責任者(CEO)デイブ・グラナンは、...市場に根づく前にWAPをつぶしてしまわないよう気をつけるつもりだと語った。「使用料を払ってほしいと頼むのは大変なことだ。われわれとしては、自社製品から収入を得たいという考えと、WAPの伸びを止めたくないという気持ちとのバランスをとりながら進む」
・Ephraim Schwartz, "Wireless standard threatened by GeoWorks claim of patent infringement.", Cable News Network (January 25, 2000)
・U.S. Patent No. 5,327,529 "flexible user interface for mobile communications devices"
4. ネット販売
今や何でもネット販売の時代、企業秘密でも特許でも...
情報元および関連資料:
・Ken Yamada, "Selling corporate secrets -- legally.", Redherring.com (January 24, 2000).
2000/01/24
1. 最高裁のトレードドレス審理
先週開かれた最高裁での口頭弁論の模様が報告されている。
情報元および関連情報:
・"Test for 'Inherent Distinctiveness' of Trade Dress Debated in Supreme Court.", IP Law Weekly (January 24, 2000).
・"Arguments Heard in Trade Dress Case: On Inherently Distinctive Product Designs", 59 PTCJ 480 (January 21, 2000).
2. 販売の事実を出願時に無視したため弁護士費用(追加)
ローニュース・ネットワークより。ジョージア南部地区連邦地裁判決。情報開示義務違反で弁護士費用(attorneys' fees)が認定された事例。地裁レベルだから拘束力は限られるが、興味深い問題が含まれているので紹介します。
102条(b)に定める「出願前一年以上の販売を理由とする法定拒絶条項」、いわゆるオン・セール・バー(on sale bar)の事実を特許事務所の平弁護士(アソシエート)が「故意に無視(studied ignorance)」したとして、たとえこの者が出願を準備するのに3日間しかなく、また上司である管理職弁護士(パートナー)からオンセールバーの問題は生じないと信じ込まされたとしても、弁護士費用の支払請求は妥当であるとして被告に対し支払が命じられた。
本件はCAFCからの差し戻し事件。問題の特許はオンセールバーにより102条(b)で無効であることがCAFCにより確認された(この詳細は後述)。被告側は特許無効以外にも特許法285条に基づき弁護士費用を請求していたが、地裁は当該請求が特許無効のサマリージャッジメント中で主張されなかったことを理由に却下していた。しかしCAFCはこれを不当として地裁に差し戻していたのである。
特許訴訟では攻める側、すなわち特許権者が一方的に有利というわけでなく、訴えられた被告側も反撃できることを改めて確認させられた。被告側はもし特許無効が認められれば、今度は当該無効理由の開示義務違反(すなわち誠実義務違反)で攻め返して逆に弁護士費用を得ることも可能なのである。特許権者は提訴する前に、特許を無効にされるリスクだけでなく、開示義務違反で反撃されるリスクも検討する必要があるだろう。
さらに具体的に検討すると、意図的に重大な情報を知らないようにした(だから開示義務を負わないで済む)という戦略は、不衡平行為を生じるということも示されている。
本件では、パートナーから案件を任されたアソシエートは、出願前も出願後も102条(b)に関する調査を一切やっていない。その理由は、当人の弁によれば出願まで時間がなかったから、また別の弁護士から(必要な情報を)聞いたから。地裁はこれらの弁明をいくらかは聞いてくれるかと思われたが、全く聞き入れなかった。それどころか、「他人の案件を受けて、出願に際して基本的な事前調査(これは数分あればできるだろう)ことなく出願書類に自分の名前をサインするとは、明らかに軽率(reckless、未必の故意ないし認識ある過失)」とし、「どのような102条の問題があるのか、といった単純な質問をするために数分の時間すらとらなかったという事実は、故意のレベルに至る意図的な無視を示している」と述べた。また出願後の開示義務を認識しながら、問題の情報を提出しなかった理由を説明していないことにも触れている。
裁判所によれば、102条などの調査をしなかった理由は明かであるという。この者は斯かる情報を知りたくなかった、なぜならひとたび知ってしまえば開示義務が生じることを彼は承知しているから。その証拠に、未だに「知らない」と裁判で主張している。このことからも、彼が慎重に「不知」を形成していたことが浮き彫りになる。要するに、緊急の出願準備の際に重要な情報がうまく見逃された(重過失をも超えている)ことに疑いの余地はない。特許弁護士が適切な時期に行うべき調査を故意に避けたこと、およびその後開示しなかったことで、285条の弁護士費用認定に必要な不衡平行為は容易に具備されるとし、強く非難している。
意識的に「知らなかった」ことにしても、不衡平行為を逃れられないと肝に銘じるべきであろう。
情報元および関連情報:
・"Patent Lawyer Lambasted For 'Studied Ignorance' of On-Sale Bar Patent attorneys' knowledge of disclosure requirements is imputed to their clients.", IP Law Weekly (January 24, 2000).
・Brasseler U.S.A. I LP v. Stryker Sales Corp., No. 497-184 (S.D. Ga. 12/30/99).
・Brasseler v. Stryker Sales Corp., 182 F.3d 888, 51 USPQ2d 1470 (Fed. Cir. 07/09/1999).
本件は、CAFCからの差し戻し事件。CAFC判決の判決理由はプレーガー判事が担当。問題の特許は手術用のこぎりで、出願の一年以上前に病院に販売されていた。ただCAFCは当時、オンセールバーに該当するか否かを判断する基準として「状況全体を参酌する」という立場を採っていた("totality of the circumstances" test)。これに従って原告は、販売をした者と原告とは本件の発明者に雇われていたし、またこれらの者は本件発明を共同で改良した者であるから、オンセールバーに該当しないと主張した。
しかしファフ対ウェルズ事件の最高裁判決により上記基準は破棄され、これに代わって「特許の準備」基準が導入された。CAFCは審理の結果、原告の主張するような「共同改良者」の例外('joint development' exception)は認められないとして当該主張を退けた。また原告側の主張、例えば原告は本件発明の衡平な所有者(equitable owner)であること、原告が発明の改良を開始した事実、販売前に追加の処理工程を行った事実などは、いずれも決定を覆すに足りないとされた。
最高裁のファフ事件以降もオンセールバーはよく争われている。本件により、販売した者が発明者と雇用関係にあることでは適用除外とならないことが改めて確認された。そもそも、発明者本人の販売でもオンセールバーにあたるのだから、当然か?
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原告は地裁判決を引用して、販売者が発明者に雇用されていることを理由にオンセールバーの適用除外を主張したが、そのような地裁判決に従うべき理由がないとして突っぱねられている。
...We decline Brasseler's invitation to establish a new exception based on the fact (alleged) that it and DS Manufacturing were joint developers and as such a sale between the two of them should not be considered a Section 102(b) sale. It is true that Brasseler and DS Manufacturing both employed one or more of the named inventors. However, we have "never recognized a 'joint development' exception to the 'on sale' bar." Buildex Inc. v. Kason Indus., Inc., 849 F.2d 1461, 1465, 7 USPQ2d 1325, 1328 (Fed. Cir. 1988).
Brasseler invites us to follow the holding in Ex-Cell-O Corp. v. Litton Industrial Products, Inc., 479 F. Supp. 671, 689, 205 USPQ 612, 629 (E.D. Mich. 1979). In Ex-Cell-O, the district court opined that because the invention was jointly developed by the buyer and seller, each employing one of the named inventors, the sale between them was not a Section 102(b) sale. However, the district court failed to provide any reasoning for this conclusion. The court did note that the accused infringer never disputed the patentee's contention that if the invention was jointly developed, the on-sale bar does not apply. See id. at 689 n. 14, 205 USPQ at 629 n. 14. In any event, we are not bound by the district court decision in Ex-Cell-O. Brasseler has failed to convince us that we should adopt the holding in that case.
Brasseler also cites M & R Marking Sys., Inc. v. Top Stamp, Inc., 926 F. Supp. 466, 468-70 (D.N.J. 1996), in which the district court declined to apply the on-sale bar to a sale from a manufacturer to a sales corporation that employed the sole named inventor and had asked the manufacturer to make the patented product pursuant to the patented design. Again, we have no obligation to follow the district court's reasoning. Furthermore, the case before us is distinguished in at least one significant respect. In M & R Marking, there was only one inventor and that inventor was employed by the buyer. Here, in contrast, DS Manufacturing (the seller) was owned by one of the inventors and it employed a second inventor. By way of the sale to Brasseler, these inventors commercially exploited the invention prior to the critical date.
This is not a case in which an individual inventor takes a design to a fabricator and pays the fabricator for its services in fabricating a few sample products. Here DS Manufacturing made a large number of the agreed-upon product for general marketing by Brasseler. The transaction was invoiced as a sale of product, and the parties understood the transaction to be such.
Nor are we persuaded to a different conclusion by the allegation that Brasseler (the buyer) was the 'equitable owner' of the invention at the time of the sale. For one, Brasseler's evidence in this regard is unconvincing, even when viewed in the light most favorable to Brasseler, as we must in reviewing the summary judgment. See Chiuminatta Concrete Concepts, Inc. v. Cardinal Indus., Inc., 145 F.3d 1303, 1307, 46 USPQ2d 1752, 1755 (Fed. Cir. 1998). However, even accepting the allegation as true, the fact that Brasseler had ownership rights in the invention when an embodiment thereof was produced and sold to Brasseler in large quantity for resale by Brasseler does not provide a ground, on these facts, for reaching a different result.
Additionally, the fact that, as alleged, Brasseler (the buyer) may have initiated development of the invention is also not persuasive. See Buildex, 849 F.2d at 1465, 7 USPQ2d at 1328 ("Traulsen [the buyer] may have provided the impetus for making the invention, but that does not make the transaction any less an offer for sale."). We are also not persuaded by Brasseler's assertion (made at oral argument) that the sale at issue here was not in the public and thus was not a Section 102(b) sale. As we noted in Buildex, "[t]he 'public' [for purposes of Section 102(b)] is not limited to ultimate users of the product . . . ." 849 F.2d at 1465, 7 USPQ2d at 1329. Similarly, in Caveney we rejected the argument that sales activity kept secret from the trade does not trigger the on-sale bar. 761 F.2d at 675-76, 226 USPQ at 3-4.
Lastly, we are not persuaded by the fact that Brasseler may have taken certain additional processing steps ( i.e. , marking, packaging, and sterilization) prior to selling the saw blades to hospitals. This alleged fact is immaterial because the saw blades sold by DS Manufacturing to Brasseler undisputedly included all of the limitations of the patent claims; the additional steps allegedly performed by Brasseler are not recited in the claims. Thus the additional steps undertaken for marketing of the product do not change the basic transaction--a sale of completed product in quantity, constituting a commercial sale of a product ready for patenting, and for marketing by Brasseler.
In sum, it is undisputed that the invention was "ready for patenting" at the time of the sale. Pfaff, 119 S. Ct. at 312. Furthermore, Brasseler has failed to convince us that the sale was not "commercial" or is otherwise exempt from Section 102(b). Id. The cases on which Brasseler's argument rests are premised on the now-discarded "totality of the circumstances" rule, and although the facts here are in some respects distinguishable from our prior cases in which we have held there to be on-sale bars, the differences do not persuade us to exempt the sale here from the reach of Section 102(b). Accordingly, we affirm the judgment of invalidity.
・"'Joint Development' by Buyer and Seller Does Not Preclude On-Sale Bar to Validity.", 58 PTCJ 360 (July 22, 1999).
・Pfaff v. Wells Elecs. Inc., 525 U.S. 55 (1998).
3. MP3も訴えられる
全米レコード協会(Recording Institute Association of America (RIAA))が1月21日、MP3.comを著作権侵害でニューヨーク連邦地方裁判所に提訴。MP3.comはデジタル音楽フォーマットの定番であるMP3ファイル(著作権保護機能がないため鬼子扱いされている)で音楽を配信している有名なポータルサイト。同社が同12日に開始した新サービス「Instant Listening Service」と「Beam-it」が著作権を侵害しているという。
関連情報:
・Robert Lemos「MP3.comの新サービスが著作権侵害? 全米レコード業界が提訴」ZDNN/USA News Bursts(2000年1月24日)
・本間純「米レコード協会がMP3.comを提訴:音楽配信サービス巡り全面対決へ」日経ネットビジネス(2000年1月24日)
「...いずれのサービスもユーザーが購入予定あるいは購入済みの音楽CDに含まれる楽曲をMP3形式でストリーミング配信するというもの。このサービスを提供するにあたり、MP3.com社は事前に米国内で販売されているCDアルバムのうち4万5000タイトルをデジタル化して同社の楽曲データベースに蓄積している。RIAAは、MP3.comがRIAAの許可を得ずに楽曲をデジタル化している点を問題として争う...」
・SARA ROBINSON, "3 Copyright Lawsuits Test Limits of New Digital Media.", New York Times (January 24, 2000).
・Michael Learmonth, "Industry Group Sues MP3.com: MP3.com vows to fight the music industry's opposition." The Standard (January 21, 2000).
当たり前のコメントですが、ちょっと引用します。
...To accomplish this feat, MP3.com bought 40,000 CDs, ripped each CD's tracks into MP3 format and created a database. The copies transferred into customers' accounts actually come from the database on MP3.com's servers, not from recordings individually owned by consumers.
This is what's problematic to the RIAA and copyright advocates. The Copyright Act of 1971 prohibits anyone but the copyright owner from making a copy of a recording. An exception to that law was created by Congress by the Audio Home Recording Act of 1992 which prevented consumers from being sued by record companies for making copies of recordings for their own use.
"The copy was made by MP3.com, not by the consumer," notes Entertainment Law Reporter editor Lon Sobel. "I couldn't imagine how they thought that what it was doing was legal."...
・Jeff Pelline,Beth Lipton,日本語版:小山敦史「サイトサウンドがMP3.comに抗議の書簡」(2000年1月28日)
MP3.comがサイトサウンド社所有の米国特許5,191,573号と5,675,734号に触れるという警告状(ライセンス契約要求)を受けた。
..."Though I am not a lawyer, I would think it would be difficult to patent the sale of music files on the Internet. You might be able to patent a METHOD of selling music downloads, but patenting an MP3 download for profit would seem like patenting pre-existing chunks of the Internet. Both the practice of online sales and file downloading have been around for some time, and I don't know why combining the two practices is something that qualifies as being worthy of a patent..."
・Reuters, "MP3 files suit against Recording Industry body.", FindLaw Legal News (Feb. 8, 2000).
4. 吉野川第十堰の住民投票
特許と無関係で申し訳ありませんが、地元徳島県の、徳島市民として考えなければならない問題なので...
住民投票の結果はご存じの通り約55%の投票率であったため無事開票され、およそ9割の市民が反対という結果となった。
まず、投票率が50%以下の場合は開票すらしないということであったため、心配していた。なんというか、「一応意見を聞いてやろう」という建前のために投票の機会を与えてもらっているような感じでいやだった。友人の話では、市民の多くは「投票は市民としての権利であり義務だから、賛成反対どちらにしても投票には出かけます」という意見が大半だったそうである。意思表示の大切さを改めて感じた。
しかし、である。通常の選挙と同じようにやるといっておきながら、不在者投票については「通常の選挙」と異なり、出張者などの便宜を図るための郵便での投票が認められなかった。担当者の話では、当日に本人が投票所に出向くか、あるいは規定の日までに所定の場所に本人が出向いて不在者投票をすますかのいずれしかないという(委任状とかはダメ)。とにかく本人が直接出向くしか方法が無く、さもなくば「棄権」としてカウントされてしまうという不合理な「通常の投票」であった。
とにかく、反対意見がこうして出された以上、意見に真摯に耳を傾けた切実な対応を望みたい。推進派、反対派とも感情的になっていて「建設的な」話し合いができていない状態で、ごり押しで計画を進めるのはどうかと思う。議論が前向きに進まないため私を含め市民は混乱していて、「本当のところ、どうなの」という問いに明快に答えてくれない。建設省は「専門的すぎてどうせ素人には理解できないのだから、専門家に任せておけ」的な態度なのだろうか?お上のいうことを信じて失敗した例は木頭村の例を挙げるまでもなく山ほどある。役所主導で民意そっちのけ、コンセンサス無視という事態は、民主主義的アメリカでは起こり難いと思うのですが...
関連情報:
・「堰可動化に『ノー』」徳島新聞・電子号外(2000年1月23日)
・「第十堰改築の対立点」徳島新聞
・「『建設計画に変更なし』小渕首相」徳島新聞・第十堰住民投票関連ニュース(2000年1月24日)
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...小渕恵三首相は...「この事業は流域全体にとって重要な施策と聞いている。投票結果から見ると建設省としてはさらに住民の理解を求める努力が重要。投票結果で事業を中止するとは聞いていない」と述べ、建設計画に変更はないとの考えを示した。
・「第十堰住民投票投票率速報(確報)」
2000/01/21
1. 最新版特許法
昨年末の法改正にあわせて追加、削除した特許法が米特許庁により公開されている。手書きに近い非公式版だが、最新版法令集が出るまではこれで代用可能。
情報元:
・"Title 35: Amendments Made by Pub.L. No. 106-113: Working Document Showing Amendments and Deletions (Not Official Codification)" USPTO (Jan. 21, 2000).
(PDFファイルでレターサイズ93ページ)
2. インターネットでアメリカのTVを見る?(追加)
ちょっと前に話題になった、カナダのウェブサイトで現在放送中のTV番組がリアルタイムで見れるという話。カナダでは英語圏と仏語圏が混在しているものの、アメリカのTVがそのまま流れている放送局がある。これらを含め、TVをウェブ上で見れるようにしたサービスをカナダの企業iCraveTV.comが始めた。一応サービスはカナダ国内に限定されているものの、(カナダの電話番号を入力して確認しているだけなので)実際上世界中の誰もがアクセスできることになる。もちろん、綺麗な画像、音声が楽しめるわけではないが、事実上世界中の人間がアメリカのテレビを見れるように再送信しているわけで、これは著作権法違反では、と言われてきた。それが遂に提訴に発展。ピッツバーグの連邦地裁に大手映画会社やTV局などが著作権法違反で提訴した。
その後、差し止めを認める仮処分が裁判所で下された。
情報元および関連情報:
・AP, "Canadian Internet Firm Sued.", FindLaw Legal News (Jan. 21, 2000).
・iCraveTV
・Dugie Standeford, "U.S. Studios, TV Stations Charge iCraveTV with 'Brazen' Cyberpiracy: Plaintiffs claim it retransmitted TV broadcasts over the Internet.", IP Law Weekly (January 28, 2000).
明かな著作権違反という者もいるが、被告がいうように(カナダ国内での再送信?)ライセンスを有しているとすれば、法的には反論の余地がある?
・(Reuters), "iCraveTV Web site suspends broadcast of TV shows.", FindLaw Legal News (Jan. 30, 2000).
・Dugie Standeford, "U.S. Film Studios, TV Stations Win TRO Against iCraveTV.", E-Commerce Law Weekly (February 2, 2000).
...for copyright and trademark infringement, dilution, unfair competition, and civil conspiracy and were granted a Temporary Restraining Order (TRO) Jan. 28
・Twentieth Century Fox Film Corp. v. iCraveTV, No. 00121 (W.D. Pa. 1/28/00).
・Reuters「著作権侵害の疑いのカナダのサイトにWeb放送一時中止命令」ZDNet News Bursts(2000年1月28日)
3. ビジネス・モデル特許の記事
日経エレクトロニクスで「知らないではすまないビジネス・モデル特許」という記事。
関係ないけど、お騒がせプライスライン社(目下マイクロソフトの関連会社と係争中)が中古品の売買を仲介する「パーフェクト・ヤードセール」を始めたという。これはニューズウィーク誌の記事より。
アメリカで一般的なガレージセールもしくはヤードセール(引っ越しの際や、いらなくなったものを自宅のガレージや庭で売りに出す)に目を付けたもので、「ユーザーは、欲しい品物と希望の金額を提示。近くに住む人から売り手が名乗り出たら、直接会って品物を確認してから買う。送料を払わずにすむし、クレジットカードで支払えば、買ってから7日間は代金が引き落とされない。...同社はこの新しいシステムについて、特許を申請中だ。」
情報元:
・「知らないではすまないビジネス・モデル特許」日経エレクトロニクス2000年1月17日号
・「eベイに強力なライバルが登場」ニューズウィーク日本版2000年1月26日号P.13
2000/01/20
1. サイバースクワッティング初適用
既報の通り。
情報元および関連情報:
・"FIRST CYBERSQUATTING CASE UNDER WIPO PROCESS JUST CONCLUDED.", World Intellectual Property Organization, Press Release (January 14, 2000).
・「キング牧師の名を騙る白人至上主義者」ZDNN/USA(2000年1月26日)
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...ドメインの悪用を防ぐための反サイバースクワッティング消費者保護法が連邦議会を通過,ブラッド・ピットやケニー・ロジャースなどが裁判を起こしているが,故人であるためキング牧師の名前は法律の保護下にない。...ICANNでも,このドメインの没収を試みているが,事はうまく運びそうにないという。
2000/01/19
1. トレード・ドレス事件の最高裁審理
1999/10/05付ひとりごとにてお伝えした、トレードドレスに関する事件の口頭弁論が本日、米連邦最高裁にて開かれる。ウォルマート対サマラ・ブラザーズ事件で、地裁ではウォルマートの侵害による120万ドルの損害賠償と30万ドル以上の弁護士費用が認められた。控訴審では第二巡回裁判所(セカンド・サーキット)がこれを維持、よって被告側が上告したのが今回の事件。トレードドレスの保護要件の基準を最高裁が明確化してくれるよう期待。
ローニュースネットワークのニュースで、簡単な経緯が説明されている。これによると、かつてのトレードドレスは商品が市場で提示される手法のみ、つまりはパッケージやラベルを意味していた。
しかし今日のトレードドレスは、商品そのもののデザインや外観等、全体の視覚的イメージ(total visual image)も含んだ概念となり、例えば形状や質感までがこれに含まれる。
1992年のツー・ペソズ対タコ・カバーナ事件で最高裁は、トレードドレスが識別力を内在しておれば、それが二次的意味(secondary meaning、副次的意味?)を有することの証明は不要と判決している。ただ、「固有の識別性(inherently distinctive)」を判定する基準を明らかにしなかったため、地裁レベルで意見の相違が生じていた。
そこで今回、ランハム法に基づきトレードドレスの保護を得るための要件として「固有の識別性」を立証するために、どのような証拠が必要かが明らかにされることだろう。トレードドレスは、日本でもiMacとソーテックの争いで注目を集めた(先頃和解になりましたが)し、これからの注目株として押さえておくべきかも。判決は今年7月頃?
情報元および関連情報:
・Marcia Coyle, "Justices Visit 'Wal-Mart': Case might produce a clearer 'trade dress' protection rule.", The National Law Journal (January 19, 2000).
"...Trade dress once referred only to the way a product was presented to the marketplace -- its packaging or label.
Today, it includes the design and appearance of the product itself, 'its total visual image, including its shape and texture,'..."
被告上告人ウォルマートの主張
"...product design trade dress can never be inherently distinctive. He maintains that in the alternative, design cannot be protected unless it has secondary meaning: It is not inherently distinctive from day one, but over time people have associated the design with a particular maker."
・Wal-Mart Stores Inc. v. Samara Bros. Inc., No. 99-150. (U.S. Argured on 1/19/2000).
・Samara Brothers Inc. v. Wal-Mart Stores Inc., 165 F.3d 120, 49 USPQ2d 1260 (2d Cir. 10/4/1999).
・"Briefs Filed in Trade Dress Case on Proof Of Inherently Distinctive Product Designs.", 59 PTCJ 426 (January 7, 2000).
上告人は、色彩のような製品の形態をなす構成(product configuration)はトレードドレスの一形態であるが、本来的に識別力を有することはあり得ず、よって保護を受けるためには常に二次的意味を必要とすると主張。
これに対し被上告人は判例を挙げて、製品の構成は商標分類の範囲の適用を受けるものであり、固有の識別性有無は市場を対象とした客観的な基準に従って、事実認定者の審理により決定されると反論。
・Abercrombie & Fitch Co. v. Hunting World Inc., 537 F.2d 4, 189 USPQ 759 (2d Cir. 1976).
・Seabrook Foods Inc. v. Bar-Well Foods Ltd., 568 F.2d 1342, 196 USPQ 289 (CCPA 1977).
・"Trade Dress Case Will Be Reviewed on Proof Of Inherently Distinctive Product Designs", 58 PTCJ 638 (October 7, 1999).
・"Copying 'Line' of Kids' Clothes Was Trade Dress and Copyright Infringement.", 57 PTCJ (January 14, 1999).
・Two Pesos Inc. v. Taco Cabana Inc., 505 U.S. 763, 23 USPQ2d 1081(1992).
...We granted certiorari to resolve the conflict among the Courts of Appeals on the question whether trade dress that is inherently distinctive is protectible under 43(a) without a showing that it has acquired secondary meaning. 502 U.S. 1071 (1992). We find that it is, and we therefore affirm.
...We agree with the Court of Appeals that proof of secondary meaning is not required to prevail on a claim under Section 43(a) of the Lanham Act where the trade dress at issue is inherently distinctive, and accordingly the judgment of that court is affirmed.
当時のランハム法(連邦商標法)第43条(a)は、以下の通り。
"Any person who shall affix, apply, or annex, or use in connection with any goods or services, or any container or containers for goods, a false designation of origin, or any false description or representation, including words or other symbols tending falsely to describe or represent the same, and shall cause such goods or services to enter into commerce, and any person who shall with knowledge of the falsity of such designation of origin or description or representation cause or procure the same to be transported or used in commerce or deliver the same to any carrier to be transported or used, shall be liable to a civil action by any person doing business in the locality falsely indicated as that of origin or in the region in which said locality is situated, or by any person who believes that he is or is likely to be damaged by the use of any such false description or representation." 60 Stat. 441. This provision has been superseded by Section 132 of the Trademark Law Revision Act of 1988, 102 Stat. 3946, 15 U. S. C. Section 1121.
Footnote 4. Secondary meaning is used generally to indicate that a mark or dress "has come through use to be uniquely associated with a specific source." Restatement (Third) of Unfair Competition Section 13, Comment e (Tent. Draft No. 2, Mar. 23, 1990). "To establish secondary meaning, a manufacturer must show that, in the minds of the public, the primary significance of a product feature or term is to identify the source of the product rather than the product itself." Inwood Laboratories, Inc. v. Ives Laboratories, Inc., 456 U. S. 844, 851, n. 11 [214 USPQ 1] (1982).
・Qualitex v. Jacobson Products, 514 U.S. 159, 34 USPQ2d 1161 (1995).
クオリテックス対ジェイコブソン・プロダクツ事件で最高裁は色のみでも商標として保護されると判示しているが、本件では色が固有の識別力を有していなくても、副次的意味があるために登録可能としている。
...In this circumstance, trademark law says that the word (e.g., "Trim"), although not inherently distinctive, has developed "secondary meaning." See Inwood Laboratories, Inc. v. Ives Laboratories, Inc., 456 U.S. 844, 851, n. 11 (1982) ("secondary meaning" is acquired when "in the minds of the public, the primary significance of a product feature . . . is to identify the source of the product rather than the product itself"). Again, one might ask, if trademark law permits a descriptive word with secondary meaning to act as a mark, why would it not permit a color, under similar circumstances, to do the same?
・1999/10/05付ひとりごと
・1999/08/24付ひとりごと
2. アップルとソーテック和解
既報の通り。「両社の和解により,知的所有権に関する新たな司法判断が生まれる可能性はなくなった」ことは残念。
情報元および関連情報:
・「(続報)ソーテック,アップルとの和解条件などを説明。解決金は1000万円。」日経エレクトロニクス(2000年1月18日)
・芹澤隆徳「和解は“痛み分け”? ソーテックがアップルとの和解について説明」ZDNet News Japan(2000年1月17日)
(年表付)
3. DVDの暗号解読ソフトを巡り提訴
これも既報の通り。DVDのコピー防止技術「Content Scrambling System (CSS)」を回避するソフトウエア 「DeCSS」を配布したことはデジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act(DMCA), 17 U.S.C. sec. 1201)違反として、大手映画会社8社がニューヨーク州およびコネチカット州連邦地方裁判所に提訴。
情報元および関連情報:
・高橋史忠「大手映画会社8社が「CSS破り」を提訴,米改正著作権法を根拠に」日経エレクトロニクス(2000年1月18日)
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「...CSS破りに関しては,1999年12月にDVDプレーヤ・メーカなどが米国カリフォルニア州で同様の訴訟を起こしたばかり。この訴訟では連邦地裁が,ソフトウエア配布を禁ずる仮処分に関する原告側の要求を却下している。」
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DVD-CCA(Copy Control Association)がトレードシークレット違反を主張して多くの個人、サイト(リンクを張っているものも含めて)に対する差し止めを求めたが、却下されている。この訴訟は継続中。
・APBnews.com, "It's Hollywood vs. the Web in DVD Suit.", FindLaw Legal News (Jan. 17, 2000).
・"DVD-Copy.com Legal Archives"
(訴状など)
・Universal City Studios Inc. v. Reimerdes, No. 00 Civ. 277 (LAK) (S.D.N.Y. 1/20/00).
・DVD Copy Control Association Inc. v. McLaughlin, No. CV-786804 (Sup. Ct. Calif. 1/21/00).
・「また出た『CSS破り』,今度はDVD-ROM装置の再生制限を骨抜きに」日経エレクトロニクス・Digital Consumer Electronics News(1999年12月14日)
・Howard Mintz, "Judge to rule soon on DVD suit.", Mercury News (January 18, 2000).
「まもなく」といったら、本当にまもなくだった...
・「『CSS破り』のソフト配布,米国で仮差し止め」日経エレクトロニクス(2000年1月21日)
・Reuters, "U.S. judge orders DVD hack off Internet sites" FindLaw Legal Headline News (Jan 21, 2000).
問題のサイトの一つは、直接のリンクを削除しただけで、別のサーチエンジンに接続してキーワード検索するように示唆している。「言論の自由」だそうである。
・GREG MILLER, "Film Industry Wins Ruling in DVD Suit", L.A. Times (Jan. 21, 2000).
・Et-OH Hiroyuki「DVD暗号解読プログラム配布中止命令 米連邦地裁」毎日新聞(2000年1月24日)
・WSJ Interactive「DVD暗号解読ソフトにネット掲載中止の仮処分」ZD Net News Bursts(2000年1月21日)
・David McGuire, "Another DVD Crypto Injunction Granted In California - Update.", Newsbytes (Jan. 24, 2000).
・Mike Godwin, "Courts Enjoin Sites That Publish DVD Decryption Software: Defendants must now remove decryption software from websites.", E-Commerce Law Weekly (January 28, 2000).
・Brenda Sandburg, "Judge Boosts Motion PictureIndustry's DVD Case.", The Recorder/Cal Law (February 4, 2000).
4. ゼロックスの特許
既報の通り。スリーコムとの訴訟で争われている特許の有効性が確認されたと報じられている。
情報元および関連情報:
・Michelle Finley,日本語版:高橋朋子,合原弘子「スリーコム社の悲喜こもごも」(2000年1月18日)
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...当初の訴えでゼロックス社は、『パーム』デバイスに採用されている手書き文字認識ソフトウェア『グラフィティ』(Graffiti)は、現在スリーコム社の所有するUSロボティックス社が無断流用したものであると主張した。ゼロックス社は1993年、パロアルト研究所(PARC)で『ユニストロークス』(Unistrokes)という技術を開発し、1997年にその特許を取得している。
...ゼロックス訴訟に関して、米特許商標局は先月、ゼロックス社の特許を確認し、これによって同社が訴訟を続行する道が開かれた。
...ゼロックス社は、グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)やマウスなど、PARCで開発された革新的技術で儲け損ねたことで有名だが、それゆえ現在では知的所有権の保護に積極的だ。
・Reuters「Palmの手書き認識技術めぐる特許侵害の訴えでXerox側に軍配」ZDNet News(2000年1月10日)
5. 米特許庁「PTOトゥデイ」創刊
かねてからの告知通り、米特許庁はオンラインマガジン「PTOトゥデイ」を創刊している。カラーで24ページ、PDF形式なのでアドビ・アクロバット・リーダさえあれば誰でも無料で読める。アメリカの特許関連雑誌はなかなか日本から入手し難いので、こういうサービスは素晴らしい。是非とも日本特許庁も、英語による日本の特許情報を、世界に向けて無料でどんどん発信して欲しい!アメリカ人は日本の特許制度なんて殆ど知らない。それはアメリカ人の性格・考え方の違いもあるでしょうが、英語で書かれた解説が少ないことも一因だと思う。日本特許庁のホームページには確かに英語の情報もあるのだが、日本語情報に比べると格段に少ない。また情報発信を雑誌スタイルにすることで、興味を引く面もあると思う。関係者の方々、是非ご検討をお願いします。
さて、創刊号では、特許法改正やビジネス特許等、タイムリーかつ興味深いトピックが並んでいる。審査官をはじめ特許庁の職員が書いた、おそらくは公式見解なので、特許庁の見解を知る上でも有益。
情報元:
・"Premiere issue of PTO TODAY, the Online Magazine for PTO's Customers.", US PATENT AND TRADEMARK OFFICE (Jan. 4, 2000).
・Tod Preston, "Changes for the New Century: Recent legislation and its impact on PTO.", Office of the Commissioner, with the Office of Legislative and International Affairs
(改正法の簡単なサマリー)
・Todd Voeltz, contributed with Brigid Quinn (Office of Public Affairs), "It's All in the Claims: Don't judge software and business method patents before reading their claims.", Supervisory Patent Examiner, Art Unit 2761
(ビジネス特許に対する批判への反論。要は「発明の名称」だけで判断することなく、クレームをちゃんと読め(そうすればなぜ特許になったのか判るだろう)ということだが、これはほとんど中身の無い反論と言わざるを得ない。特許庁の天敵、グレッグ・アハロニアン氏にいたっては、"if anyone has dirt on an examiner named Voeltz, let me know - the guy is a weenie (unless he was forced to put his name on that ridiculous article written by a twit from the PTO's PR office)." )
2000/01/18
1. 不正アクセスの法的取締
ネット社会が実現していくにつれて、これを取り締まる法的整備も必要になる、というわけか、法整備の問題について。
国際的な取締の策定について、米国が欧州、日本などと「サイバー犯罪条約」の制定について協議しているという米ニュースバイツの記事(英文)が、毎日新聞、ローニュース・ネットワークなどで紹介されている。
また日本でも「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(不正アクセス禁止法)が本年平成12年2月13日より施行される。
情報元および関連情報:
・Steve Gold, "World Cybercrime Treaty May Be Underway", Newsbytes (Jan. 14, 2000).
・Coma「サイバー犯罪条約を制定?」毎日インタラクティブ(2000年1月17日)
・「不正アクセス行為は処罰されます!」警視庁
2. インターネットのジュリスディクション(とある先輩の命により作成中...)
企業を訴える際に、ホームページの存在を根拠にしてジュリスディクション、要するに裁判管轄を確立できるかどうかの問題。幾つか判例もあるが、地裁レベルのものが多くまだ完全に理論は確立されていない模様。CAFCも未だこの問題に言及していない。
ただ、もし確立されるならばネット企業を訴える場合のみならず、一般の訴訟にも有効な場合があるだろう。
情報元および関連情報:
・"Offer to Sell Infringing Device In Forum Was Not Specific Enough for Jurisdiction.", 59 PTCJ 399 (December 24, 1999).
・VP Intellectual Properties LLC. v. Imtec Corp., No. 99-3136 (D. N.J. 12/8/99).
・CIVIX-DDI LLC v. Microsoft Corp., 52 USPQ2d 1501 (D.C. Colo 10/1/1999).
・CoolSavings.Com Inc. v. IQ.Commerce Corp., 51 USPQ2d 1136 (DC NIll 6/10/1999).
・"CoolSavings.com Settles Patent-Infringement Suit", The Standard.com
2000/01/14
1. 暗号化ソフトの輸出規制緩和
かねてから改訂版発表が報じられていた暗号ソフト輸出規制に係る新規則が、ついに発表された。これで暗号化ソフトの輸出には、従来必要だった輸出ライセンスが不要となった。
今回の規則は、昨年9月にクリントン政権が発表した暗号化ソフトに関する政策を施行するためのもの。草案の時点では不十分とか非難轟々だったが、最終版では大きな前進が見られると、概ね歓迎されている様子。規則の発表は1月12日にあったが、官報掲載は本日金曜日付で、同日施行。なお、今回発表された規則は最終版に近い暫定版(Interim final rule)で、一般の意見を受け付けた後(request for comments)最終版が公示されると思われる。
なお輸出規制は商務省輸出管理局(Bureau of Export Administratio (BXA))の管轄。輸出管理規則は特許出願とも無縁でなく、例えば米国の子会社で発明された技術を日本など米国以外の国で出願するために日本の親会社と打ち合わせする場合に問題となる。
情報元および関連資料:
・ALAN YONAN JR., "Change On Encryption Rules Win Praise From Industry, Privacy Groups", Dow Jones Business News (Jan. 12, 2000).
・"Commerce Announces Streamlined Encryption Export Regulations", U.S. Department of Commerce (January 12, 2000).
...Foreign employees of U.S. companies working in the United States no longer need an export license to work on encryption.
...Today's changes do not affect restrictions on terrorist supporting states (Cuba, Iran, Iraq, Libya, North Korea, Sudan, and Syria), their nationals, and other sanctioned entities.
・The Bureau of Export Administration, U.S. Department of Commerce
・"15 CFR Parts 734, 740, 742, 770, 772, and 774: Revisions to Encryption Items", Rules and Regulations, 65 Fed. Reg. 2497 (January 14, 2000)
(正規PDF版)
(テキスト版)
・George M. Kraw, "Oh, Never Mind: The feds throw in the towel on encryption export regulation.", IP WorldWide (Nov. 1999).
...Detailed export regulations are supposed to be made public by Dec. 15. In accompanying legislation, the Cyberspace Enhancement Security Act, or CESA, the administration is no longer insisting on complete government access to all encrypted data.
・Reuters「暗号化技術の規制緩和,新規定発表は1月14日に延期」ZDNet News(1999年12月24日)
・Declan McCullagh「あいまいな米国の暗号輸出新規制」ホットワイアードジャパン(2000年1月15日)
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...先週、プライバシー保護用暗号プログラムのウェブ上への掲載を制限する米国政府の新しい規制が施行されたが、特に害はないと思われるヤング氏のこの行ないも、この規制に違反する恐れがある。しかし、その点が曖昧なのだ。この規制は改定前に比べかなり制限が緩められているものの、やはり暗号プログラムのウェブ掲載に適用される。
...事態を複雑にしているのは、コンピューターですぐに使えるバイナリー・ソフトウェアと、コンパイルしなければ使えない、人間が読める形のソースコードでは、規制における扱い方が異なる点だ。...新規則は、バイナリーソフトの場合、政府があらかじめ「検査し」、配布条件に見合っていると「分類した」ものにかぎり、米国民がオンラインでこれを配布することを許可しているようだ。
前の規則では、ウェブサイトは、受け取り側マシンのインターネット・アドレスを調べ、それが米国内にあるコンピューターであると確認できた場合のみ、バイナリーコードを配布することが認められていた。...一方、ソースコードの方はいくぶん規制がゆるい。煩雑なライセンスの下におかれていない限り、またサイトのアドレスを商務省に電子メールで連絡する限りにおいて、ウェブへの掲載は認められているようだ。...だがこの規制は、通知が必要だと定めているだけで、許可が必要だとは言っていない。
・Jim Kerstette 「米国政府の輸出規制撤廃を祝う暗号業界」PC WEEK/USA(2000年1月19日)
・PC WEEK/USA「RSA公開鍵暗号アルゴリズム,9月20日に特許期限切れ」ZD Net News Bursts(2000年1月21日)
・Reuters「中国の暗号技術規制をめぐる混乱続く」ZDNet News Bursts(2000年1月27日)
・中田雅博「米『盗聴前提』と抗議 外国企業にも登録義務」産経新聞(2000年1月29日)
2. 半エネ研、三洋をアメリカで提訴
テスコニュースダイレクトより。半導体エネルギー研究所(Semiconductor Energy Laboratory Co.)が三洋電機などに対し、2000年1月13日にデラウェア連邦地区裁判所にて特許侵害訴訟を提起した模様。
情報元
・知財速報ニュースサービス,テスコダイレクト(2000年1月14日)
・REUTRS, "USA: SEMICONDUCTOR ENERGY SUES SANYO UNIT OVER PATENTS.",
Derwent News Desk (Jan. 12, 2000).
・Semiconductor Laboratory Co. v. Sanyo North America, et al, (D.Del. filed on Jan. 13, 2000).
2000/01/13
1. 連邦政府の免責
主権者の免責(sovereign immunity)は、実務上それほど重要なトピックではないけれども、いかにもアメリカ的で興味深いので個人的にはまっている。先頃のカレッジ・セービングスバンク事件で特許権や商標権侵害などに対する州政府の免責特権が認められたのは記憶に新しいところ。
さて、今回は州でなく国、すなわち連邦政府の免責。連邦政府にも連邦法上免責が認められており、政府との契約で働く第三者の侵害を理由に政府を訴える場合は、連邦政府が著作権侵害を認めない限り訴えることはできない。こう書くと誤解を招きそうなので、とりあえず経緯を。
ジョン・ボイル氏(John C. Boyle)はミューチュアル・ファンド商品のパンフレットに著作権をもっている。パンフレット記載のものと類似の商品を、よその金融機関(Wells Fargo Nikko Investment Advisors)が扱いだしたため、著作権侵害で訴えたものの敗訴。
そこで今度は連邦政府を相手取って、「被告に商標権を付与したことは著作権侵害の幇助(contributory copyright infringement)にあたる」として連邦請求裁判所(United States Court of Federal Claims)に提訴。ここで同氏は連邦政府、すなわち特許庁が被告に「誤って商標権を付与し」、当該商標の取消を認めず、その結果同氏の持つ著作権を「事実上破壊した」ことは「不当な搾取」に相当するとし、被告商標の取消と同氏の受けた損害の補償を政府に対し求めた。
しかし請求裁判所は、本訴訟に対する免責を政府は放棄していないため著作権寄与侵害に当たらないとして、政府の求めた訴えの却下を認めた。これを不服としてCAFCに控訴されたのが今回の事件。(通常、商標や著作権の問題はCAFCの専属管轄でなく、地裁の属する管轄に従って訴え出る高裁(1〜11またはDCサーキット・コート)が地理的に決まるが、今回は国を相手取ったクレーム裁判所が第一審のためCAFCの管轄となった。)
CAFCは、本件で連邦政府は免責特権を放棄しておらず、また著作権侵害を認めてもいないので訴えを却下した第一審の判断は妥当とした。
情報元および関連情報:
・Boyle v. United States, 99-5125 (Fed. Cir. 2000).
・Boyle v. Stephens, Inc., 1998 WL 80175 (S.D.N.Y. Feb. 25, 1998).
・Boyle v. United States, 44 Fed. Cl. 60 (1999).
・28 U.S.C. § 1498(b) (1994)
アメリカ合衆国連邦著作権法で保護されるいかなる著作物に含まれる著作権が、合衆国により侵害された場合、または合衆国に所有もしくは管理されている団体によって侵害された場合、あるいは合衆国政府のために働く契約者、下請契約者その他の者、企業、団体により、政府の承認もしくは同意をもって侵害された場合において、当該著作権の所有者に対する唯一の救済は、当該侵害に対する損害の合理的賠償もしくは全額補償による回復を求めて合衆国請求裁判所に訴える提訴によって得ることができる。
Whenever the copyright in any work protected under the copyright laws of the United States shall be infringed by the United States, by a corporation owned or controlled by the United States, or by a contractor, subcontractor, or any person, firm, or corporation acting for the Government and with the authorization or consent of the Government, the exclusive remedy of the owner of such copyright shall be by action against the United States in the Court of Federal Claims for the recovery of his reasonable and entire compensation as damages for such infringement. . . .
・S. Rep. No. 1877, at 3-4 (1960), reprinted in 1960 U.S.C.C.A.N. 3444, 3444-45.
議会議事録より、上記法律の立法趣旨
要するに、政府自体でない第三者の著作権侵害に関しては、政府が同意もしくは認めた上での侵害に限って補償が認められるのであり、それ以外の著作権侵害では救済は得られない。
The purpose of the proposed legislation, as amended, is to provide a remedy in the Court of Claims for the infringement by the U.S. Government, or by any contractor acting with its consent, of any work protected under the copyright laws of the United States where such infringement was with the authorization or consent of the United States. . . . The language of the bill is to the effect that the exclusive remedy of the owner of the copyright against the United States shall be only in those cases in which the infringement was made with the authorization or consent of the Government. It would, therefore, follow that all other infringements would not transfer liability to the U.S. Government.
CAFCは救済を得るための、つまり政府が免責を放棄したとされるための3つの状況を列挙している。
The plain language of the statute states that the United States has waived sovereign immunity in three instances:
(1) when the United States itself infringes a copyright,
(政府自体が侵害)
(2) when a corporation owned or controlled by the United States infringes, and
(政府の所有する団体もしくは管理下の団体が侵害)
(3) when a contractor, subcontractor, or any person, firm, or corporation, acting for the Government and with its authorization or consent, infringes.
(政府のために働く契約者等が、政府の同意・認可の下に侵害)
The statute "effects a policy that government wrongdoing in the realm of copyright infringement not go uncompensated. . . . The final clause extends the waiver to third parties acting for the government and with the government's 'authorization or consent.'" Auerbach v. Sverdrup Corp., 829 F.2d 175, 179 (D.C. Cir. 1987) (emphasis in the original).
考えてみれば、政府自体が犯した侵害は当然認められるべきとしても、政府に雇われている者の侵害責任まで政府が全部負うというのは酷というもの。政府が命じたとか承認した侵害についてだけ、斯かる第三者の侵害についても政府が責任を負うこととして、あとは当事者で勝手にやって頂戴、ということ?要するにこの訴えはお門違いといことでしょうか。
ちなみにこの方、主張もかなり強引だが弁護士を立てず自身で(per se)法廷に立った模様。
2. 特許長官の正式名称
IPOニュースに書いてあったが、昨年末の特許法改正により米特許庁長官の役名がコミッショナー(Commissioner)から「ディレクター(Director)」に変わる。今年の3月26日より。
2000/01/12
1. 有用性ガイドライン改訂版とDNA
ローニュース・ネットワークより。先頃発表された新・有用性審査ガイドライン暫定版に関して、特に問題とされているDNA断片の特許付与の適否に関するコメント。具体的内容には触れず、識者のコメントが中心。先日の読売新聞でもヒトゲノム計画について第一面で報道されていたし、特許権付与について(日欧に比べ)積極的な米特許庁がどう出るか、興味あるところ。
基本的に、DNA断片の有用性があいまいなものをゴミと断定している模様(未だ本文読んでないので...真偽の程は不明)。ただし、特許付与に反対している者からすれば、有用性否定について踏み込んでおらず不十分と写る。ある弁護士は「この分野では要求される有用性のレベルは低い」と予想、また「簡単なものならライセンス料も安くなる(から特許してもいいじゃないか)」とも。ある教授は「現実的には特許されるべきだし多分そうなるだろう」。
一方、過去の判例では、最高裁のブレナー対マンソン事件(ブレナー氏は当時の特許庁長官)でエイブ・フォータス最高裁判事(Justice Abe Fortas)は「特許はライセンス狩りでも研究に対する見返りでもない。実現に成功したことに対する補償である」、「特許制度は哲学の領域よりも商売の世界と関係していなければならない」と判示。
また、特許権を認めるとしても、その効力の及ばない例外を拡大して対処するという考えもある。しかし、特許権の効力の適用を受けない「実験的使用」の例外(experimental-use exemption)については、過去に有名なCAFC判決があり、狭く解釈されている。要するに特許が失効する前に、当該特許に係る薬品の廉価版(generic version、一般薬と訳していいのか?)製造のための試験(米食品医薬品局(Food and Drug Administration (FDA))の認可を受けるため試験が必要)を開始する場合には適用されない、つまりこの場合は権利侵害になる。これについては特許法271条(e)(2)を参照されたい。
情報元および関連情報:
・Victoria Slind-Flor, "PTO's New Guide to DNA Info Scientific community is in conflict on free use of early research" The National Law Journal (January 11, 2000).
・Brenner v. Manson, 383 U.S. 519, 86 S. Ct. 1033 (1966).
・Roche v. Bolar, 733 F.2d 858, 221 USPQ 937 (Fed. Cir. 1984) cert. denied, 469 U.S. 856, 225 USPQ 792 (1984).
・Hoechst-Roussel Pharm. Inc. v Lehman, 109 F.3d 756, 42 U.S.P.Q.2d 1220 (Fed. Cir. 1997).
...Hoechst-Roussel also refers to the lost income to a non-marketing patentee who can not sue the marketing applicant for infringement during the regulatory review period, citing 35 U.S.C. Section 271(e) (overruling Roche Products, Inc. v. Bolar Pharmaceutical Co., 733 F.2d 858, 221 USPQ 937 (Fed. Cir.), cert. denied, 469 U.S. 856 (1984)). Section 271(e) permits premarket approval activity conducted for the sole purpose of sales after patent expiration...
・特許法271条「特許権侵害」
(e)(2)では、医薬品関係の特許につき、権利失効前に第三者が政府の認可を受けるために使用試験を行うことは侵害にあたるとされている。
35 U.S.C. Sec. 271. Infringement of patent
(e)
(1) It shall not be an act of infringement to make, use, offer to sell, or sell within the United States or import into the United States a patented invention (other than a new animal drug or veterinary biological product (as those terms are used in the Federal Food, Drug, and Cosmetic Act and the Act of March 4, 1913) which is primarily manufactured using recombinant DNA, recombinant RNA, hybridoma technology, or other processes involving site specific genetic manipulation techniques) solely for uses reasonably related to the development and submission of information under a Federal law which regulates the manufacture, use, or sale of drugs or veterinary biological products.
(2) It shall be an act of infringement to submit -
(A) an application under section 505(j) of the Federal Food, Drug, and Cosmetic Act or described in section 505(b)(2) of such Act for a drug claimed in a patent or the use of which is claimed in a patent, or
(B) an application under section 512 of such Act or under the Act of March 4, 1913 (21 U.S.C. 151-158) for a drug or veterinary biological product which is not primarily manufactured using recombinant DNA, recombinant RNA, hybridoma technology, or other processes involving site specific genetic manipulation techniques and which is claimed in a patent or the use of which is claimed in a patent, if the purpose of such submission is to obtain approval under such Act to engage in the commercial manufacture, use, or sale of a drug or veterinary biological product claimed in a patent or the use of which is claimed in a patent before the expiration of such patent.
(3) In any action for patent infringement brought under this section, no injunctive or other relief may be granted which would prohibit the making, using, offering to sell, or selling within the United States or importing into the United States of a patented invention under paragraph (1).
(4) For an act of infringement described in paragraph (2) -
(A) the court shall order the effective date of any approval of the drug or veterinary biological product involved in the infringement to be a date which is not earlier than the date of the expiration of the patent which has been infringed,
(B) injunctive relief may be granted against an infringer to prevent the commercial manufacture, use, offer to sell, or sale within the United States or importation into the United States of an approved drug or veterinary biological product, and
(C) damages or other monetary relief may be awarded against an infringer only if there has been commercial manufacture, use, offer to sell, or sale within the United States or importation into the United States of an approved drug or veterinary biological product. The remedies prescribed by subparagraphs (A), (B), and (C) are the only remedies which may be granted by a court for an act of infringement described in paragraph (2), except that a court may award attorney fees under section 285.
・Eli Lilly & Co. v Medtronic Inc., 496 U.S. 661, 15 USPQ.2d 1121 (1990).
271条(e)の例外に医療装置(medical device)も含まれるとした有名な最高裁判決。ただしケネディ、ホワイト判事は反対。
..Petitioner contends that respondent infringed its patents by testing and marketing a medical device known as a cardiac defibrillator. The Court holds that 35 U.S.C.§271(e)(1), a provision of the patent law, may give respondent a defense to this charge. It rules, in particular, that§271(e)(1) will excuse respondent if it acted for the sole purpose of developing information necessary to obtain marketing approval for the device under§515 of the Federal Food, Drug, and Cosmetic Act (FDCA), 90 Stat. 552, 21 U.S.C.§360(e).
・Paper Converting Machine Co. v Magna-Graphics Corp., 745 F.2d 11, 223 USPQ 591 (Fed. Cir. 1984).
We must decide here the extent to which a competitor of a patentee can manufacture and test during the life of a patent a machine intended solely for post-patent use.
・「ヒト遺伝子の97%解読完了=新薬開発などで特許占有の可能性も−米社(時事通信)」Yahoo! News(2000年1月11日)
・「特許からみたバイオテクノロジー産業の現状と課題」特許庁総務課企画調査室(平成11年8月)
・「遺伝子関連発明の審査の運用に関する事例集」特許庁調整課審査基準室(平成11年10月)
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...昨年11月より本年5月まで、日米欧三極特許庁ではDNA断片の特許性について比較研究を行い、以下の点について確認することができた。
(1) 配列を決定しただけのDNA断片に特許性はない。
(2) 但し、DNA断片自身が、特定の病気の診断薬に用いられる等独自の有用性を有する場合には、特許性がある。(特許出願前にDNA断片の配列と類似の配列及びその有用性が知られていないことを条件として。)
そこで、本比較研究で扱われたDNA断片のみならず、今後多額の投資を伴って研究開発が進められ特許出願の増加が予想される、全長cDNA及びSNP(single nucleotide polymorphism)について、「特定技術分野の運用指針」に基づいて行われる審査の運用の理解を深めるために、今回「遺伝子関連発明の審査の運用に関する事例集」を公表する。本事例集は、上記の具体的な事例について、その主な拒絶理由である実施可能要件や進歩性の判断を中心に、出願人の反論、釈明の方法も含めて説明することで、これらの発明について審査上の扱いをよりわかりやすくするために作成されたものである。
2000/01/11
1. 米特許取得件数ランキング
昨年1999年の米特許取得件数。トップ10はIBM、NEC、キヤノン、サムスン、ソニー、富士通、東芝、モトローラ、ルーセント、三菱電機。
IBMの首位は不動、次は大体キヤノンだが、今年はNECが2位だった。
情報元:
・"List of Top 53 Companies by Rank for 1999", IFI CLAIMS Patent Services
・「1999年IBMの米国特許取得,7年連続トップ,知的財産から年10億ドルの収入」日経BP USニュースフラッシュ(2000年1月12日)
・須川裕棋「米IBM社,7年連続で米国での特許取得件数第1位に」日経エレクトロニクス・オンライン(2000年1月12日)
・合原亮一「米特許取得数最高はIBM キャノンが2位で追う」Mainichi INTERACTIVEコンピューティング(2000年1月12日)
(キヤノンの二位は90年代のトータル)
・"IBM Leads In U.S. Patents for Seventh Consecutive Year" IBM Press releases (January 11, 2000).
・Bloomberg News,日本語版:鎌田真由子「IBMが1999年に記録的な特許数を取得」CNET Japan Tech News(2000年1月11日)
(IBMは1999年に2756件の特許を取得、1998年は2658件。)
・「USNews 1999年IBMの米国特許取得、7年連続トップ、知的財産から年10億ドルの収入」Nikkei Biztech News(2000年1月12日)
2000/01/10
1. ドメイン名の不当登録防止
ニューヨークタイムズより。サイバー・スクワッティング(cybersquatting)の話題。スクワットといえば、体操でお馴染みのしゃがむこと、転じて、公有地の所有権を得るために無断で居着くことを指す。それをウェブ上でやること、要するに著名商標や屋号などのドメイン名を本人に無断で取得し、高い価格で売りつけようとする行為が「サイバースクワッティング」である。適当な訳語を知らないが「ネット空間の違法占有」、「ドメイン不当登録」等と意訳するのか?
ドメイン名を管理するICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)は、既得権を保護する趣旨から従来、連邦商標法(ランハム法)に基づき登録された商標を先例(precedent)と捉え、ドメイン名の正当な所有者を決定する基準として(つまり商標権利者以外の者によるドメイン名登録を禁じて)いたが、今回これに加え、州の登録商標やいわゆるコモンローの商標(正式に登録していないが、使用により信用が化体している商標、要するに使用主義に基づく未登録周知商標)も対象に加えられた。
もちろん、不当登録防止と善意の商標権利者保護という観点からは好ましい方針であるが、一方で新規なドメインを登録しようとする者は、従来の連邦登録商標調査に加えて、州商標やコモンロー商標も検索する必要が出てきたことになる。(ドメイン名登録に際して商標調査は義務付けられていないが、後々の争いを考えるとやはりやっておくべきでしょう。)
連邦登録商標はともかく、州の商標やコモンローの商標を調査することは難しい。州の登録商標を画一的に検索できるシステムは存在せず、各州はそれぞれ独自の方法で記録を保有、更新している。そうなると、やはり商用データベースの出番が多くなる?記事で挙げられているのはマイクロパテント(MicroPatent)、トンプソン&トンプソン(Thompson & Thompson)、トレードマーク・リサーチ(Trademark Research)。
一方、ドメイン名の権利帰属が争われた場合の紛争解決手段として、ネットワークソリューションは「ドメイン・マジストレイト(DomainMagistrate.com)」というサービスを提供し、57日以内に解決するとしている。
情報元および関連情報:
・SABRA CHARTRAND, "More Weapons to Defend Internet Domain Names.", The New York Times (January 10, 2000).
・"ICANN Names Second Referee For Cybersquatting Quarrels.", IP Law Weekly (January 7, 2000).
(上の記事とは直接関係ないが、ドメイン名の紛争解決機関として、WIPOに加え全米仲裁フォーラム(National Arbitration Forum)が指定されたというニュース。)
・Reuters, "'Cybersquatters' targeted by WIPO", ZDNet News (May 3, 1999).
・Jennifer Mack, "Anti-cybersquatting law faces first test: Quokka Sports' battle with New Zealand companies over America's Cup domain is sailing into international waters.", ZDNet News (December 15, 1999).
・「ドメイン取得による商標権侵害行為を防止する新法,初適用か」ZDNet(1999年12月16日)
AmericasCup.comを巡る争い
・Internet Corporation for Assigned Names and Numbers
・DomainMagistrate.com
2000/01/07
1. 半導体メーカー相手の巨大訴訟
金額からして、かつてない巨大訴訟になるかも知れない事件。技術ライセンス企業二社が日韓の半導体メーカー計13社(ローネットワークによれば37社)を相手取って、1999年12月28日、ニューヨーク東部地区連邦地裁に提訴。
プラズマ・フィジックス社(Plasma Physics Corp.)とソーラー・フィジックス社(Solar Physics Corp.)は、コアチップの製造およびフラットパネル・ディスプレイに関する技術をカバーする3件の特許権が侵害されたとしている。発明者は両社の代表を務めるジョン・コールマン氏(John Coleman)。またしてもレメルソン型の訴訟か?
米国特許4,226,897号と5,470,784号は、広く使用されているプラズマCVD法(plasma chemical vapor deposition、プラズマ化学蒸着法)を用いた半導体製造方法をカバーし、5,543,634号特許はTTFやLCDパネルの構造をカバーするとのこと。これらは世界中の半導体産業で使用されている技術を包含しているため、1440億ドルの市場規模からすると特許史上最大の事件となる可能性。
被告は、日本企業では富士通、日立、松下電産、三菱電機、アドバンスト・ディスプレイ、NEC、沖電気、シャープ、ソニー、東芝、ディスプレイ・テクノロジー、韓国では現代電子、LG電子、三星電子。その他、日韓企業の米法人も含まれている。ライセンス交渉が成立しなかったため訴訟に踏み切ったという。まずアジアの企業から叩こうという戦略が見え隠れする。
原告側代理人はフィッシュ&ニーブ(Fish & Neave)で、過去最大となった1989年のポラロイド対コダック事件で9億2500万ドルを勝ち取った弁護士Herbert Schwartz、Edward Mullowney、Patricia Martone が含まれているらしい。
同事務所は特許訴訟の大ベテランといった感じで、最近ではオデティックス、カレッジ・セービングス・バンク、AT&T対エクセル(最終的に敗訴)などの重要事件を手掛けている。他にもコーニング対住友電工ではコーニング側、フォード対レメルソン事件ではフォード側を担当、またアルペックス対任天堂事件では任天堂側を代理している模様。フィッシュ&ニーヴ担当の訴訟事件をBNA2dで調べてみると152件あった。(弁護士名で調べるのはちょっと大変。アメリカ人はすぐに辞めてしょっちゅう勤務先が代わるので...)
関連情報:
・"US chip designer in patent suit vs. Asia chipmakers.", FindLaw Legal News (Reuters) NEW YORK (Jan. 6, 2000).
・Brenda Sandburg, "Inventor Claims Rights to Semiconductor Processes.", The Recorder/Cal Law (January 7, 2000).
(以下のコメントに注目。
「...アジア企業から訴えるのが常套戦術。アジア人は争い事を好まないという固定観念がある。また日本企業は公正な裁判を(米国で)受けられないと思われている。特許訴訟の最終目的は『ライセンス締結(による実施料徴収)』だから、アジア企業相手に勝って弾みをつけた上で、アメリカ企業に対しても和解にもっていくようなプレッシャーを与えることができる。」
...Harold McElhinny, partner at Morrison & Foerster, said that when someone tries to sweep up an industry and say virtually everyone is infringing a patent, "the common strategy is to start with Asian defendants." There is a cultural stereotype that Asians are unlikely to litigate, he said, and there is a perception, which he does not believe is true, that the Japanese can't get a fair trial. The goal in patent cases is to get a "waterfall of licenses," McElhinny said. "Then when you start with the American industry you've got weight behind you to get people to settle.")
・「フラット・ディスプレーの製造技術の特許侵害で日本企業ら10社以上を提訴」知財訴訟ニュース速報(2000年1月7日)
・Plasma Physics Corp. v. Fujitsu Limited, 99-8593 (E.D. N.Y. filed on Dec. 28, 1999).
・「米NY州の2社、日韓の大手半導体関連企業13社を特許侵害で提訴(ロイター)」Yahoo! News(2000年1月7日)
・Polaroid Corp. v Eastman Kodak Co., 789 F.2d 1556, 229 USPQ 561 (Fed. Cir. 1986).
本件の原告ポラロイド側代理人は、"Herbert F. Schwartz, Fish & Neave, of New York, N.Y.
ブリーフ(摘要書)に関しては、"Kenneth B. Herman, Edward F. Mullowney, Patricia A. Martone, Richard M. Barnes, Robert J. Goldman, and Kevin J. Culligan, on the brief"
・"The American Lawyer Practice Directories: 1999-2000 Intellectual Property", The American Lawyer Media (2000).
同書によれば、
NBA対モトローラ(オンラインサービスなど情報通信企業に重要)
ネスレ(第一巡回裁判所)HBO(第二巡回裁判所)で新商標法
ブランディア対キャスケード・パシフィック・ランバー
(第二巡回裁判所の著作権)
ロータス対ボーランド(著作権)
等々で活躍。
2000/01/06
1. 副長官指名
IPOニュースより。クリントン大統領は1月4日、米特許庁特許副長官にニコラス・ゴディーチ現副長官代行(Nicholas Godici)を指名する意向であると発表。いつものように正式就任には上院の承認が必要。
情報元および関連情報:
・"GODICI TO BE NOMINATED FOR ASSISTANT COMMISSIONER .", IPO Daily News (Jan. 6, 2000).
2. 連邦トレードシークレット法初適用。
これもIPOニュースより。ウォールストリートジャーナルによると、フォーピラーズ・エンタープライゼス社(Four Pillars Enterprises Ltd.)はエイブリイ・デニスン社(Avery Dennison Corp.)のトレードシークレットを盗用したとして、連邦裁判所はフォーピラーズ社に対し500万ドルの罰金を課し、2名の同社元役員を処罰したとのこと。このケースは、1996年に制定された初の連邦トレードシークレット法である産業スパイ防止法(Economic Espionage Act)を適用した最初の事件らしい。
情報元および関連情報:
・"IP SUITS.", IPO Daily News (Jan. 6, 2000).
・"Judge sentences company, father, daughter in industrial espionage case.", FindLaw Legal News, Reuters (Jan. 6, 2000).
(シール等の糊に関する秘密情報を盗用した罪により、元CEOのPin Yen Yang氏(73)に対し25万ドルの罰金に加え、6ヶ月の自宅拘禁(home confinement)と18ヶ月の保護観察処分(probation)、娘のHwei-Chen "Sally" Yang(41)に5000ドルの罰金と1年の保護観察処分を課した。)
・Arthur Wineburg,Timothy J. Klima,龍華明裕「経済スパイ法 トレードシークレットの盗用および経済スパイ行為を犯罪行為とする」米国知的所有権レポート(1997年3月)
・Economic Espionage Act of 1996 (EEA) 18 U.S.C. Section 1831 et. seq.
・J. Derek Mason, Ph.D., Gerald J. Mossinghoff, David A. Oblon, "The Economic Espionage Act: A Prosecution Update.", The Computer Lawyer, volume 16, March 1999, page 14.
(判例を追った詳しい解説)
・"The Economic Espionage Act of 1996", Foley & Lardner (1997).
(重要な条文が確認できる)
・R. Mark Halligan, Esq., "REPORTED CRIMINAL ARRESTS UNDER THE ECONOMIC ESPIONAGE ACT OF 1996"
・"THE ECONOMIC ESPIONAGE ACT OF 1996: THE THEFT OF TRADE SECRETS IS NOW A FEDERAL CRIME" Signed by the President : October 11, 1996
・"Economic Espionage Act", Bridging the gap (March 31, 1997).
・Joseph Valof, "Overview of Economic Espionage Act of 1996 (Public Law 104-294)"
2000/01/05
1. スティーブ・ジョブズ正式にアップルのCEOに
表記の通り。自らiCEO(interim Chief Executive Officer、暫定・最高経営責任者)と名乗っていたジョブズ氏、遂に正式のCEOに就任。
情報元:
・山田剛良「Jobs氏、Appleの正式なCEOに就任」日経Mac(2000年1月6日)
・「Steve Jobs氏がAppleの『暫定CEO』から『CEO』に」ZDNN/USA(2000年1月5日)
・藤本裕之「From Kangaroo Court:Just Like A Chairman」MacWIRE Online(2000年1月18日)
2000/01/04
1. 国境なき医師団、WTOで医薬特許の問題点を提起
ローニュース・ネットワークより。
昨年ノーベル平和賞を受賞した「国境なき医師団(Doctors Without Borders、フランス語の頭文字でMSF)」が、シアトルで昨年11月開かれた世界貿易機関(WTO)会議で、エイズで苦しんでいる国から薬が特許法のために奪われていると批判したという記事。MSFは記者会見の席上にトッド・ディキンソン特許庁長官(Q. Todd Dickinson)を同席させ、知的所有権の政策により発展途上国ではエイズや他の伝染病の薬が殆ど利用できなくなっていると非難した。特にエイズは深刻で、MSFによればエイズが見つかっている地域の95%で、殆どのエイズ薬が利用できないという。
クリントン大統領も同調し、「最貧国が是非とも必要としている薬を得られないことのないように、米国は通商政策を実施するだろう」と述べたという。米国通商代表部(Office of the U.S. Trade Representative)は、保健社会福祉省(Department of Health and Human Services)と協力して米国の保健政策の成果を査定中とのこと。
このためMSFは、「貿易協定における人の健康の特例("human health exceptions to trade agreements")」を要求し、不可欠な薬品へのアクセスキャンペーン(Access to Essential Medicines Campaign)を開始した。
これに反対しているのは、ワシントンD.C.の同業者団体であるアメリカ医薬研究製造者会(Pharmaceutical Research and Manufacturers of America)を中心に反対がある模様。
情報元:
・Victoria Slind-Flor, "Doctors' Group Urges IP Change: AIDS-devastated nations deprived of drugs by patent laws", The National Law Journal (January 4, 2000).
2. パテントエージェント試験
米パテント・エージェント試験の今年の試験日は4月12日と11月1日。昨年11月の試験結果は既に発表されている模様。試験問題は、特許庁のページには掲載されていないが、ロングエーカー/ホワイト(PLI)のサイトでアップされている。
関連情報:
・"April 2000 Examination: General Requirements Bulletin.", USPTO (posted October 19, 1999)
・PLI's Patent Bar Review
・Nov. 1999 Morning Exam
・OFFICE OF ENROLLMENT AND DISCIPLINE (OED) 米特許庁発表の受験要項
3. DVD暗号解読を巡る訴訟
DVDの著作権を管理している団体DVD Copy Control Association(CCA)が12月28日、DVD映画の複製防止コード解読のための情報やユーティリティをオンライン上に掲載したとして、著作権違反で21人の個人および72のWebサイトを訴えた。
関連情報:
・Robert Lemos「米DVD業界,暗号解読コード流布で21人の個人と72のサイトを提訴」ZDNet/USA(2000年1月4日)
・「DVD複製防止コード解読めぐる訴訟,仮処分請求を裁判所が却下」ZDNN/USA News Bursts(1999年12月30日)
・Mike Godwin, "California Judge Denies TRO Against Distributors Of Software That Defeats DVD Encryption Scheme", E-Commerce Law Weekly (January 5, 2000).
(カリフォルニア州サンタクララの郡裁判所で、使用等差し止めを求める仮処分申請(temporary restraining order)が却下された)
・DVD Copy Control Association v. McLaughlin, No. CV-786804 (Super Ct. Calif., filed and argued 12/29/99).
2000/01/03
1. ウェスト対マシューベンダー、弁護士費用まで負担する羽目に
判例集のページ指定を巡って著作権が争われた事件、高裁で著作権を認められない旨の判決が下され、最高裁への上告も拒否され既にこの争いは確定している。ウェストは著作権の主張を認められなかったばかりか、提訴が馬鹿げているとして(frivolous)逆に相手側の弁護士費用負担まで命じられてしまった。
ハイパー・ロー社は(Hyperlaw)ウェストの著作権非侵害の確認訴訟を訴え、上記訴訟に参加、ウェストの提訴は取るに足らない悪意ある妨害であるため本件は例外的事件に相当するとして、弁護士費用の支払を求めた。ウェスト社の主張する著作権は、政府機関の作品(裁判所の判決)が大勢を占めるものであり、さらに訴訟の過程でウェスト側はハイパーロー社の求めに一切協力せず、逆にあらゆる手段を使って妨害したとして、最終的に813,724ドルが認められている。
関連情報:
・Mark Hamblett, "West Competitor Wins Fees in Suit Over Copyright" New York Law Journal (December 20, 1999).
・Hyperlaw Inc. v. West Publishing Co., 94 Civ. 589 (S.D. N.Y. 1999).
2000/01/01
1.日本特許法平成11年改正法
2000年1月1日以降になされる特許異議申立及び無効審判請求には、平成11年改正法が適用される。具体的には、特許異議申立あるいは無効審判において訂正請求した場合に独立特許要件が単独で判断されなくなった。その結果、取消理由あるいは無効理由の審理においてのみ特許性の有無が判断されることとなる。訂正請求書の書き方が容易になる分、方式違反の場合に補正する機会がなくなったので注意が必要。また訂正により取消理由等が解消されたことは意見書(答弁書)の中で主張することになる。
なお、異議や無効審判の請求がされていない請求項に対する訂正については、従来と同様独立特許要件が判断される。(改正後の特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第4項、及び改正後の特許法第134条第5項で準用する特許法第126条第4項)。
情報元および関連情報:
・「平成11年改正法施行に伴う留意点(審判関連)」日本特許庁書記課審判企画室(平成12年1月)
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...訂正後の発明が通知した取消理由により特許を受けることができないと合議体が判断した場合、改正法適用前であれば、独立特許要件違反として訂正拒絶理由が通知され、特許権者は訂正請求の補正が可能でした。
しかし、改正法適用後では、そのような場合、訂正拒絶理由通知なしで取消決定が行われることになりますので、訂正請求は、従来以上に慎重に内容を検討して行う必要があります。
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